戦争に使われる弾丸にもルールがある?
- 2017/10/27
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銃も色々、弾丸も色々
戦争で使われる銃には、「拳銃」「短機関銃」「重機関銃」「狙撃銃」など、様々な種類があります。そして、銃にも「引き金、遊底、照準、グリップ」など、様々なパーツが使われています。しかし、そのパーツを組み合わせて作った様々な銃も、肝心の「弾丸」がないと、その威力を発揮することはできません。ここでは、その「弾丸」にクローズアップして紹介していきます。
フルメタルジャケット
弾丸は基本的に、鉛でできた弾丸(弾頭)そのもの、それを発射するための発射薬、発射薬に起爆するための雷管、およびそれらを包み込む、薬莢で構成されていますが、その弾丸(弾頭)を、銅または鉄で薄くコーティングしたものを「フルメタル・ジャケット弾」と呼びます。
フルメタルジャケットと聞くと、スタンリー・キューブリック監督の映画のタイトルを思い浮かべる人も多いかと思いますが、まさしくこの映画のタイトルと同一です。
弾丸は、コーティングすることにより、その貫通力は高まりますが、「フルメタル・ジャケット」は主に軍用で使われま、狩猟用に「弾丸」の先端をコーティングせず、一部露出したものを「ソフトポイント弾」と呼びます。
「鉛」は「鉄」や「銅」よりも柔らかい素材です。釣りに使う「おもり」のひとつに、歯でかんで釣り糸を挟み込む「ガン玉」というものがありますが、噛み潰した際に歯の跡が出来るほど、銅というのは、柔らかい素材です。
「ソフトポイント弾」は主に狩猟に使われますが、これが人体にぶつかるとどうなるでしょうか。体内にぶつかった鉛弾は、衝撃でその先端をきのこのように割かれた後、体内で暴れまわり内臓をズタズタにし、残留した鉛は体内に悪影響を及ぼします。そのため、軍用としては現在、「ソフトポイント弾」を使うことはありません。
ダムダム弾
しかし、このソフトポイント弾は、かつては使われていました。それが、ルパン三世にも出てきた「ダムダム弾」です。狩猟用の弾頭「ソフトポイント弾」を19世紀、イギリス軍が使いだしたことにより、世界に広がっていきました。
ダムダム弾の名前は、当時弾丸が作成された兵器工場の名前に由来します。このダムダム弾は「人体に不必要な苦痛を与える」ために「ハーグ陸戦条約」に違反しているとのドイツからの抗議により、現在は戦争において使用禁止となっています。
「戦争そのもの」「銃で人を撃つ行為」こそが苦痛ではないか?と考える方もいるかもしれませんが、戦争はあくまで「外交の一手段」であり、その目的は「戦闘員を弱体化」させることにあるため、民間人が考えるよりも、殺傷や苦痛を与えることを目的としてはいないのです。
また、「ハーグ陸戦条約」には、「戦闘員の定義」や「俘虜(捕虜)」の扱いなど、興味深い項目が定められています。確かに戦争そのものが非人道的行為であるため、ハーグ陸戦条約があっても殺戮行為を肯定できるものではありません。しかし、せめて人間への被害を最小限にとどめる努力すらも忘れてしまうことは避けなければいけません。