EUを離脱したイギリスの軍事力はどうなる?
- 2018/09/15
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EUとNATO
イギリス、日本の外務省がホームページに掲載している日本語での名称が「英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)」となっている国は日本と同じ島国といわれます。しかし、この北アイルランドがあることによって、隣国アイルランドと地続きの国であることも事実。
つまり、イングランド、ウェールズ、スコットランドのある「いわゆるイギリス本土(グレートブリテン島)」が島国の見た目をしているという話です。島国の防衛とともに、陸地で国境を接する国としての防衛も考えないといけないのがイギリスだといえるでしょう。
そんなイギリスですが、EUを離脱して軍事力はどうなるのでしょうか?
かつては世界に冠たる大英帝国として、七つの海を支配していた強大な軍事力を誇るイギリスは、現在でも世界有数の軍事大国であることに間違いありません。
ところで、西欧における軍事で見逃せないのがNATO北大西洋条約機構です。イギリスはNATOの中心的な加盟国であり、経済分野のECヨーロッパ共同体(ヨーロッパ緒共同体)・安全保障のNATOの2本立てでヨーロッパの西側諸国を引っ張ってきたといっても過言ではないでしょう。
冷戦終結とソ連の崩壊を経て、NATOにはワルシャワ条約機構加盟国であった旧東側諸国が参加するようになっており、時代の変化を感じさせます。
さて、現在はECではなくEU欧州連合が存在を示しているわけですが、2019年3月に脱退するイギリスとしては、いまのところ軍事力への影響はないといえます。むしろ、イギリスの脱退によってEUのパワーが低下することが予測されるため、逆にイギリスの軍事力が強化されるのではないかとの見方もあります。
ちなみに、兵力の面だけでいえば、イギリス軍は日本の自衛隊とたいしてかわらない数字です。軍事力ランキングでも少し上という同じくらいの位置にいます。
NATO屈指の実力を持つイギリス
NATOとEUの関係は、ヨーロッパ緒国にとっての安全保障面と経済面という車の両輪だといえます。NATOの主要加盟国にアメリカ合衆国があるように、加盟国が一致するわけではありません。しかし、事実上、この2つは非常に密接な関係にあるといえます。
その状況下で、一方のEUからイギリスが脱退するということは、NATOにとっても大きな意味を持つことでしょう。イギリスがEUを抜けたというだけでも、トータルでのヨーロッパの軍事力低下イメージにつながりかねません。しかし、イギリスがNATOから距離を置くわけではありません。むしろ逆です。
そこで、NATO加盟国でありつつもEU加盟国ではない立場となるイギリスとしては、少なくとも現状の軍事力を維持することで、枠組みが変わってもヨーロッパ全体としてのパワーバランスに変化はないというところを見せたいと考えられます。
さらに、イギリスが軍事力を強化することで、NATO軍が健在であることを示し、無用な混乱を避けることができる可能性もあるでしょう。
もちろん、軍事力をただ強化するということは、必ずしもよいこととは限りません。現在、世界第一位の軍事大国はアメリカですが、それ以外のトップ10くらいまでは大きな差はないといえます。中国の軍事大国化が進んではいるものの、いまのところは2番手グループ。
その一角を占めるのがイギリスであり、数少ない核保有国です。現状維持でバランスを取っておくことも重要だといえます。
つまり、EU脱退でさまざまな変化や影響があるでしょうが、イギリスの軍事力がどうにかなってしまうということはあり得ないことであり、あってはならないことなのです。また、現状維持するくらいは十分可能な国力を持っているのがイギリスであり、人口は日本の半分でありながらランキング上位に付ける強国なのです。