日本のボクシング世界チャンピオン、フライ級が一番多い理由とは?
- 2018/10/29
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ボクシングのフライ級は日本のお家芸
日本の現役ボクシング世界チャンピオンは、いったい何人いるでしょう?
この問いの答えは4人。先日、村田諒太選手がWBA世界ミドル級の王座から陥落してしまいましたから、現在はWBA世界バンタム級・井上尚弥選手、WBC世界ライトフライ級・拳四朗選手、WBO世界フライ級・田中恒成選手、WBO世界スーパーフェザー級・伊藤雅雪選手、以上4人が現役のチャンピオンになります。
この4人を見ても分かる通り、日本のボクシングで強いのは伝統的にミニマムからスーパー・バンタムまでの軽量級。過去91人誕生したボクシング世界チャンピオン(複数の階級を制覇した選手もいますから、ここでは113と数えています)のうち、6階級が72%も占めているのです。
もう少し詳しく見ていくと、日本のチャンピオンが集中しているのは軽量級の中でも、フライ級(19回)、ライト・フライ級(15回)、スーパー・フライ級(14回)の3階級。これらの合計が全チャンピオンの42%も占めています。とりわけフライ級だけで19回!!これはもう日本のお家芸といってしまっても良いでしょう。
軽量級が多いのは、日本人の体格ゆえ
なぜ、日本はフライ級(約49〜51kg)を中心としてチャンピオンが多いのか?
これは、日本人の体格によるところが大きいと考えられます。
「いやいや50kg程度の体重なんだから、日本人の中でも相当小柄な人ばかりじゃないの?」
なんて思いがちですが、そんな体重になっているのは試合直前だから。5〜10kgの減量を経て50kg程度に調整しているのですから、普段の彼らからは特に小柄という印象は受けません。
これを読んでいる方の中でも、自身の体重から5〜10kgを引いてみると、軽量級の体重に当てはまるという人も多いはず。日本人の体型にあっているのが、フライ級を中心とした階級ということです。
軽量級のボクサー育成のノウハウがある
「日本初のボクシングチャンピオン」白井義男氏や「最も偉大な日本人ボクサー」ファイティング原田氏ら、数々の名ボクサーがフライ級だった。これも日本に軽量級のチャンピオンが多い理由。つまり、軽量級のボクサーを育成するノウハウがあるということです。
重い階級となると同じボクシングであっても、軽量級とはトレーニング内容が違ってきますし、スパーリングの相手もいない。実践を積んでランキングを上げるにしても、国内では選手層が薄すぎる。重い階級の選手は、日本にいるだけで大きなハンディを背負っているのと同じことなのです。
日本では中重量級のチャンピオンとなるとスーパー・ウェルター級で5人、ミドル級で2人。ごく少数しか生まれていないのは、そんなところにも原因があるのです。
もちろん、育成のノウハウがあって、国内の選手層が厚いからというのは軽量級のボクサーが有利という一要素に過ぎません。逆にいえば国内の厳しい競争を勝ち抜かなければ、世界タイトルに挑戦すらできない、しかし世界タイトルを得るうえでは、大きなメリットなのです。
日本人がミドル級でタイトルを獲得する難しさ
だからこそ1995年に竹原慎二氏が、日本のボクサーとして初めてWBA世界ミドル級チャンピオンに輝いたときには「奇跡」と称されました。
日本や東太平洋地区といったミドル級の選手層が薄い地域で試合を重ねたとしても、普通はタイトルマッチのチャンスなど回ってくるはずもありません。ですからタイトルに挑戦できただけでも奇跡でしたし、奪取したというのも奇跡だった。誰も期待していなかったから、試合はテレビの生中継もありませんでしたし、それだけに竹原氏の凄さは未だに語り継がれているのです。
そして、日本のボクサーとして2人目に世界ミドル級の王者となったのが、村田諒太選手だったのですが……ロブ・ブラント選手とのタイトルマッチが残念な結果となってしまったのは皆さん御存知の通りです。報道によると村田選手は、今後について未だ決めかねているとか。
村田選手の一ファンとしては、今後も世界的な激戦区ミドル級で戦歴を築き、ミドル級で活躍する日本の選手の先駆けとなってほしいと思うのですが。