話題の映画「麻雀放浪記2020」。いったい何が話題になったのか皆さんご存知ですね。タレントでありミュージシャンでもあったピエール瀧が、麻薬使用で逮捕され出演作品が放送中止やお蔵入りしたり、代役を立て撮り直しとかなり世間を騒がせました。そんななか、ピエール瀧が出演している4月公開の映画「麻雀放浪記2020」が、監督と配給元の東映の大英断によりピエール瀧の出演部分をカットや代役で取り直すことなく出来たまま、そのままで公開されることになりました。

 

上映前の注意テロップ、、。

映画が上映される前に、「本作品には、反社会的行動をしたピエール瀧が出演していますが、、。」と断りのテロップが流されました。ピエール瀧が演じる場面は、それほど多くなくむしろ代役を立て撮影しなおすことも可能ではないかと思えるほどです。しかし、公開時期が2019年4月。まさにあと一か月で平成から令和にかわるこの時代の流れを感じさせてくれるこの時期。歴史的な瞬間を目指して昭和のノスタルジアを感じさせる博打映画「麻雀放浪記2020」を公開する意義があるのです。

ピエール瀧が出演部分を取り直しているうちに、平成から令和に代わってしまっては、時期を逸してしまって最大のインパクトがなくなってしまうのではないでしょうか。ピエール瀧の逮捕のため、試写会は一切行われませんでしたが、ニュースを知ったことから観客動員にはプラスになっているようです。

阿佐田哲也のベストセラー小説「麻雀放浪記」は、1984年に和田誠監督が戦後の雰囲気を出すためにモノクロ映画で仕上げられ、キネマ旬報年間ランキング4位に輝く秀作です。「麻雀放浪記2020」は、阿佐田哲也氏の小説と映画をキープコンセプトに、近未来SF要素がプラスされあらたに書き起こされたオリジナル脚本で作成されました。撮影は、全編スマホのiPhoneでされたとか。その数は約20台で驚かされます。

 

あらすじ

1945年の戦後から2020年の戦後にタイムスリップしてしまった坊や哲。しばらく、自分が時空を越えてきてしまったことに気が付きません。2020年の日本は、どこかと戦争をして敗戦してしまったあとの戦後。

坊や哲は、そのことを知り愕然としてしまいます。メイド喫茶ならぬメイド麻雀で、警察の厄介になってしまった坊や哲は、メイド麻雀で知り合ったドテ子のところに転がり込みます。2020年戦後の日本は空前の麻雀ブーム。そこで芸能プロダクションをしているクソ丸から類まれなる麻雀の腕を見込まれプロ雀士・昭和哲として華々しくデビュー。坊や哲は、己の命を懸けた大博打の麻雀で、幻の役満「九蓮宝燈(チューレンポウトウ)」を出せば、雷に打たれそのエネルギーで1945年に戻ることができるのではないか!?と確信して麻雀五輪の戦いに挑んでゆくのです。

 

監督・脚本・音楽

白石和彌監督の代表作は、「虎狼の血」や「凶悪」です。テレビ東京の深夜ドラマ「フルーツ宅配便」の1～」3話まで監督をしています。アウトローを描いた作品が得意です。

脚本は、佐藤佐吉・渡部亮平・白石和彌となっています。

エンドに流れる映画主題歌は、CHAIの「Feel the BEAT」。なんと映画主題歌初制作です。

 

キャスト

主人公の坊や哲 役の斎藤工。ドテ子 役のチャラン・ポ・ランタン（ボーカル）のもも。雀荘オックスのママ矢代ゆきとAIアンドロイド ユキの二役のベッキー。芸能事務所社長のクソ丸 役の竹中直人。ドテ子の追っかけ 役の岡崎体育。杜 役のピエール瀧。ドサ健 役の的場浩司。出目徳 役の小松政夫。

ほかに、音尾琢真、伊武雅刀、ヴァニラ、舛添洋一など豪華出演者が多数勢ぞろいしています。

 

見どころ（ちょいネタバレあります。）

①麻雀放浪記2020の日本は、超管理社会!?
2020年の近未来の様子。マイナンバーのチップが体に埋め込まれ、街中の防犯カメラで管理されている未来の日本。警官も市民のためではなく国家のために管理している存在。人々の楽しみはVR（バーチャルリアリティ）。1945年からタイムスリップした坊や哲には驚くことばかりです。

②竹中直人の怪演はスゴイ！
クソ丸 役の竹中直人の怪演は、ウォーターボーイズのコーチを彷彿させられるもの。最低最悪なクソ人間クソ丸を見事に演じ切っています。

③ふんどし姿も凛々しい斎藤工
ふんどし姿で、頑張る斎藤工。学ランにふんどし姿って、少年ジャンプとかの漫画でしかありえないような姿です。昭和哲サイコー!!大人気となりますが、、。

④注目すべきベッキーの演技
二役をこなすベッキー。オックスのママ役とAIアンドロイドを見事に演じました。麻雀をまったくやったことがないベッキーは猛練習して撮影したそうです。

⑤近未来はこうなるの？VRセックス
ドテ子役のももとクソ丸のVRセックス。VRゴーグルで、それぞれ違う映像を楽しみながらのセックスは昔読んだSFにあったような、、。

⑥岡崎体育も好演してます。
ドテ子の追っかけオタク役の岡崎体育。五輪会場の電源を停電させる銃を作れるって？どんなひと？

⑦お笑い界の重鎮 小松政夫
日本喜劇人協会会長（第10代）を務める小松政夫の至宝の演技。ネットでしかみれない淀川長春で、「麻雀放浪記2020」の予告編は無茶苦茶笑えます。

 

お勧め度（★5点満点で）

★★★

Rｃオガは、若いころ「麻雀放浪記」の映画も観たし小説も読んでいましたが30数年の歳月はすべて忘れてしまいました。麻雀のレベルも、子供とドラえもんのドンジャラーをやったくらいで役満もあんまり知りません。まぁ、ほとんど麻雀初心者レベルの知識しかありませんが十分に楽しめました。（その分、麻雀通からはつまらないと酷評されているようです。）ベッキーや舛添要一など芸能ゴシップニュースの話題になった人が多数出演しているのも面白いところです。

平成から令和にかわる時代が移り変わる、この時に1945年の昭和の戦後を思い出させてくれる「麻雀放浪記2020」は、今こそ見るべき映画でしょう。