「アルマンドおじさん」にならえ?年末に使えるシャンパンのトレンド
- 2018/12/07
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セレブリティのためのシャンパン、ファッキン・クリスタル
“It’s FUCKIN’ CRISTAL, everything else is PISS!!”
これは1996年のオムニバス映画「フォー・ルームス」で、クエンティン・タランティーノ氏演じるハリウッドスターが、シャンパングラスを手に口にしたセリフ。「これはクソ最高のクリスタル、それ以外は小便みたいなもんだ」といった意味になりますかね。
セレブリティが好んで飲むという設定ですから「(ファッキン)クリスタル」は相当高価なものに違いない。映画を観た私、アントニオ犬助の脳裏には、その名称が深く刻まれたもの。そんなクリスタルとは「ルイ・ロデレール」社の看板商品、フォー・ルームス以外の映画やミュージックビデオにも頻繁に登場し、成功の象徴という扱いを受けていたプレミアム・シャンパンです。
次のトレンドは、アルマンド・ブリニャックへ
しかし栄枯盛衰が激しいのは、どんな世界でも同じこと。クリスタルはメーカーのミスにより単なる「ファッキン」な銘柄へと成り下がってしまうのですが、そのミスが起きたのは2006年。ルイ・ロデレール社の役員が「黒人のラッパーたちに我が社の商品が飲まれるのは本意ではない」「ドン・ペリニヨンやクリュッグといっしょにビジネスをすればいいのに」などと口走り、雑誌に掲載されてしまったのです。
これによって起きたのが、ラッパーたちによるクリスタル不買運動、ミュージックビデオなどでの露出もぐっと減りました。代わってその地位を占めるようになったのが「アルマンド・ブリニャック」。クリスタルはクールな存在ではなくなってしまいました。
モテるオヤジ、必須のツール「アルマンド」
というわけで、現在のプレミアムシャンパンの中心といえばアルマンド・ブリニャック。
世の歓楽街の高級クラブには「シュプリーム」や「オフ・ホワイト」などラグジュアリー・ストリートブランドで全身を固めたオヤジが、アルマンドをオーダーするという光景がしばしば見られるよう。
「ドンペリ?クリスタル?ダサいダサい」、トレンドの先端とばかりにアルマンドをオーダーするのです。
ホステスさんは彼らを密かに「シュプリームおじさん」そして「アルマンドおじさん」と呼んでいるとか。その言葉にはシュプリーム?アルマンド?若ぶってカッコつけちゃって……という揶揄を多分に含んでいるものの、これらのおじさんは金払いがいいので、もちろん大歓迎。
「モテるオヤジになるには、シュプリームやアルマンドといったツールを使いこなさなきゃ」という意味でもあります。
いずれも、トレンドと共に消費しても良いものではない
そんなアルマンドではなく、「(ファッキン)クリスタル」でもなく……ルイ・ロデレールの「ブリュット・ヴィンテージ」、一番下のグレードを犬助は一度だけ口にしたことがあります。
原料のブドウを生産するための広大な畑や、ブレンド用のワインを大量に自社で所有する。生産されたシャンパンは3年以上という長期に渡ってビン熟成される。そして何よりも、ドン・ペリニヨンやクリュッグ、モエ・エ・シャンドンの様に巨大な資本に組み込まれることなく独立性を保っている。
そんな、ルイ・ロデレール・ブリュット・ヴィンテージ。
ええ、美味しゅうございました。一番下のグレードですら持つ複雑な味と香りは、フラッグッシップの「(ファッキン)クリスタル」ならば、どれほどのものかと犬助の妄想をふくらませるのに充分なもの。そして思ったのが、これは流行りで飲むべきではないものであるということ。
加えてルイ・ロデレールだけでなく、ドン・ペリニヨンやクリュッグ、モエ・エ・シャンドンも、それなりの金額がするものは、どれもこれも、もれなく旨いということです。
にも関わらず流行り廃りがあるという。その結果、出来上がったのが「アルマンドおじさん」というのでは、ちょっと寂しいなと。それなりのクオリティを持つプレミアムなシャンパンは流行り廃りで飲まれるのではなく、恒久的に愛されて然るべきものではないか?と思うのです。
クリスマスも近いことですから、今年は(ファッキン)クリスタルでも購入して楽しもうかと。もしくはアルマンド・ブリニャックでも試してみようかと。ちなみに両者とも定価は5万円ほど、クラブでオーダーしなくてもこの価格、実に「ファッキン」な話です。