いずも型護衛艦がF35Bを搭載すると空母になるのか?
- 2018/04/11
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いずも型護衛艦にF35Bを載せる検討
2017年暮れに報じられた、いずも型護衛艦を空母に改修し、F35Bを運用する計画を検討しているというニュース。あれから3ヶ月が経過したものの、たいした話は聞こえてきません。
いずも型護衛艦の空母化計画とは、陸上基地を攻撃されて使用できないケースなどに備えるとともに、離島防衛に役立てるというものです。まずはアメリカ海兵隊が使用するF35Bを載せて試してみるといわれています。
その後は、航空自衛隊がF35Bを採用し、艦載用の部隊を持つというものです。海上自衛隊が独自に「海軍機」としてのF35Bを持つという話は出ていないと思われます。
通常タイプの護衛艦の後継艦でありながら、全通甲板を持つ「見た目が空母みたいな」スタイルになった時点で、何かしらの固定翼戦闘機を載せる未来は規定路線だったといっても過言ではないでしょう。
しかし、空母として建造されたわけではないため、正規空母で運用するような艦載戦闘機の選択が困難であることも事実であり、F35Bのような機種に落ち着くのも当然といえば当然です。
よくいわれているように、「普通の」空母艦載機である戦闘機を運用するためには、カタパルトやスキージャンプ形状の飛行甲板が必要になります。また、ジョットエンジンの熱に絶えられることや、本格的な整備区画も必要です。
いずも型は、大きさ的に短距離離陸戦闘機を飛ばすことが可能ですが、改修計画ではより空母らしく運用できるように、スキージャンプの導入も検討されているとのこと。
ちなみに、F35Bはアメリカのロッキード・マーティン社の戦闘機F35のひとつのタイプです。F35にはAとB、それにCタイプがあります。Aは一般的な滑走する戦闘機で、Cは艦載用。
そして、BがSTOVL、短距離離陸・垂直着陸型です。
全長が248メートルあるとはいえ、米空母に比べるとかなり小さい日本の護衛艦に載せるとなると、自然にBということになります。
F35Bを載せても空母ではない?
ところで、F35Bを搭載すると空母になるのか?との疑問があります。戦闘機を運用すれば空母だろうという声がある反面、戦闘機を運用していても空母とは限らないとの声もあります。
たとえば、アメリカで固定翼の作戦機を運用している艦に、強襲揚陸艦があります。F35Bもその搭載機の選択のひとつです。強襲揚陸艦は空母とは異なる艦種であり、いずも型護衛艦においてもF35Bを少数運用する程度ではとても空母とは呼べず、強襲揚陸艦のようなものだとする声も根強くあります。
ただ、こうした議論は狭い範囲の専門的な分類によるものであり、世間一般の解釈とは別だという意見があります。加えて、艦種の分類はその国や軍の都合で変わるものであり、たいした意味はなく、実態が重要ともいわれています。いずも型護衛艦が「駆逐艦」になっていること自体が無意味というオヤジも少なくないようです。
そうした観点からは、少なくとも固定翼の戦闘機・攻撃機を複数運用できる軍艦(自衛艦は軍艦ではないというのは横に置いて)を空母と呼ぶことは、間違いともいえないでしょう。
問題は、その実質的な空母をどのように使うかです。実は、空母と呼ぶか否かの議論は、ここに帰結します。つまり、空母と呼ぶ対象を攻撃型空母に限定するかどうかです。空母イコール攻撃型空母であるなら、いずも型護衛艦はF35Bを搭載・運用しても空母にはなり得ません。
外野でいろいろといわれている間にも、具体的な計画が進んでいくと思われます。あくまでも有効な自衛目的を達するために、過不足のない「空母的な護衛艦」を持つことはアリでしょう。これで周辺国が何かと騒ぎ出したとしても、あまり気にしないことが重要です。
それぞれの国が自国に都合のよい話をするわけですから、相手に都合がよいことは、こちらに不都合なことである可能性が高いといえます。そして、こちらに不都合なこととは、国防上の損失を意味するでしょう。