30代の元ギター小僧がギブソンの破産申請について思うこと

  • 2018/05/03
  • ライフスタイル・娯楽
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  • 富士山田 不二男
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先日アメリカの大手楽器メーカーギブソンが破産申請をしました。
私は現在30代の元ギター小僧であり、ギブソンについて様々な思いがあります。

 

ギブソンとは

Gibson Guitar Factory, Memphis, TN

ギターやベースを弾いたことがある、バンドを組んだことがある人ならば恐らく知らない人はいないのではないかというほどの楽器メーカーです。
中でも有名なのはレスポールというモデルのギターではないでしょうか。
ギターと言えばギブソンかフェンダーと言われるほどの存在感は今も健在です。

創業自体は1894年にまで遡り、当時はマンドリンの制作をしていました。
後にギター制作を始め、1950年代にはギタリストのレス・ポール氏との共同開発によりかの有名なレスポールが誕生しました。
その後もフライングVやエクスプローラーなどの当時としては革新的なモデル(革新的過ぎて当時はなかなか受け入れられなかったという説もあります)を発表し、これらも含め、現在のギターにスタンダードとして君臨しています。

 

私のギブソンとの出会い

東北の田舎で過ごした中学1年の時に当時のラルクアンシエルなどのバンドに憧れて、ギターを買うことを決めた私はギター雑誌を買いました。
そこで初めてギブソンの名前を知るのですが、値段を見てびっくり当時のレスポール・スタンダードが約25万円ほどで、自分には縁のないギターだと思いました。
結局当時の私はフェルナンデスという国内メーカーの4万円のレスポールタイプのギターを買いました。
しかし、テレビや雑誌に載っているプロのミュージシャンのほとんどがギブソンのギターを弾いているのを目の当たりにし、次第にギブソンへの憧れが強くなりました。

そんな私が初めて目の前でギブソンのギターを見る機会が訪れました。
高校生の時にバンドを組んでおり毎日のようにバンドメンバーと放課後を過ごしていたある日、友人が「東京の専門学校で音楽を習っているやつだ」と紹介された彼は金髪の長髪で手には「Gibson」のロゴが入ったハードケースを手にしていました。
彼がハードケースから取り出したのはワインレッドのレスポール・スタジオ(レスポール・スタンダードよりはリーズナブルなモデル)で、そのまま私のアンプに繋ぎX JAPANの紅を弾きだし「同じアンプなのに自分のギターと全く音が違う、これがギブソンか!」と圧倒されたのを今も鮮明に覚えています。ちなみに彼とあったのは後にも先にもそれっきりだったため強烈な思い出です。

 

ギブソン破産申請の要因

Gibson Les Paul Standard electric guitar

そんなギブソンが破産申請をしたことを知りましたが、経営が危なくなっているという話は以前よりありましたので、正直なところそれほど驚きませんでした。
ギブソンがこのような状況になったことについていくつかの要因が語られることがあります。

経営の多角化

ギブソンは様々なメーカーを子会社化しました。それも一時代を築いてきたメーカーばかりですが、子会社化後に良いエピソードを聞く機会はあまりありませんでした。

  • クレイマー
  • スタインバーガー
  • ヴァレー・アーツ
  • トバイアス
  • ボールドウィン
  • オーバーハイム
  • スリンガーランド
  • ティアック
  • Cakewalk
  • フィリップスの音響機器部門

これらはギターメーカーも含まれていますが、ギター以外の楽器メーカーも多いのですが、ギブソンがそれらをうまくコントロールできなかったと言われたり、なんの目的で子会社したのかわからないと言われるものまであります。

 

木材の調達問題

かつて、ギブソンのギターのフレットボード(指板、弦を押さえる部分)にはエボニー(黒檀)という木材がよく使われていました。
ギブソンのギターの音色を語る上でも欠かせないものとも言われるほど重要な部分です。
このエボニーが近年、入手が困難・価格の高騰といったことが起こりました。ギブソンは2012年に証明書類を取得せずにエボニーを輸入したとして30万ドルの罰金を支払うことが命じられるといったこともありました。
また、ギブソンはエボニーの代わりとなる素材として「リッチライト」という人工樹脂をフレットボードに採用しはじめました。
リッチライトは見た目、音もそれなりにエボニーに近づけることができ、またエボニーよりもメンテナンスが容易であるといった要素がありながらも、ユーザー側がそれを受け入れられないっといった風潮もありました。
リッチライトはまだ新しい素材であるため、実績が少ない(不安がある)ことや、ギブソンといえばエボニーでなければといった拘りや憧れが強いことが要因でないかとも言われています。

 

契約アーティストとのリレーション悪化

ギブソンはこれまで多くのビッグアーティスト達と契約し、そのアーティストの名を関したシグネチャーモデルの開発・販売をしてきました。(レスポールもそのひとつです)
しかし、この数年でギブソンとの契約を解消し、シェクター(米)やESP(日)といった他のメーカーと契約したり(ニッキ―・シックス、ビル・ケリハーなど)、アーティスト自身が楽器メーカーを立ち上げる(ザック・ワイルド)などの動きもありました。
彼らはいずれもギブソンに対しての不満を後に述べています。

今回の破産申請に至るまで、これらのうちどれが決定的な要因であったかは定かではありませんが、それぞれが要因であるようにも思えてなりません。

 

今のギブソンに対する思い

現在の私はバンド活動はしておらず、時々ギターを触る程度ですが、それでも休日に楽器屋へ行ってギターを眺めてり、ネットで新しいギターの情報を集めていたりしています。
今は昔と違ってギブソンのギターを買うことも現実的に可能にはなりましたが、結局一度もギブソンのギターを買ったことはありません。
かつて八重洲にあったギブソンのショールームへ足を運び、昔の憧れだったギブソンのギターを弾いたり、昔の強烈な思い出もあり、ギブソンのギターに悪い印象をもっているわけではないのですが、今のギブソンに対して「欲しい」と思うことがないのです。

実際に私が今注目しているのは、ギブソンと並んで二大巨頭と言われるフェンダー。そして気鋭のギターメーカーとして注目を集めるストランドバーグです。

二大巨頭と言われたフェンダーの業績は好調であるとフェンダーのCEOは語りました。フェンダーは積極的なにマーケティングを行い実践、改善を行い新たなユーザーを獲得することに成功しているようです。
製品を見ても私個人としてはフェンダーの方が魅力的に思えます。これもそのマーケティングの効果とも言えるのかもしれません。

またストランドバーグについては、エルゴノミクス(人間工学)を取り入れたユニークなデザインとは対照的に圧倒的な弾きやすさを実現した比較的新しいメーカーです。ストランドバーグはそのデザインから、ギブソンの子会社となったスタインバーガーにも似ていると言われます。スタインバーガーも当時としては画期的なギターとして注目を集めました。しかし、ギブソン買収後は製品展開がほとんどなく、スタインバーガーファンは中古を探すほかありません。その中古も状態の良いものを探すのは困難であり、またあったとしても高騰しているなどの辛い状況に今もあります。
ストランドバーグとスタインバーガーは全くの別物ですが、こういった状況からストランドバーグを手にしたスタインバーガーファンは私だけではないでしょう。

 

今後、子会社のいくつかはこれまでと変わらない活動をすることを発表していますが、ギブソンはどのような動きをするかについては現在明らかにはなっていません。

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富士山田 不二男
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好奇心旺盛なおじさん。
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