空中戦で日本機が落とされる映像が多い理由とその映像が持つ意味とは?
- 2017/08/23
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ガンカメラの存在
ガンカメラと聞いて何のことかすぐにわかるオヤジは、ちょっとしたマニアかもしれません。カメラマニアか戦史マニアか、いずれにしてもあまり興味のない人にはピンとこない単語がガンカメラです。
元々ガンカメラとは、戦闘機などの軍用航空機に取り付けてある機銃連動の撮影装置のことをいいます。現代の日本で世間的に目にすることができるガンカメラの映像といえば、米軍機が日本軍機を銃撃して撃墜するシーンが多くなっています。このようなシーンは、映画などに使用されることもあります。
第二次世界大戦では、アメリカ軍はモーパックと呼ばれる戦場記録班による数多くの戦闘映像を残していますが、その空中版とでも呼ぶべきなのがガンカメラ映像です。ガンカメラの実用化が進んで、実際に活用したアメリカに対し、日本はガンカメラによる記録がアメリかのようには実用化に至っていませんでした。そのため、米軍機が日本機を銃撃する映像ばかりが流されています。
但し、ガンカメラだけが優秀であっても、肝心の空中戦で勝利できなければこのような記録映像は残りません。史実に忠実にいえば、大戦後期には、日本の陸海軍戦闘機は米国の陸海軍と海兵隊の戦闘機に比べて性能が良くない場合が多く、搭乗員の練度も低くなっていました。
戦闘機の種類でいえば、日本海軍が相変わらず零式艦上戦闘機の各型に頼っていたのに対し、アメリカ軍には海軍や海兵隊のF6Fヘルキャット、F4Uコルセア、陸軍のP-51マスタングなどの高性能機が大量に投入されています。日本海軍の紫電改や日本陸軍の疾風などは優秀な基本性能を持っていましたが、主役として活躍できるような環境にはありませんでした。
マリアナの七面鳥狩り
戦争における典型的に悲惨な出来事としてマリアナの七面鳥狩り(マリアナの七面鳥撃ち)があります。マリアナ沖海戦における日米の航空戦において、あまりにも一方的にやられたわけですが、アメリカ側から見れば七面鳥狩りのように容易なものだったとして揶揄した言葉がこれです。
つまり、質量ともに優勢な米軍の前に、日本が優勢な戦いを行える機会が激減していた当時、ガンカメラに収められる光景として日本軍機の撃墜シーンが多くなったのは必然だったといえます。
また、当然ですが、ガンカメラがとらえる映像は航空機のものだけではありません。制空権を確保した米軍機からは、日本の艦船や本土を撮影することも容易になっていきます。空襲時に列車へ機銃掃射するシーンなどもよく目にするものです。
このようなガンカメラの映像を21世紀の今日において見るときに、どのような感想を持つかは人それぞれです。そんな映像は見たくないと思うオヤジもいることでしょう。しかし、思想信条を超えて事実としてのガンカメラ映像から目をそらさないで見つめることも大切なことです。戦争を知らない世代が多数を占めるからこそ、客観的な記録が持つ意味は大きいといえるでしょう。