嫌煙ブームで注目が集まる電子タバコ

国際ガン研究機関IARCが指定する発ガン性リスクのリストでは、「人間に対する発ガン性が認められる」とされるグループ1にタバコの喫煙が含まれています。他にグループ1に分類されているのは建設現場の作業員などに健康被害が相次いで使用禁止になったアスベストや、DNAを傷つける化学兵器・マスタードガス等々。このような恐ろしい化学物質と一緒に並んでいると、タバコの危険性を改めて感じますね。
タバコは着火した部分から出る煙の副流煙にも発ガン性物質が含まれるので、周囲の非喫煙者にまで健康被害を与えます。このため現在では飲食店や公共施設を全面禁煙にしたり、駅やオフィスに喫煙コーナーを設けたりすることが当然となっています。
このような風潮の中で喫煙者の人気を集めているのが電子タバコ。熱した蒸気を吸うので煙が出ない点と、燃焼で発生する有害物質を抑えられる点が人気の理由です。電子タバコにはタバコの葉を加熱する「加熱型」と、フレーバーつきのリキッドを加熱する「蒸気型」があり、一般的には加熱型を「加熱式タバコ」、蒸気型を「電子タバコ」と呼んで区別することが多いです。
ところが、電子タバコでも有害物質による健康被害を抑えられるわけではないという見解が、最近になって発表されました。

健康に悪影響がない…とは言い切れない

日本呼吸器学会が公式サイトで発表した「非燃焼式・加熱式タバコや電子タバコの新型タバコに対する見解」によると、「電子タバコは従来のタバコと比較して健康被害が少ない」という意見に科学的根拠はないそうです。
なぜなら、決定的なデータがまだないためです。もともとのタバコはアメリカ大陸で少なくとも16世紀から栽培され、喫煙に用いられてきました。およそ500年にわたるデータの蓄積があるからこそ、現代になって健康被害があると結論づけられるのです。
これに対して電子タバコは人気のアイコスが2014年発売ですから、科学的根拠を提示できるだけのデータが足りないのは当然でしょう。

つまり健康被害があるという意見にも科学的根拠はないといえるのですが、電子タバコにも有害物質のひとつのニコチンが含まれることは間違いありません。加熱型の場合はタバコの葉を熱しているためであり、蒸気型の場合はニコチンを含むリキッドの国内製造販売が禁じられていますが、個人輸入で海外から入手できるためです。
ニコチンそのものに発ガン性は認められていませんが、強い依存性がある神経毒なのでなかなかやめられません。もしも将来的に電子タバコの発ガン性が認められても、すでにニコチン依存症になっている人は簡単にやめられない……多くの医師や禁煙を勧める団体が恐れているのはこのような事態なのです。

電子タバコでも女子に嫌われるのは変わらない

結局のところ、電子タバコが有害か無害かはまだわからないというのが現状です。そしてここでもう一点、モテを目ざすオヤジなら忘れてはならないことがあります。タバコは圧倒的に女子ウケが悪いという事実です。
マイナビウーマンの調査では、約7割の女子が「喫煙者は恋愛対象にならない」と回答しています。中には「将来的に子どもにまで被害が及ぶ」という意見もあるように、結婚対象からもはずされてしまいかねません。
「でも電子タバコなら煙も出ないし大丈夫では？」という意見もあるかもしれませんが、非喫煙者から見ると電子タバコも従来のタバコも大して違わないというのが本音。最近の飲食店では禁煙であっても電子タバコならOKの場合もありますが、ニオイや煙が完全にないとはいえないので、不快に思っている非喫煙者は多いのです。電子タバコには蒸気がたくさん出る爆煙タイプもありますが、有害物質が抑えられているかもわからない現状で大量の蒸気を吐き出すなど論外です。
タバコは電子タバコでも控えめに、嫌いな人の前では吸わない心配りを忘れないようにしましょう。