滑舌悪いおじさんでブレイク中の「天龍源一郎」プロレスラーとしてのすごさ
- 2018/05/21
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天龍氏、遂にCMに進出(字幕付き)
皮切りは2014年末、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」だったと記憶しています。以来、「ミスター・プロレス」こと、天龍源一郎氏のバラエティ進出が止まりません。
ごついガタイに、くるくるパーマというルックスもインパクト充分なのですが、それを上回るインパクトを与えてくれるのが、氏ならではの滑舌の悪さ。
そのおかげで天龍氏は、すっかりお茶の間でも親しまれる存在になり、大塚食品「MATCH」新CMでは高校生に扮する姿を見せるまでになりました。まあ、そのCMで氏のセリフは全て字幕付きになっているのですが。
そんなテレビで大活躍中の天龍氏を、高校2年生の息子なんぞは大笑いしながら見ていたりするのですが、父はいいたいのです。いかに天龍源一郎というプロレスラーはすごかったかを、単なる滑舌悪いおじさんではないということを!!
まあ、この話をしようと思うと「プロレスとは何ぞや?」という、話から始めなければならないので、少々ややこしくなってしまうのですが。
お客さんに、決して負けない天龍源一郎
「お客さんと相手、2人の敵と闘わなければならないから……」
こんなことをいっていたのは、あるプロレスラーなのですが、犬助はこれほど上手くプロレスというものを表した言葉はないと思っています。そして、この言葉を借りるならば、天龍氏はお客さんと相手、2人の敵に負けることはなかった。ここがプロレスラー・天龍源一郎のすごさなのです。
仮に、ものすごく地味だけれども効果はバツグン!!こんな技があったとしましょう。しかし、プロレスラーは相手に使わないもの。なぜなら、すごく地味な技で相手を倒しても、お客さんは喜ばないし、納得しないから。レスラーにとってはお客さんを喜ばすことが第一、これがレスラーがいうところの、お客さんとの闘いなのです。
例えば、天龍氏の代名詞となっている逆水平チョップ。
本来は相手の胸板に手の側面を叩きつける技だったのですが、天龍氏はこれを手のひらで叩く形に変更して、会場中に衝撃音を響き渡らせることにしました。相手にダメージを与えるだけでなく、お客さんに対しても説得力を持たせようとしたのです。
結果、天龍氏が逆水平チョップを打つたびに会場が沸く。今では、どんなレスラーも逆水平チョップは手のひらで打つようになりました。
パワーボム、サッカーボールキック、グーパンチ……天龍氏の技は万事この調子。
試合をしている相手ばかりでなく、見ているお客さんまで痛み、ダメージが伝わります。
その迫力を前に、お客さんは「天龍ってすげえ!!」と唖然とすることしかできなかった。つまり、お客さんに負けることがなかったのです。
それは犬助が住む片田舎の地方会場でも同じこと。
地方だからか、テレビカメラが入っていないからか、何となくチンタラとした試合が続く中、天龍が登場するカードはテレビさながら、いやテレビの数倍という、生ならではの迫力を放っていたもの……犬助も観客という立場で天龍氏にKOされた一人だったのです。
エグい技の応酬からも、決して逃げない!!
相手を痛めつけるような技を出す一方で、同等かそれ以上の技を人一倍食らっていたのも天龍氏。ジャンボ鶴田氏やスタン・ハンセン氏らライバルからエグい技を食らって、天龍氏がグロッギーになっている姿は度々目にしたものでした。
しかしプロレスラーという人たちは、相手を信頼しているからこそエグい技が出せるのです。相手に受ける技量がなくてケガでもさせてしまったら、その団体に二度と呼んでもらえないかもしれない。それだけにエグい技を食らうというのは、それだけ相手に信頼されているということなのです。
対戦相手からエグい技をドンドン出されるし、ドンドン食らってしまう天龍氏。
さらにエグい技が返ってくるのがわかっていても、エグい技を仕掛けていくのも天龍氏。
そして、エスカレートしていく技の応酬から、逃げる姿勢を見せなかったのも天龍氏だったのです。
相手にも負けないとはこういうこと、3カウントを聞くことがあったとしても、決して負けなかったというのが天龍氏の真骨頂……だからこそ、ファンや他のレスラーたちは天龍氏を「ミスター・プロレス」と呼びました。
ウエスタンラリアット、スリーパーホールド、トップロープに打ち付けられる。
喉にダメージを与えるエグい技は多数ありますが、それらを数え切れないぐらい食らっているのが天龍氏。あの、滑舌の悪さに拍車をかける、独特のしゃがれ声は長年にわたって技を受けてきた証。相手に負けなかったという証でもあるのです。
バラエティで活躍する天龍氏もいいじゃない!!
「お客さんにも負けない、相手にも負けない」
こんな激しい闘いを、天龍氏は引退する65歳まで続けました。
それだけでも、奇跡のようなものなのですが、引退後はテレビへと場を移して大活躍なのですから、天龍氏のバイタリティには本当に驚かされます。
犬助は最初のころこそ、バラエティに登場する天龍氏に違和感を抱いていたのですが、時間がたつにつれて、こんな天龍氏もありなのかな?と思うようになりました。
なぜなら現役のころからは想像もつかなかった天龍氏の楽しげな姿を目にすることができたから。そして一ファンとして、そんな氏の姿も楽しんでいくべきだと思ったから……世間の多くが、ただの滑舌悪いおじさんとしか思っていないことについては、多少不満ではあるのですが……天龍源一郎氏自身が、それも良しとしているのだから、良いのではないか?と、思うのです。