やり玉にあがった偏差値40発言と「KISSの原則」
- 2017/03/07
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今更ながら? 「KISSの原則」
「Keep it simple, stupid (シンプルにしておけ!この間抜け)」、もしくは、「Keep it short and simple (簡潔に、単純にしておけ)」。
物事はシンプルなほうが良いという意味で、頭文字を取って「KISSの原則」と呼んだりするのです。
面白いのが、このKISSの原則、ロッキード社のスカンクワークスで先鋭的な航空機を開発していたケリー・ジョンソンにより考案されたということ。
高硬度を飛ぶ世界最速の偵察機とか、非常に複雑な技術がなくてはなしえない仕事の中心人物が言い放ったということです。
スカンクワークスでも、モータウンでも
面白いのがこの「KISSの原則」という言葉が、ケリー・ジョンソンが活躍していた当時のモータウンレコードでも、符丁のように使われていたということ。
60~70年代に全盛期を迎え、アメリカのポピュラーミュージックシーンを席巻したモータウンの音色は「モータウン・サウンド」の一言で表せば、誰もが同じ音色を思い浮かべるぐらい、単純化・ステレオタイプ化していました。
つまり、売れる音とは何かをモータウンのプロデューサたちは知っており、その再生産を繰返していたということです。
そして、モータウンレコードは所属していたミュージシャンたちの才能もあって、今でも音楽界に大きな影響を放ち続けているのです。
普通の人が運用すると考えるなら……
ロッキード・スカンクワークスとモータウンレコード。
この全く違う2つの世界で「KISSの原則」という言葉が使われていたのは、重要なことを教えてくれます。
天才技術者ならば、ともすれば複雑で高度すぎる技術を使って製品を開発しかねない。
実験段階ならばいいのでしょうが、いくらスカンクワークスとはいえ造っているのは製品である以上、高度すぎる技術を使ったものでは維持運営が不可能になる。
技術者の独りよがりになってはいけないよ、という戒め。
普通の人をお客さんと考えるなら……
また、モータウンも天才ミュージシャン揃いなのですから、やろうと思えばいくらでも芸術至上主義的な複雑なものを作ることはできる。
しかし、それではポピュラーミュージックとして商業的成功はおぼつかなくなる。
ミュージシャンの独りよがりになってはいけないよ、という戒め。
そんな風に「KISSの原則」はそれぞれの現場で用いられていたのでしょう。
普通の人とは、偏差値40なのだろうか?
「CMは偏差値40の人にも理解できるものじゃなきゃダメ」元電通の社員だった人が、こんなことをツイッターでつぶやいており、反響を呼びました。
受け手に対して、このような上から目線の言い方はどうなんだ?とか、愚民を導いてやろうというような考え方はどうなんだ?とか。
でも、言わんとしている事は「KISSの原則」と同じことなんだろうと思いますし、概ね間違ってはいないと思うのです。
昔のCMにキュンとするのはなぜ?
でもねモータウンやスカンクワークスの仕事が、今だに輝きを放っていることに対して、今の電通の仕事が全く輝きを放っていないのはどうなんだろうと思うのです。
そういえば、昔のCMなんかは、コピー一つでも胸に刺さるものがありましたよね。
「恋は遠い日の花火ではない」とかね、サントリー・オールドのCMですけれど。
昔の偏差値40は今の偏差値よりも高かったのか、それとも、電通自身の偏差値が下がっているのか……多分、両方でしょうね。