憲法改正の歴史

  • 2017/06/02
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日本の憲法は改正されないのが基本

このところ憲法改正論議が活発化しているようです。憲法改正といえば、第9条ばかりが騒がれますが、全部で103条ある憲法のどこを変えるかは様々な意見があります。この現行憲法である「日本国憲法」はこれまで一度も改正されたことがありません。それは、オヤジもよく知るところでしょう。

日本国憲法は本当に改正されるのか

ところで、この日本国憲法の前にあった大日本帝国憲法ですが、こちらも改正されたことがないことをご存知でしょうか。結果論ですが、日本の憲法は改正されないのが基本となっているのです。

但し、日本国憲法は大日本帝国憲法を改正したものとの立場では、大日本帝国憲法は改正されたことがあるとなります。同時に、改正後の現行憲法としても、旧名称であった過去に改正暦があることになります。

現行憲法が大日本帝国憲法の改正によるものであるとする根拠は、制定に至る過程が大日本帝国憲法第73条によっていることです。

この規定は以下のとおりです。
「将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
2 此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノニ以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス」

つまり、改正については勅命で帝国議会の議事とすること、但し、貴族院と衆議院ともに2/3以上の出席が必要であり、出席者の2/3以上が賛成しなければ改正できないという規定です。

この文言からは、改正を可能としながらも、改正に消極的な姿勢が読み取れます。2/3以上で「できる」ではなく、2/3以上でなければ「できない」と書いているからです。2/3以上を要求する時点で硬性憲法ですから当然といえば当然です。

改憲は可能としつつも実際は改正に消極的な文言が存在する硬性憲法

 

憲法改正は憲法違反なのか?

いずれにしても、日本国憲法が1947年5月3日の施行から70年を超えて改正されていないことは事実です。しかし、第96条に改正手続が規定されている以上、憲法改正自体は憲法を遵守することと矛盾しません。ところが、憲法改正どころか、その議論さえも許さない!という、まるで憲法改正が憲法違反ででもあるかのような鼻息の人たちがいます。

日替わり憲法では困りますが、解決しがたい矛盾を内包したままだとすれば、憲法としての役割を果たせません。改正すべきは改正する。しないところはしない。その判断はオヤジを含めた国民の責務です。一部の国会議員だけが考える話ではありません。とはいえ、これは難しい話が多いのも事実です。

そこで注目したいのが、憲法改正の発議による国民投票ではなく、現行憲法を改正しないことを支持するかどうかという国民投票を求める声です。憲法改正の発議によるものの場合、具体的な改正案の判断をしなければなりません。しかし、現行憲法のままで良いか否かの国民投票であれば、個別条文を考慮する必要がないのです。現行ではダメだとの判断が多数となったとき、そこで具体的な中身を考え始めることができます。

現在の国民投票法は、正確には「日本国憲法の改正手続に関する法律」と名付けられており、その内容も憲法改正の発議を前提にしています。

ただ、現在ある国民投票法は、正確には「日本国憲法の改正手続に関する法律」と名付けられており、その内容も憲法改正の発議を前提にしています。従って、単に現行憲法を改正しないことへの支持不支持については、この法律を根拠とした国民投票ができません。別途、そのための国民投票法を制定する必要がありそうです。または、「日本国憲法の改正手続に関する法律」の改正が必要です。

憲法が改正されない歴史は、もうしばらく続きそうです。

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