格闘家は正当防衛にならないって本当?

  • 2018/12/06
  • ライフスタイル・娯楽
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  • アントニオ犬助
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格闘家が負傷したという2つの出来事

格闘家が負傷したという2つの出来事
「長与千種さんが暴行」
森嶋に続いて、長与もか?最初、ニュースを見かけた時に、私、アントニオ犬助は失礼にも、こんな風に思ってしまいました。しかし、よく読むと、長与さんが暴行「被害」。
ここまで読んでもなお犬助が、棚橋選手のアレとか前田日明氏のアレとかアントニオ猪木氏のアレといった数々の事件をイメージしたのは、今だに古いプロレスにとらわれていたから。

ではなくて、長与さんは男性に抑え込まれていた女性を救出、その際に小指を剥離骨折するケガを負ったというのです。

長与千種さんといえば女子プロレス界では説明不要のレジェンド。身長こそ170cmに満たないとはいえ体重は70kgを超えてきますから、普通の男性になら負けるはずがない。にも関わらず暴行被害を負ってしまったのは、彼女が常々後輩のレスラーに諭しているという
「リング以外で手を出してはいけない。殴るより殴られろ」
を実践したからだといいます。

そういえば、格闘家が傷害事件の被害者となった事件といえば他にもありました。
例えば、修斗の桜井速人選手が因縁をつけられ殴られた末に、左眼窩骨折など全治1カ月の大ケガを負ったというもの。これも普通に考えれば、桜井選手が負けるはずがない。
なのに、ケガを負わされてしまったのは「格闘家は絶対に素人を殴らない」というポリシーの元、桜井選手は殴られるがままになっていたからといいます。

 

ボクサーが暴れても過剰防衛に問われなかったケース

ボクサーが暴れても過剰防衛に問われなかったケース
こんな話を耳にして「格闘家が手を出すと正当防衛にならないからね」などと、したり顔でいう輩がいるのです。他にも「ボクサーの拳は凶器扱いだよ」とか「手を出した時点で過剰防衛になってしまうんだ」とか、色々いわれていますよね。

それでは、正当防衛と過剰防衛について述べた「刑法第36条」です。
・急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
・防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

これを読むと「格闘家が手を出す=過剰防衛」というわけではなさそうです。

そして、ボクサーが拳を使ったにも関わらず、実際に正当防衛と認められた例。ガッツ石松氏がヤクザ者8人を相手に大立ち回りを演じた、有名な「池袋乱闘事件」について。
当時、東洋ライト級王者だったガッツ氏は、弟にからんできた連中全員をKO、現行犯逮捕されてしまうのですが、2日間の拘留で釈放された。
これは正当防衛が認められたからだといいます。

やっぱり格闘家が手を出す、すなわち過剰防衛になるわけではありません。
特に先述の長与さんも桜井選手もケガを負わされている。明らかに「自己又は他人の権利」を侵害されていますから、その後の反撃は「やむを得ずにした行為」に当たるのです。

 

自身が背負っている責任があるからこそ

ただし反撃して大事に至ってしまったら、過剰防衛に問われる可能性はあるということは忘れてはいけません。だからこそ、長与さんも桜井選手も手を出さなかった。加えて、両者とも頭にあったのは、自分たちが格闘家という看板を背負っているという責任。

手を出してしまった時点で、女子プロレス界や総合格闘技界のイメージを悪化させてしまうかもしれないという恐怖でしょう。

 

そもそも、手を出す事自体が間違っている

そもそも、手を出す事自体が間違っている
加えて、正当防衛や過剰防衛という以前の問題もあります。
手を出す、すなわち悪という倫理上の話。だからこそ、長与さんは「リング以外で手を出してはいけない。殴るより殴られろ」と後輩にも教えており、自身も実践したのですし、桜井選手も「格闘家は絶対に素人を殴らない」というポリシーを守ったのです。

格闘家が手を出してしまう=過剰防衛では全くありません。そして、格闘家は手を出さないように訓練されている。ただでさえ粗暴だといった色メガネで見られがちな人々ですが、その点については、素人が想像している以上に教育されているということですね。
たまにタガが外れた狂犬みたいな人もいますけれど、それは極端な例ということで。
といいますか格闘家がどうした、正当防衛がどうした以前に、そもそも手を出す事自体が間違っているんですけれどね。

この記事の作者

アントニオ犬助
アントニオ犬助
みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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