日頃から「胃の不調が続く」オヤジへ【薬剤師悩み相談】
- 2019/04/11
- ヘルスケア
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「オレはまだまだ大丈夫!」と思いたいものの、気持ちとは裏腹にずっしり重たさを感じるようになってしまった胃。
ちょっとお酒を飲んだだけなのに。
ちょっと揚げ物を食べただけなのに。
あの頃のようにシメのラーメンを食べたいのに…。
オヤジになってくるとどうしても胃の調子が気になりだします。なぜこうも胃がスッキリしないのでしょうか。
いつまでも飲んで食べたいオヤジたちのために、だんだん胃もたれしやすくなってしまう理由から、いつでもスッキリした胃でいるための方法までご説明していきます!
1.だんだん気になってくる胃の症状
心はあの頃から変わっていないのに、どうも胃だけがどんどん何倍もの速さで時間を進んでいっている気がする…。なんでこんなに自分の胃は重いのだろう?とお悩みの方は多いでしょう。
1-1.お酒を飲めなくなる
あの頃の勢いはどこへやら、数杯飲んだだけで胃が重くなり、さらに飲み続けるとすぐに二日酔いに。飲みたいのに飲めない状況が訪れます。
体からアルコールが抜けるのが遅くなるので、翌日に予定がある日はあまり飲まないようにしているというオヤジも少なくありません。ドラッグストアで「二日酔い防止に何かいいお薬ないかな?」と相談してこられる方はやはり20代よりも30代~50代の方が多いです。
1-2.脂っこいものが食べられなくなる
唐揚げや天ぷら、焼き肉と脂っこいものを食べるとまさに胃が重い状態になってしまいます。「ちょっと奮発して今日はいいお肉を」なんてルンルン気分は最初だけ。食べ始めると胃がもったりするし、調子が悪いときには腹痛や下痢になってしまうこともあります。
1-3.すぐにお腹いっぱいになってしまう
「えっ、もう?!」と思うくらいすぐにやってくる満腹感。アレもコレもまだまだ食べたいものはたくさんあるのに、すぐにお腹がいっぱいに。あの頃のように気持ちが満足するまで食べたいのに食べられなくなります。
2.オヤジになると胃の不調が続く理由
自分の意とは反して不調続きの胃、なぜだんだんと胃の不調が出やすくなってしまうのでしょうか。
2-1.肝臓の機能が落ちるから
白髪が増えたり肌の弾力がなくなったりするのと同じで、肝臓の機能も年齢によって落ちていきます。肝臓は摂取したアルコールの約90%を代謝している重要な器官です。
そんな肝臓の働きが落ちてしまえば、もちろん年齢によってアルコールが残りやすくなるのは頷けますよね。「前みたいに量を飲めない」、「次の日にアルコールが残りやすくなった」というのは肝臓の働きが落ちているからなのです。
2-2.消化酵素の量が減るから
脂っこいものを食べて胃もたれしたり、すぐにお腹いっぱいになってしまうのは食べたものを消化している消化酵素の量が減ってくるからです。胃からはペプシン、すい臓からはトリプシンやキモトリプシン、腸からはアミノペプチダーゼなどの消化酵素が分泌されています。
年齢によって内臓機能が落ちていくと、これらの消化酵素の分泌量も減ってしまうため、胃もたれを起こしやすくなってしまうんですね。40代になると20代と比べておよそ半分にまで消化酵素は減ってしまいます。
2-3.胃の粘液が減少するから
ところで胃酸がどれだけ強力な酸なのかご存知でしょうか。胃酸はかなり強力な酸性の液体で、胃酸により胃の内部はpH1~1.5程度と「強酸性」に保たれています。酸性が強い=刺激が強いのですが、それでも私たちの胃は胃酸で消化されることなく現状を維持していますよね。その理由は胃粘液が胃の粘膜を守っているから。
胃粘液によるベールが胃粘膜を守ってくれているので、胃酸の影響を受けずに済んでいるのです。ところが、この胃粘膜も年齢によって減っていってしまうことがわかっています。胃粘液が減ると強力な酸性である胃酸が胃粘膜を刺激してしまうことに。胃粘膜がダメージを受けてしまうので胃もたれを起こしやすくなるのです。さらにそこへアルコールのような刺激の強いものが触れると、追い打ちで胃がダメージを受けてしまいます。
