カール・ラガーフェルドの猫は、いかにして3億円をも稼ぐようになったのか?
- 2019/03/06
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モード界の帝王、85歳にしてこの世を去る
あの、カール・ラガーフェルド氏が亡くなったのは2月19日。日本でも大きな騒ぎになるだろうと、私、アントニオ犬助は思っていたのですが、新聞やテレビでの扱いは非常に小さなもの、なぜだろう?と思うのです。だってシャネルのヘッドデザイナーにして、モード界の帝王ですよ?80年代には半分終わりかけていたシャネルを見事再生、彼がいなければシャネラーなる人種もこの世に存在しなかったほどの大人物、もっと彼の偉大さを噛み締めるべきだと、犬助は思うのです。まあシャネルで所有しているアイテムは、オードトワレくらいなんですけれど。
最も悲しんでいるのは、一匹の猫かもしれない
そんな彼の死をファッション関係者は、大いにショックを持って受けとめていると思うのですが、最も悲しんでいるのは一匹の猫かもしれません。彼女の名前は「シュペット」、ラガーフェルド氏の実にチャーミングな飼い猫。純白の毛並みに、バーマン種独特のベージュのポイントカラー、神秘的なブルーの目と写真栄えも完璧ですから、シャネルの広告はもちろん、ファッション雑誌の表紙にもしばしば登場する大人気のモデル猫。そんなシュペットは、年間に3億円を上回る金額を稼ぐといいます。
それだけに、シュペットのライフスタイルも注目を集めました。ラガーフェルド氏と共にプライベートジェットで世界中を飛び回り、専用のiPadで遊び、専属のシェフが用意した食事をゴヤールの皿で楽しみ、宿泊の際には専用のスイートルームまで用意されている。こうなるとシュペットは猫の分際で、人間である犬助のはるか上の階層に位置する存在。たかが猫が、あの落合博満氏が現役14年目にして初めて手にした、3億円を上回る金額を稼いでいるということは、断じて認めたくないのですが、現実に稼ぎ出しているのですからしょうがありません。
付加価値を与えられて、彼女は世界一有名な猫になった
なぜ、シュペットがそこまでの猫になり得たのか?ラガーフェルド氏がシュペットと最初に出会ったのは友人のモデル邸、一目ぼれした彼は友人に頼み込み彼女を譲り受けたといいますが、シュペットがラガーフェルド氏の友人の猫のままだったなら、世界一有名なモデル猫にはなり得なかったでしょう。
彼女がここまでになったのは、ラガーフェルド氏の猫になったからであり、プライベートジェットや専属シェフ、ゴヤールの皿といったライフスタイルを与えられたから。つまり付加価値を、ラガーフェルド氏に与えられたからと考えることができます。ラガーフェルド氏は付加価値を加える達人でした。落ちぶれていたシャネルをの古臭いイメージに、現代的なエッセンスを与えたことも、原価3万円ほどのサイフにシャネルのマークをつけることで20万円で販売することも、ただの猫が年間3億円稼ぎ出すようにすることも、全て不可価値をつけること。基本的に同じことをラガーフェルド氏は、飼い猫に対してもやっていたのです。
ラガーフェルドの莫大な遺産も、近々相続するとか
原料を加工して素材にするとか、素材を製品にまとめ上げるとか。世の人々の多くは、何かに付加価値を与えることで報酬を得ています。犬助が日々やっていることも、ラガーフェルド氏がやっていることも基本的に同じ経済活動です。しかし、方や世界に冠たるラグジュアリーブランドを成功させ、猫にすら3億円という報酬を与えることが可能で、方や日々の生活に汲々としている。この差は何なのか?と、少々ぼやきたくなってしまうのですが……恐らくそれは、圧倒的な努力の差という言葉で表されることでしょう。
ラガーフェルド氏は生前シュペットを溺愛するあまり、遺産を全て相続させると話していました。彼女は近々3億円超の年収に加えて、とんでもない額の財産も手にする猫になることでしょう。改めてモード界の帝王のご冥福と、シュペットさんの今後の幸せをお祈りしておきましょう。