医薬品だけではない、増殖するジェネリックシリーズ
- 2018/01/10
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あのバルセロナ・チェアが、こんなにも安価で
「Casa ブルータス」なる雑誌を久しぶりに手に取る機会がありました。
その昔、持ち家を検討していたころによく読んだなあ、と思いつつ見ていると目にとまったのが一脚のソファ「バルセロナ・チェア」です。
バルセロナ・チェアとはドイツの建築家、ミース・ファン・デル・ローエが1929年に手がけたことで知られるソファの名品。キルティングを施されたクッションとステンレスの脚からなるシンプルなフォルムが特徴で、数多くの人々から愛されてきました。
映画やドラマ、そしてインテリア雑誌などにもしょっちゅう登場するので、ご存知の方も多いでしょう。そして……やはり、首をもたげてくるのはバルセロナ・チェアを所有したいという欲。
持ち家はとっくの昔にあきらめましたが、お気に入りのソファぐらいリビングに置きたいという欲求は犬助にも健在なのです。
しかしバルセロナ・チェア、新品を購入するとなると80万円は軽く超えてくるもの。
そこで中古でもいいから購入できないか? と、思いつつWebで検索をかけてみると……驚いたことに、とんでもなく安価なものがあるんですよね、バルセロナ・チェア。実に数万円~10数万円!!
でも、それらの商品名の頭には「ジェネリック」何て言葉がついています。
ジェネリックといえば医薬品ですが
「ジェネリック」といえば医薬品、盛んに厚生労働省がPRしているアレですね。
後発医薬品ことジェネリック医薬品は、平たくいってしまうと特許が切れた医薬品と同等であるにもかかわらず安価なもの。
研究開発に費用がかかっていませんから、安価で購入することができますから医療費を抑えることができる。つまり、健康保険にかかる費用も抑えることができるというものです。
一方でジェネリック家具のバルセロナ・チェア。
ローエが亡くなったのは1969年ですから意匠権などはとっくの昔に失効しているので、今では無許可でコピー品を作ることができる。そこで「ジェネリック家具」と銘打って、数々のメーカーがコピー品を製造しているという具合です。
ローエが存命中のころよりバルセロナ・チェアを製造していた、ノール社やハーマン・ミラー社といった有名メーカーのものは「正規品」と呼ばれて80万円を越えてくる。それ以外のバルセロナ・チェア「風」のものはジェネリック家具と呼ばれているということです。
家具に家電に、菓子などなど
そういえば、ジェネリックといえば目に付くのが、ジェネリック家電。
こちらは、特許を持つメーカーに料金を支払って、独自の工夫を加えて価格を抑えることに成功した家電のこと。ホームセンターや家電量販店で見かけるマイナーメーカーの格安のカーナビやタブレットをこう呼ぶようです。
また近年、一部で話題になっているのがジェネリック菓子。
これは意図しているのかどうなのか不明ながらも、ホンモノとそっくりの食感や味を持つ菓子のこと。
きっかけは、Twitterのユーザーがセブンイレブンの「とろけるクリームのふわころ」を指して、「ジェネリック萩の月」と呼んだところからのようで、他にも数々のジェネリック菓子が話題となっています。
例えば、六花亭「マルセイバターサンド」とセブンイレブン「濃厚クリームのレーズンサンド」、明治「カール」と東鳩「ウラキャラコーン」、セブンイレブン「4種のチーズをブレンドしたチーズリング」などなど。
ジェネリック、今に始まった話ではないのですが
こんなジェネリックばやりの現状を見ていると、何だかなあとは思うのです。
もちろん、ジェネリックを製造するなら、それはそれなりの苦労はあるでしょう。
しかし、そんな努力をするぐらいならメーカーである以上、オリジナリティがあるものを製造するという努力もしてもらえないかと思うのです。
特定の物が安価になることによって得られる利益もあるのですから、ジェネリックすなわち悪とはいいません。しかし、そのメーカーならではのオリジナリティのあるものを製造することにより、世の中にもたらされる利益の方が大きいに違いないと思うのです。
まあ、思い出してみれば、過去にも「マウンテンデュー」と「メローイエロー」とか、「スコール」と「アンバサ」や「カルピスソーダ」とか、昔から色々ありましたけれどね。