マラソン代表を決めるMGCってなに?

  • 2018/03/27
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  • のりき 夢丸
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もうすでにかなり候補は絞られたか

もうすでにかなり候補は絞られたか

平昌の興奮冷めやらぬニッポンスポーツ界ですが、自国開催の2020TOKYO大会まで「こっちはまだ2年あるなあ。けっこう長いし」と思っている方、実はそうでもないんですよ。

このところ、毎週のように行われた各地のマラソン大会、なんだかいつもよりグッと熱を帯びていることに気がつきませんでしたか?
そして実況者がみな口をそろえて叫ぶアレ、テレビの隅っこにいつもテロップが流れていたアレ、そう「MGC」が今回のキーワードなんです。
このMGCこそ、今回陸連が採用した新たなマラソン代表選手決定方法の略称なんです。

 

代表選考はいつの時代も難産の連続

代表選考はいつの時代も難産の連続

MGCは正式名称を「マラソングランドチャンピオンシップ」といいます。
名前だけ聞くと「なんだ、チャンピオンを決めるのか。賞金でも出るの?」と思われがちですが、実はチャンピオンの称号よりもっと大切な五輪代表選手を決める新制度です。

表向き、陸連が目指すスタイルは
▼いっそのこと、強化と選考をリンクして、選手を切磋琢磨させながら代表も選んじゃおう
というもの。いわばレースを経ながら強くなる「叩き上げ」代表がほしいんですね。

ただここに至るまでには、数々のどす黒い「ドロ沼選考」の歴史が繰り返されてきたことを、知っておかねばなりません。
もちろんそれまでも「選考会」はありました。けれどいつも激論となるのは
▼異なる条件の異なる大会成績同士を比べようとする困難さ、矛盾
▼過去の実績重視という高い壁
であり、なにより一番心を痛めていたのは選手本人たちに他なりませんでした。

そこで(かどうかは知りませんが)、今回はこの大会で代表を決めましょうという、いわゆる「一発選考方式」に一番近い形を採用したわけです。それがMGCです。

 

けっこう狭い道ながら分かれ道も多い

けっこう狭い道ながら分かれ道も多い

ただ一口にMGCと申しましても、MGCは選考過程中のさらに細かい一過程に過ぎません。
最近まで行われたマラソン大会は、すべてこの「MGC」へ続く一番確かな道で、シリーズと呼ばれています。
が、今年4月30日までに公認の競技会(世界もOK)でいい走りをすると、
▼ワイルドカードという救済措置(平均タイム等)
でMGCに進める選手も出てきます。

実は公務員ランナーとして有名なあの川内優輝選手は、こちらですでに権利を獲得しています。

さらにさらに、MGCで決まる代表枠は男女各2つです。
そうなんです、MGC後も枠がまだ1つずつ残るんです。

それを決めるのが五輪までに残された最後の冬に開催される3大会であり、こちらは「MGCファイナルチャレンジ」と呼びます。
こちらは従来通りの選考に近く、タイム重視で決定されます。

どうです、この複雑さ。
MGCの結果だけで一喜一憂していると、今後思わぬところから伏兵が現れるかも知れませんよ。

 

さあこれでメダルが獲れるのか

さあこれでメダルが獲れるのか

いまちょっと世界に遅れをとっているマラソン界としては、強化と選考を一気に進めるMGCの効果に大いに注目しているのですが、それを差し置いても、素人目で気になるところ、突っ込みどころがないわけではありません。

その1 あくまで目標は2020夏である
選手には、各重要大会に向けて毎回ピークを持っていく作業が要求されます。
この冬に1度、来年秋以降に1度、そして2020夏に1度。
選手は生き物であります。そうそう毎度都合良くピークが合うことは考えられませんし、2020夏にこそ本当のピークが来てほしいわけで。

その2 MGCファイナルの方が消耗度&レベル低い可能性も
実力と調整に自信さえあれば、今はまだ動かない方法もあります。
来年の冬に1枠を奪う調整で十分本番への切符が獲れるからです。
いましっかりと充電時間に充てるのと、王道で競いながらピークを1度使うのとでは、これもまた結果が分かれそうです。

その3 夏に行われるトライアルがほとんどない
ええっと、TOKYO2020は、クソ暑い夏に走るんですよね?
MGCのうち、わずかに北海道マラソンだけは8月後半の開催でしたが、それとて北の地ですから。
冬と春に代表を決めて、夏暑かったから走れない、で済むのでしょうか。なんか全然地の利を活かしていないような…。
暑い大会では、思わぬ国の思わぬ選手がメダルを獲ることはよく知られています。いま世界に付け入る隙があるとすれば「TOKYOの暑さへの根本的な強さ」だと思うのですが…。

この記事の作者

のりき 夢丸
のりき 夢丸
馬と日本酒と時代劇をこよなく愛するフリーライター。 モットーは「人の行く裏に道あり花の山」。 最近はドローンに興味津々の毎日。 競馬血統ブログ「ほぼ毎週競馬ナビ」にて執筆中。
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