ボクシングの階級が違う人で戦ったらどれくらい違うの?
- 2018/03/28
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ダイエットの2kgと大いに違う、ボクシングの2kg
1960年代には10あったボクシングの階級が、現在では17階級となりました。
なぜ、こんなにも階級の数が増えたのか?というと、体重差が小さい選手同士が闘ったほうが安全でフェアな試合となるから。という、答えが表向きは正解となるでしょう。
しかし疑問に思うのが、その階級間の体重差がどれほどの差になるのか?というところ。
スーパーミドル級とライトヘビー級ならば、その差は約3.1kgありますから明らかに大きいと感じますが、その差は階級が下がるにしたがって小さくなっていくもの。
ミニマム級とライトフライ級の間の差は約1.4kgしかありません。
「ミニマムとライトフライなんて、階級を分ける意味があるの? たった1.4kgの体重差だよ?!」こんなことを考えるかもしれません。
「俺なんて2kg体重を落としたけれど、特に力が落ちた実感もないよ」ダイエットに成功した人ならば、こんな風にいうかもしれません。
例えば、卑近な犬助で説明するならば!!
しかしボクシングの階級差の1.4kgと、ダイエットで痩せた1.4kg。
本質的に違うということは、少し考えてみれば分かります。
前者の場合は減量でギリギリまで脂肪を削った結果の差が1.4kg、ほぼ100%筋肉量の差が1.4kgあるということです。
一方で、ダイエットで痩せた1.4kg。こちらは脂肪を燃焼させた結果が1.4kg、筋肉量はほぼ変化していないとしたら、力が低下したという実感がないのは当然なのです。
例えば、犬助の例をあげるならば、筋トレを開始して半年間で体重はプラス1kg、筋肉量はプラス2kgとなりました。これでベンチプレスがどう変わったか?挙げられるウエイトは30kgから60kgへと大幅に変化したのです。
まあ、筋肉量が2kgアップ=倍のウエイトをあげられる、という例がそのままボクサーに当てはまるはずがないのですが……まあ、筋肉量の差というのは大きなパワーの差になる一例としてはわかりやすいでしょう。
あのパッキャオですら、増量して上の階級に挑戦していた
「でも体重差をものともせず、複数階級を制覇するボクサーもいるんじゃないの?」
そんな声も聞こえてきそうです。
例えば、マニー・パッキャオが制覇したのは実に6階級……というか、彼の場合はライトフライ級からスーパーウエルター級まで、実に11階級で試合をしており、6つのタイトルを獲得している紛うことなき怪物なのです……そんな彼ですら、当然ですが体重は増やして闘っているというところを見ても、体重差は非常にシビアに考えなければいけないということは理解できるはず。
ライトフライ級でのデビュー当時から、パンチ力は階級を超えているという定評があったパッキャオですら、より重い階級で闘う際には増量していたもの。そうでなければ、パッキャオですら歯が立たない。
やはりボクシングにおける階級間の差は、我々が考えている以上に大きいということです。
なぜ山中は、あの体重差で闘わなければならなかったのか?
さてボクシングの体重差といえば、今年の3月1日におこなわれた、山中慎介とルイス・ネリのタイトルマッチが記憶に新しいところ。
前日の計量で山中が53.3kgに対してネリが55.8kg、これでネリは王座を剥奪されるに至ったばかりか、試合前には60.1kgまで増量していたというのはご存知の通り。
まあ、55.8kgから60.1kgまで増量したのはたった1日のこと。全てが筋肉で増量したのではありません。しかし、前日計量の55.8kgとしても筋肉量は2.5kgの差。これが大きな差であることは、ご理解いただけることと思います。
加えてウエイトリミットのギリギリまで削った山中と、減量をしたのかしないのか、よくわからない状態のネリでは、どちらの疲労度が大きいかと、いうというまでもなく山中。
1年間、ネリに勝つことだけを考えてトレーニングを積んできた山中の努力に応えることなく、試合が始まってしまったという時点で、山中のメンタルはボロボロ。
ここでも圧倒的に不利なのです。
ですから、あの3月1日の試合は体重差でも不利だった上に、精神的にも山中が不利だった。
そんな条件にも関わらず、試合をおこなってしまったとは何ごとだ!!と、犬助の怒りはネリよりも試合の主催者側へ向かってしまったのです。
10あるだけだった階級を17まで増やす意味も、フェアな対戦の増加という側面もあった一方で、タイトルマッチを増やすことで興行収入の増加や、団体のタイトルマッチの承認料収入の増加をにらんでのことだったと考えると、何とも言えない気分になってしまうのです。
最後の方は、ボクシングという業界の体質に対する怒りになってしまいましたが、ボクサーの階級間の体重差=筋肉量の差ですから、単なるデブと喧嘩する以上の差があるということで、結論としておきます。