ウォッカを飲むときなぜテーブルにトンってたたきつける?
- 2018/07/11
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ある日、外人に誘われた飲み比べ
今から30年ほど前。夜遊びをおぼえたての私・アントニオ犬助が、夜な夜な街に繰り出していたころの話です。場所は当時、登場し始めた今でいう「クラブ」。外国人との日本人の構成比が8:2、そんなお店でのことでした。
犬助を指差して外人たちがワーワーいっているので、何ごとかとテーブルに近寄ってみると、どうやら「飲み比べをしよう!!」とのことらしい。テーブルに並べられているのは、透明の液体が注がれた、ちょっと細身のグラスです。
どうやら相手は向かいに座った大柄な白人、「一個ずつグラスを飲み干していけ」と取り巻きがワーワーいってます。
しかし、ただ飲めばいいというものではなく、その飲み比べにはルールがありました。
グラスの口を手のひらでふさぐようにして5cmほど持ち上げて、テーブルに叩きつける。
すると不思議なことに、液体が泡立ちグラスからあふれそうになるのです。
「あふれる前に飲め!!」
「ポン」とか「トン」と、呼ばれていた飲み方
その時グラスに満たされていた液体は、テキーラとソーダ。
テーブルに叩きつけた衝撃がソーダに伝わり液体が泡立つ、それだけの話なのですが、「せーの」という掛け声や「トン」という音も威勢がいいですし、2人してあわててグラスに口を運んでいる様子も面白いので、ギャラリーも非常に盛り上がるのです。
興が乗ってくると、お互いに右腕を絡ませつつ、お互いに顔を近距離で見合わせつつ「トン!!ぐいっ!!」を繰り返しますから、様子はまるで「男の友情」を確かめあっているかのごとく。
なんかめっちゃパーティな雰囲気になる、もしくは場末の安酒場の雰囲気が高まります。
この飲み方は、グラスをテーブルに叩きつける音から「ポン」とか「トン」とか呼ばれていたはず。最初の中身は、味からテキーラだとわかりましたが、お互いに数杯づつ飲み干して、追加オーダーされて以降は、酔いが回って何がなんやらわからなくなってしまうものでした。
最近ではウォッカを使い「ショットガン」と呼ぶらしい
さて、それから時間がたった現在。
一気飲みの危険性だとか、アルハラだとか世間がうるさくなりましたから、「ポン」とか「トン」とか呼ばれた飲み方は、すっかりすれたものと思っていたのですが、実はそうではなさそうです。
呼び名は「SHOTGUN(ショットガン)」などと小洒落たものに変わり、お互いに腕をからめたりはしないものの、連綿と飲み屋では受け継がれている様子。
近年ではテキーラではなく、ウォッカを用いるのが一般的のようですが、味がどうこうよりも、酔っぱらうことがショットガンの目的。
ならば、安価なウォッカがベスト!!ということかもしれません。
また、最近の流行りのスタイルは、複数個のグラスをギャラリーが順に机に叩きつけて、それらがあふれる前に、挑戦者が複数杯を一気に飲んでいくというもの。
これを1セットとして、数セット互いに繰り返す……方法に少々の違いはありますが、ショットガンとポン、酔っ払うためにひたすら飲むという本質には、なんらかわりがなさそうです。
お店には迷惑をかけないように、注意しましょう
さて、このショットガンの注意点を2、3。
まず用いるグラスは、小ぶりでかつ背の高いものにすること。大きいグラスだと数をこなすことができませんし、背が低いと泡立つ楽しみがありません。そして液面は、グラスの半分ほどにとどめること。これぐらいの余裕がないと、すぐに液体があふれてしまいます。
次にアルコールとソーダは1:1ぐらいがよさそう。ソーダの割合が低いと泡立ちが足りませんし、アルコールの割合が高いと興が乗る前に潰れてしまいます。
そして、ウォッカでもテキーラでもジンでも何でもいいですが、アルコールは透明のものにすること。ショットガンの面白みは透明の液体が泡立つところ、強い酒ならば何でもいいのですが、アルコールは透明のほうが見た目に面白いもの。これは、割る方のソーダにもいえることです。
最後に、これが最も大切なことですが……叩きつけるテーブルとグラスには充分に気をつけること。
当然、テーブルにはキズがつきますし、叩きつける勢いが強いとグラスが割れます。
お店に迷惑をかけることは避けるべきですし、グラスが割れると手のひらを切り流血の惨事となる……ご存知の通り、酔っぱらっていると痛みは感じにくい上に、血も止まりにくいものです。
ああ、懐かしい。
ちなみに現在のショットガンの流行については、犬助の周りの若者に取材しました。
遊んでいる場所によってローカルな流行がありますので、今回ご紹介したショットガンが唯一の方法というわけではなさそうなので、ご了承ください。