セイコー「ジョブズ・モデル」について
- 2017/12/21
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セイコー・シャリオ「ジョブズ・モデル」復刻!!
スティーブ・ジョブズズ氏といえば不世出のカリスマにして、天才とかなんとか。
亡くなって随分たつというのに、彼の名声は衰えるどころか増すばかり。
アップル社が新しいプロダクトを発表するたびに「ジョブズスが存命なら、こんなクソみたいな製品は販売しなかっただろうに……」などと彼を持ち上げて、現在のアップル社をクサす様なコメントが並ぶもの。
ジョブズス氏に関する書物は世にあふれていますし、複数の映画も制作されている。ジョブズ・リスペクトの風潮はやむ様子がないのです。
そして、また一つジョブズ・リスペクトのアイテムが!!
全国にセレクトショップを展開する「ナノ・ユニバース」がセイコー・シャリオのジョブズ愛用モデルを復刻・販売したのです。
さて、このジョブズ・シャリオ、復刻されるのは今回が初めてではありません。前回も同じくナノ・ユニバースから数量限定で販売され間もなく完売。
それに気をよくしたのかどうなのか今回、第2弾が発売される運びとなりました。
時計好きの琴線に一切触れないモデル
用意されるモデルはオリジナルに忠実な33mmのケースと、現代のトレンドにマッチさせた37.5mmケースの2種類。今回はダイヤルとベルトが白、ケースと尾錠をマット・シルバーに仕上げたホワイトバージョンでのリリース。
裏ブタには「LIMITED EDITION」の文字とシリアルナンバーが入って、税込み2万1,600円!!
……と聞いてどう思うのか?ジョブズ・ワナビーの人たちならば、手が出しやすい価格もあって恐らく飛びつくのでしょうが、時計に一家言をもつ人たちならば、きっと何も思わないはず。
だって、ただのしょーもない時計だもん。技術的に特筆すべきところもなければ、デザイン的に凝ったところもない、普通の時計。
言わばチプカシ・MQ-24みたいなもので、時計として何の面白味もないのです。
もっというとMQ-24は黒色ですから、こちらの方がジョブズ氏が愛用していたのに近いということができるはず、価格は税込み1,200円となっています。
実は、どーでも良かったんじゃないの?
このジョブズ・シャリオを見ていて思うのは、恐らくジョブズ氏は時計なんてどうでもよかったんだろうなということです。
いや、時計だけではありません。
プレゼンの衣裳でおなじみの黒のハイネックにしろ、ブルージーンズにしろ、メガネにしろ、どれもこれも、どうでもよかったに違いないということです。
黒のハイネックはイッセイ・ミヤケに特注をかけたもので100枚単位で所有していたとか。
こんなエピソードを聞いてジョブズ一流のこだわりを感じる人もいるかもしれません。
でも、多少は服装に気をかけている人ならば、いつも同じものを着用するなんて退屈すぎることぐらいわかるはず。これはこだわりがあるのではなく、「こだわりがない」ことにこだわっているということ。
時計や服に頭を悩ませているぐらいなら
いつも着心地のいい好きな服を身につけられればいい、ブルージーンズもメガネも同じ。
そして、ジョブズ・シャリオも同じことなのでしょう。
コーディネートを考えるとか、それに合わせて時計も変えるとかは時間を浪費しているに過ぎにない。そんなものに頭を悩ませているぐらいなら、新しいビジネスのアイデアを考えるわ!! というメッセージがしょーもない時計であるジョブズ・シャリオからはひしひしと伝わってくるのです。
動きのジャマにならない程度の大きさで、時間を正確に刻むという機能さえ満たせばいいというのがジョブズ氏が時計に求めたこと。これをたまたま満たしていたのがセイコー・シャリオというだけのことなのでしょう。
ジョブズ氏がそんな気分になったときにチプカシ・MQ-24がたまたまそこにあったなら、彼は迷うことなく購入していたともいますし、何も考えずに身につけていたということなのです。
ドナルド・トランプ大統領やジョージ・ソロス氏がマクドナルドを好物にすることで、食事に時間を浪費することから開放されたように、ジョブズ氏はセイコー・シャリオを身につけることで、時計を選ぶという楽しみから開放されたのでしょう。
……そういえば、トランプ氏もソロス氏も、そしてジョブズ氏もそろいもそろって、優秀なビジネスマンだったな、と。