支援団体など少額でも寄付したい!そんな方はまずは!!
- 2019/05/06
- ライフスタイル・娯楽
- 275view
- 教養/知識
- 世界
- 子ども
- 教養
- 海外
- 病気
- 知識
なぜ、子どもたちは苦しみ続けているのか?
伝染病の予防接種を受けられないとか、教育を受ける機会がないとか、成長に必要な栄養が不足しているとか。「世界の子どもたちが危機に瀕している」というCMを目にします。その度に、罪悪感や無力感にさいなまれる人は多いはず。子どもを持っている人なら、一層リアルに感じられることでしょう。私たちが子どもだったころから、この手のCMは流れていました。私、アントニオ犬助をことさらに悩ませるのは、それから数10年たった現在でも依然として同じようなCMは流れ続けていること。つまり、事態は全く改善していないということです。
依然として世界のどこかには、困難な現実に直面している子どもたちがいて、CMのように力のない目で支援を待ち続けているのでしょう。
犬助の家では自身の子どもの誕生をきっかけに10年以上、少額ではありますが某団体に寄付を続けています。しかし、罪悪感や無力感が消えるわけではありません。同じような悩み、多くの人が抱えているのではないでしょうか?
ネガティブな状況は改善しつつある
そんな悩みを解決してくれる本を見つけました。
ハンス・ロスリング氏による「ファクトフルネス(FACTFULNESS)」、日本語版が発売されたのは今年の初めなのですが、すでに世界で100万部以上売れているといいますし、書店でも平積みになっていますから、タイトルを目にした人も多いことでしょう。
この本は、ちょっとしたクイズから始まります。「世界中の1歳児の中で予防接種を受けている子どもはどのくらいいるでしょう」「世界の平均寿命はおよそ何歳でしょう」「低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を終了するのでしょう」。答えは順に、88%、72歳、60%、あれ?と思いませんか。件のCMによると貧しい国では、今も予防接種を受けられずに子どもがバタバタ死んでいるはずですし、長寿国日本からは想像もつかないくらい平均寿命は短いはずですし、とりわけ女子は教育を受ける機会がないはずなのです。しかし、それは過去のこと。現在では、まだ十分とはいえないものの、世界の子どもたちを取り巻くネガテイブな事象は改善しつつあるのです。
にもかかわらず、なぜ事態は改善されないと多くの人が悩み続けているのか。著者はそれらをデータに基づき「思い込み」であると説明。なぜ人々は思い込みにとらわれてしまうのか?そして、思い込みから開放されるにはどうすべきか?について述べていきます。
人間は無力ではないという実証
思い込みにとらわれがちな理由と、そこから開放される方法というのも面白かったのです。しかし、犬助が興味深かったのは、というかホッとしたのは、人間は無力ではないという事実を提示してくれたことです。たとえば、世界の平均寿命の平均は年々延びている。つまり、危機に瀕した子どもたちの数は年々減っているということを教えてくれました。つまり、犬助が子どものころから流れ続けている支援を呼びかけるCMの意味はあったということですし、犬助家が続けているわずかな額の寄付も生かされているということなのです。
にもかかわらず、依然としてCMが訴えているのは支援が必要だということのみ。これでは「毎月の金額がわずかすぎるのだろうか?」といった、無力感や罪悪感にさいなまれてしまうのは当然でしょう。集まった寄付のおかげで世界は改善しましたよ、というアナウンスがなければいけないのです。
もちろん支援が不要というわけではない
もちろん、支援が必要な子どもたちがゼロになったわけではありません。だからもっと、支援が必要という理屈は当然でしょう。しかし、少しずつながら世界はマシな方向へ向かっているというのも事実なのです。このことを広めるのは大切なこと、お陰で犬助の悩みは解決されました。もちろん、著者が述べているとおりデータに基づいて世の中を見るということは大切ですし、そのことで新しい視点を得ることもあるでしょう。しかし「何となく」という、皮膚感覚も同様に大切。なぜなら、すべてのことにおいて十分なデータが、必ずしも提示されるわけではないのですから。
犬助にとって「ファクトフルネス」という本は、長年の悩みの解決に有用でした。同じような悩みを抱えている人にとっても役に立つと思うのです。