gram社騒動の発端になった「登録商標」って、誰でもとれちゃうの?

  • 2019/02/01
  • ライフスタイル・娯楽
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gram社騒動の発端になった「登録商標」って、誰でもとれちゃうの?

他人のものを、パクっても許されることなのだろうか?

「株式会社gram」、問題になっていますね。
騒動の始まりは昨年の末、シンガポールのティラミス専門店「ティラミスヒーロー」が、ブランドロゴを日本で使用できなくなったとツイッターで訴えたこと。「ティラミスヒーロー」という名称とロゴを商標登録されてしまい、日本で商売が出来なくなったというのです。

商標登録をおこなったのは、日本の企業「gram」。同名のパンケーキ店を展開する一方で、ティラミス専門店「Hero’s」を今年に入ってオープンしたのですが、瓶詰めのティラミスを扱っていたり、猫のキャラクターを使っていたり、シンガポールのティラミスヒーローと商売のやり方が酷似している点が問題になりました。それだけでなく商標登録で、日本でティラミスヒーローを名乗れなくしてしまうとは!
ビジネスモデルをパクった挙句、相手を日本から締め出してしまう。このスマートとはいえないやり方に、SNSを中心に非難の声が集まったのでした。

gram社のやり方が、いただけないのは当然として……腑に落ちないのが、なぜgram社が商標登録ができてしまったか?という点。他人のものである商標を勝手に登録してしまうことって可能なのでしょうか。

 

誰のものか?よりも、登録されているか?が重要

商標登録とは手元の辞書によると「商標法に基づく商標を特許庁に登録出願すること」とあります。出願された商標は、特許庁の審査を通れば「登録商標」となり10年間、独占して使うことができるようになります。

審査の内容では「広く認知されている国旗のようなもの」や「公序良俗を害する恐れがあるもの」、そして「他人の登録商標と似ているもの」については登録できないというルールがあるのですが、注意すべきは他人の「登録商標」となっている点で、単なる「商標」ではない点。

登録商標となっていなかった「ティラミスヒーロー」は単なる商標ですから、すでに使われていたか否かは問わず、登録したgram社の商標になってしまったのです。

 

誰でもできる上に、費用もそれほどかからない

ならばなぜ、シンガポールのティラミスヒーローが日本で商標登録をおこなっていなかったか?というと、手続きが面倒だとか費用が高いといった理由ではないでしょう。
特許庁のホームページにアップロードされている申請用紙に記入して、収入印紙を貼って送るだけ。費用は申請用で3,400円と、どういったジャンルで商標を使用するかでも変わってくるのですが、数1,000~数万円を加えた額で済んでしまう。誰でもできてしまいますし、費用も知れているのです。

にも関わらず、ティラミスヒーローが商標登録をおこなわなかった理由は、恐らく日本人での商売を甘く見ていたため。
「東京スカイツリー」「クレヨンしんちゃん」「森伊蔵」など、日本でヒットしている商標を無断で登録してしまうような、中国のような国とは異なると考えていたからでしょう。

 

商標ゴロは、日本でも珍しい話ではない

これは、シンガポールのティラミスヒーロー側の落ち度としか思えません。
なぜなら、この様な登録商標でもめる事例は日本でもよくあるから。例えば、阪神ファンの記憶に残っているのは2003年に球団と関係のない人物が「阪神優勝」を登録して問題になったこと。2016年には「PPAP」がピコ太郎とは関係ない人物から出願されたということもありましたし、ある団体は数100もの商標登録を持っており、メーカーなどに商標を譲ることで数1,000万円もの利益を上げているとか。
この手の事例には事欠かないのです。

もし、ティラミスヒーローが開き直って商標を使い続けたらどうなるか?
恐らくgram側から商標の使用中止を求められたり、損害賠償を求められたりと民事的に面倒なことになることに加えて、刑事的にも罰も与えられてしまったことでしょう。その内容は法人が相手ですから、3億円以下の罰金となります。

この手の商標で儲けるやり方は、トロールビジネスとか商標ゴロとか呼ばれています。かといって、gram社の方を持つつもりは一切ないのですが。

この記事の作者

アントニオ犬助
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みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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