3.胃の不調を改善するためにやりたいこと
内臓機能が落ちたり消化酵素が減ったりすることが胃の不調の原因です。つまり、いかにして内臓機能や消化酵素を増やせるか、というのが胃の不調を改善するのに大事なことだと言えます。
3-1.運動する
「筋トレは究極のアンチエイジング」と呼ばれることもありますが、胃腸機能を改善するのんも一役買っています。食べたものを胃から腸へ送る働きも筋肉の動きが関係しているんですね。
また体を動かすことで内臓の働きが活発になることも知られています。筋トレをすれば体も引き締まりストレス解消もできるので、一石三鳥。胃の不調が気になりだしたら運動をぜひ始めましょう。
3-2.よく噛んで食べる
よく噛む、簡単なようで見としがちですよね。「よく噛まないと消化に悪い」と一度は言われたことがあるでしょう。噛むことで唾液腺が刺激され、唾液が多く分泌されます。唾液にはアミラーゼというデンプンを消化する酵素が含まれているので、唾液が増えると消化にもよいのです。また噛むことで食物を小さく分解することで、胃や腸での消化もスムーズになります。
3-3.市販薬を見方につける
ドラッグストアで働いていたのでわかるのですが、胃薬を買われる方ってけっこう多いんです。「胃もたれがひどくて」、「消化不良みたいで」と毎日のように相談を受けていました。
胃薬は市販で簡単に買えるものですが、うまく見方につけることで今まで重かった胃がスっと軽くなりますよ。もちろんやたら胃薬を使い続けることは、胃の疾患を見逃してしまうことにもつながるのでおすすめできません。しかしいざというときに使うことで、元気な胃と再びご対面することができます。
4.症状別に胃薬を選ぶことが大切
胃薬を見方につけるがよいとはいえ、正直言って自分の症状に合う胃薬をきちんと選べている方は少ないのが現状です。
4-1.食後に胃の調子が悪くなる場合
何かを食べたり飲んだりすると胃の調子が悪いと感じる方は、胃の粘膜が荒れてしまっている可能性があります。胃の粘膜を保護する「スクラルファート」や「テプレノン」といった成分が入っているものを選びましょう。
また食べたものがなかなか消化されないお悩みには「消化剤」の入った胃薬も適しています。
4-2.空腹時に胃の調子が悪くなる場合
お腹が空っぽのときに胃の調子が悪くなりやすい方は、胃酸の分泌が多くなっている可能性があります。胃酸を抑える成分である「炭酸水素ナトリウム」や「炭酸マグネシウム」、「ピレンゼピン」などの成分が入っているものを選ぶとよいでしょう。
ちなみに食後も食前も関係なく胃の調子が悪いという方は胃粘膜を保護する成分と、胃酸を抑える成分、消化剤がすべて含まれた総合の胃薬もありますのでこちらもご検討ください。
4-3.番外編 二日酔い対策におすすめの市販薬
二日酔いしたくないからとウコンやシジミを必死に取っている方、多いですよね。「どれが効くの?」とズラリと並ぶウコン配合のドリンクを前にお悩みの方を何人も見てきました。ちょっとここで言いたいことがあります。
「本当に二日酔い対策をしたいのならウコンじゃダメです!」
ウコンは頑張って働いている肝臓にムチを打ってむりやり働かせるもの。肝臓の働きを助けたいのなら肝臓に救いの手を差し出す「ヘパリーゼ」や「システイン」が配合されたものを選ぶのが正しい選択。ちまたのウコンドリンクは清涼飲料水=ジュースと変わりないんです。本気で対策をしたいなら医薬品で勝負しましょう。
まとめ
多くのオヤジが悩んでいる胃の不調。肝臓などの内臓機能の低下や消化酵素の減少、胃粘液の減少などが胃の不調の原因です。年齢に抗えないと悩む前に「運動」、「よく噛む」、そして場合によってはお薬を見方につけることでフレッシュな胃で飲んだり食べたりできるようになりますよ。