オヤジ世代がカジュアルファッションに流行を取り入れるとき
- 2018/04/30
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どうにもしっくり来ない
ファッションの主流は、確実に細身からゆったりしたものに移行しています。筆者が勤務している青山近辺は特に流行に敏感な方が多いせいもあり、男女問わずオーバーサイズ気味のファッションを着こなしています。ただし、10代20代の皆さんは、ファッションに興味を持ち始めたころには既に細身ファッションが全盛の時代でしたので、オーバーサイズファッションを新しい流れとして抵抗なく取り入れていますが、50代前後のオヤジ世代は、〝あの〟バブル時代のオーバーサイズファッションにどっぷりと浸かっていた世代ですので、どうしてもあの頃の記憶がよみがえってしまって抵抗感を感じずにはいられませんし、まれに若い世代と同じオーバーサイズのファッションを全身に採りいれ ている同世代の男性を目にしても、正直、あまりしっくりきているようには見えないというのが筆者の感想です。
今、20代の男女を中心に大人気の若手男優さんが、この前テレビに出演していたとき、何と筆者が80年代に取り扱っていたバブル時代のニット製品(もちろん古着です)を最先端とばかりに着こなしているのを見て、流行は繰り返す、という言葉をつくづく実感したものでした。
カジュアルは難しい
スーツを始めとした仕事着には一定のルールがあり、又、シルエットの変化も比較的ゆっくりですから、現在のようなシルエットの移行期においては、流行なども襟の形やネクタイの色、素材、柄などでさりげなく流行を取り入れることが可能なので(たぶんスーツのシルエットも今後は大きく変化してくるとは思われますが……)、オヤジ世代もちょっと小技を効かせれば「俺も流行を取り入れているんだよ」とアピールがしやすいのですね。でも、カジュアルはそうはいきません。
特にこれから薄着の季節になってきますので、身に着けるアイテムの数が絶対的に少なくなってきます。寒い季節ならジャンバーやセーター、ブーツといくらでも雰囲気を演出するアイテムがあったのに、誤魔化しがきかなくなってしまうわけです。シャツだけオーバーサイズを取り入れて、ボトムズは以前のままのスリム系ではどうにもアンバランスですし、その逆ではダサい以外の何物でもなくなってしまいます。
とは言え、全身流行を採りいれたオーバーサイズを着て鏡の前に立ってみると……あれれ?80年代の自分にコンニチワ、みたいな感じです。
いったいどうすればいいのでしょうか?
悪目立ちを避けるのがオヤジのお洒落
今のようにファッションの形が大きく変化しようとしているときは、実は提案をしているファッションメーカー側にも試行錯誤的な部分があります。シーズンの最初は海外のコレクションなどを参考にしながら、それらを取り入れた商品を販売していますが、それがそのまま日本の消費者に採りいれられるかどうかはわかりません。しばらく様子を見て、売れ筋を見つけ出し、その筋が見つかった段階で、その筋に類似した製品を横展開していく、今はまだ筋を見極めている、といった状況ではないか、と筆者は見ています。
新しい流れに若者層は飛びつくのが早いですから当然下の層から流行が広がっていきますが、街を見る限りではまだ20代後半以降にまで広がっているという感じではありません。今、オーバーサイズファッションの主顧客層は10代~20代前半が主流であろうと思われます。
今オヤジ世代が本格的なオーバーサイズファッションを採りいれるのは悪目立ちと背中合わせな気がします。いずれ全世代にオーバーサイズの流れは広まっていくと思われますが、我々オヤジ世代にもぴったりとくるオーバーサイズファッションのキラーアイテムが今後必ず出てくると思われます。それを待っていても、今はまだいいのではないでしょうか。
以上、参考にしていただけましたら幸いです。