ボクシング世界チャンピオンの安売りをどう見るべきか

  • 2018/11/24
  • ライフスタイル・娯楽
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ヒーロー度が下がっているボクシング世界チャンピオン

ヒーロー度が下がっているボクシング世界チャンピオン
今年のボクシング界は、流行語大賞に「奈良判定」がノミネートされたようにおかげで一躍、有名にもなりました。
大晦日でも紅白歌合戦に対抗してプロボクシングをぶつけるほどですから、そこそこの人気も維持しているのでしょう。
そんなボクシングに全然、興味の無い人でも、最近はやたらと日本人の世界タイトルマッチが行われていると感じていることでしょう。
そのせいか今の世界チャンピオンには、昔の世界チャンピオンであった白井義男、ファイティング原田、小林弘、大場政夫、輪島功一、ガッツ石松、具志堅用高のような神々しさは感じられなくなりました。
そこら辺の事情を探ってみました。

 

垂れ流し続ける世界チャンピオン

垂れ流し続ける世界チャンピオン
・協会は4つに増えた
かつて世界のボクシングには、WBA(世界ボクシング協会)とWBC(世界ボクシング評議会)の2つの協会がありました。
そこで同じ階級でも2人のチャンピオンがいたりしましたので、いつか統一されるものかとも思われていました。
ところが1980年代になって、逆にIBF(国際ボクシング連盟)、WBO(世界ボクシング機構)の2つが加わり計4つに増えているのです。
こうなるとチャンピオンと言っても4人が肩を並べることもある訳ですから、本当は誰が一番強いのかもますますわからなくなっています。

・階級は17に増えた
かつてボクシングの階級はシンプルなものでした。
ヘビー級、ミドル級、ウェルター級、ライト級、フェザー級、バンタム級、フライ級の7つくらいだったかと思います。
それが現在では、ヘビー級、クルーザー級、ライトヘビー級、スーパーミドル級、ミドル級、スーパーウェルター級、ウェルター級、スーパーライト級、ライト級、スーパーフェザー級、フェザー級、スーパーバンタム級、バンタム級、スーパーフライ級、フライ級、ライトフライ級、ミニマム級の17階級にもなっています。
これには体重別に実力差の出るボクシングに対する公平性の分配とされていますが、実際は興行収入の増大によるところが大きいはずです。
他のどんな格闘技でも、ここまで細分化されている競技は他にはありません。

 

希少価値が激減した世界チャンピオン

希少価値が激減した世界チャンピオン
以上から、最大で4×17=68人もの世界チャンピオンがいることになります。
これにより注目を浴びる世界タイトルマッチこそ増えますが、その世界タイトルマッチ自体の価値が下がっているのです。
それでもチャンピオンを増やした当初は、一般視聴者は何もわからずにとにかく世界タイトルマッチだからと往年の感覚で飛びついていたものでしょう。
これは野球界でもメジャーリーグがチーム数を増やして人気、実力ともに下がっていることにも見受けられます。
一方その結果、日本人の活躍にも繋がっているのかもしれません。

・スーパーチャンピオンの登場
2000年代になると、世界チャンピオンの中からチャンピオンを超えるスーパーチャンピオンが登場しました。
これは世界チャンピオンでも防衛回数の多いチャンピオンに格を付けたものです。
確かに多過ぎる世界チャンピオンを意識しての差別化を図ったのでしょうが、自ら世界チャンピオンの安売りぶりを示したようなものです。
困るのは世界チャンピオンなの、に同じ階級にスーパーチャンピオンがいる場合です。
昔ならまるでチャンピオンでも何でもない存在でしかない選手が、堂々とチャンピオンとして扱われていると言う滑稽な状態も認めているのです。

 

メリットもある世界チャンピオンの多さ

メリットもある世界チャンピオンの多さ
ただし、プロボクサーにとってこれだけの事情は一義的には環境の改善に値することでしょう。
プロボクサーで立派に食えるのは世界チャンピオンくらいとも言われています。
そんな夢の世界チャンピオンへの道が近くなっていれば、プロボクサーを目指す若者も増えることにもなるのです。
今時、何も人の顔を殴り続け殴られ続けるスポーツなど目指す若者は絶対的に減っているはずです。
それを支えるためにもある程度は、夢の枠も拡大せざるを得ない、痛し痒しの現状もあるのです。
世界チャンピオンも、需要と供給のバランスを取るべき時代になっているようです。

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