どうなってる相撲協会?人気力士は理事長になれないの?
- 2018/10/08
- ライフスタイル・娯楽
- 280view
- スポーツ
- スポーツ
- 力士
- 相撲
理事長になれなかった、人気横綱・大鵬
元横綱・日馬富士関による貴ノ岩関への暴行事件で明るみに出た、日本相撲協会と貴乃花親方との対立は、貴乃花親方が角界から去ることで一応の決着がつきました。
貴乃花親方といえば現役のころは、兄である若乃花とともに「若貴時代」を築いた名横綱。一世を風靡した人気者だっただけに、将来は日本相撲協会の理事に就任し、角界を盛り上げていってくれることを期待していた人も多かったことでしょう。
なのに「貴乃花親方・引退」という結果は何なんだ?
なんて考えていた時に頭に浮かんだのが、2013年にこの世を去った元横綱の大鵬親方です。横綱・大鵬といえば、日本の高度成長期の象徴ともいわれる大横綱。私、アントニオ犬助もリアルタイムでこそ体験していないものの、同じく横綱・柏戸とともに「柏鵬時代」を築いたことや「巨人・大鵬・卵焼き」と流行語になったほどの人気者だったことは知っています。
しかし、こんな人気力士の大鵬親方も理事長に就任できていないんですよね。
当時、大鵬親方と理事長の座をめぐって争っていたのは元横綱・佐田の山。実績・人気ともに大鵬親方には遠く及ばないにも関わらず、境川として7代目の理事長に選任されています。
改革派は排除するという協会の閉鎖性
大鵬親方が理事長になれなかった理由として様々なことがいわれているのですが、もっとも有力なのが「次は出羽海部屋から理事長を選出する」というのが、申し合わせられていたというもの。
選挙という形はとられていたものの実際に選挙がおこなわれることはなく、それぞれの部屋や一門間で調整した上で理事・理事長が選ばれていた。
強大な権力を持つ理事長職だけに部屋や一門の持ち回りという形をとっており、それから大鵬親方がもれてしまったというのです。
加えて大鵬親方といえば、日本相撲協会の中でも改革派ということで知られていました。
例えば、引退後に協会に対する批判を繰り返していた貴乃花親方の肩を持つ姿勢。2010年の理事選挙で貴乃花親方が理事になれたのは、大鵬親方が後見となっていたからといわれています。
また現役最強の横綱にも関わらず、言動で物議を醸す白鵬関。そんな彼が慕っていたのが大鵬親方。いまだ外国人が横綱となることに抵抗がある人も多い中で、外国人横綱から慕われるというのは、大鵬親方が改革派だった証。
日本相撲協会としては、改革派に理事長を務めさせるわけにはいかないという考えもあったはずなのです。
世論を味方につける人気者はジャマな存在
さて、犬助らの世代にとって人気力士といえば、横綱・千代の富士・九重親方なのですが、彼も人気の面では理事長にふさわしい人材のはずでした。しかし2014年におこなわれた理事選挙で、九重親方は最下位となり落選。
日本相撲協会のナンバー2である事業部長職も務めており、理事長への就任も噂されていただけに、落選は驚きを持って受け止められました。
この背景には、北の湖理事長との確執があったからとか、人望がなかったからとかいわれているのですが、加えて国民栄誉賞を持っている人物であり、九重親方の絶対的な人気が相撲協会としてはジャマだったのではないか? と、犬助は想像するのです。
絶対的な人気を持った九重親方が理事長になった場合、一門間のしがらみや力関係で成り立っていた日本相撲協会のバランスが壊れ、運営が立ちゆかなくなる。
多くの親方が、こんな風に考えたのではないでしょうか。
貴乃花親方は急ぎすぎたのではないか?
そして、今回の貴乃花親方の一件なのです。
常々日本相撲協会の体質に批判的だっただけに、貴乃花親方は協会としては煙たい存在。さらに人気力士だっただけに、世論を味方に付けやすい人物です。このままでは、どの様な改革を迫ってくるかわからないという不安感があったのでしょう。
だから貴乃花親方を失脚させることにした。
時間をかけて他の親方や理事たちに根回しをした上で改革を進めれば、日本相撲協会の体質も変わり理事長に就任することもできたのかもしれませんが、少し急ぎすだったのではないか? と、犬助は考えるのです。
伝統という名のもとに閉鎖性を維持する日本相撲協会。それだけに、人気があるだけでは理事長にはなれないということでしょうかね。