映画『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』の世界は存在した?米イェール大生が働いた投資詐欺!
- 2019/04/14
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’18年11月に日本公開になった映画に『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』という映画がある。
’80年代のLAを舞台にした若者の投資詐欺を題材にしたライトタッチのサスペンスだ。
奨学金でお坊ちゃま学校に入学し証券会社で働く青年ジョーと、スポーツ推薦で入学したものの、
売れないレッスンプロ止まりとなったディーンが、かつての同級生の富裕層たちに、
投資詐欺をしかけリベンジしようとする筋書きである。
ジョーを『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴート、ディーンを
『キングスマンシリーズ』のタロン・エガートンが演じ、彼らを手玉に取る大物詐欺師ロンを
ケヴィン・スペイシーが演じた事により、単なるヤングアダルト映画に終わらないサスペンスとなった。
あの映画では、自転車操業の投資詐欺を働こうとした主役の2人の上手を行ったロンが殺されてしまう事で
事態は急変、計画は失敗に終わり思わぬ方向に行く。
が、歴史に残る投資詐欺は、『自分だけは儲かる』と信じている人を巧みに操れる様になっているのだ。
こうした投資詐欺をポンジ・スキームと呼び、実際には資金運用は行わず、後から巧い話に乗せられた人の出資金を
(これもまた運用せず)先に出資した人に『配当金』と偽り渡すのである。
1920年代に米国でチャールズ・ポンジという人がやった事から、この名前がついているのだが、
日本でもオレンジ共済、安愚楽牧場事件、フィリピンのエビ養殖場の『ワールド・オーシャン・ファーム』を
はじめとするポンジ・スキームはある。
が映画『ビリオネア~』の様に、学校を出たばかりもしくは在学中の学生が投資詐欺を働いていたなら。
実際に米国で、アイビーリーグ出身の大学院生が、投資詐欺を働いていたとして米証券取引委員会に起訴された。
配当金も利回りもウソっぱちの投資詐欺が何故通ったのか?
起訴されたのは、米イェール大卒のオマー・ザキ(21)。
経済学と物理学を専攻する学生で、在学時から周りの学生を含む11人に投資詐欺を働いていた事が
米証券取引委員会に起訴された事で明らかになった。
ザキは騙した11人に対し
『今の資産は500万ある。アルゴリズムを組んで、投資を募っているので、一定期間預けてくれれば
114%の利回りで返還するし、毎月10%の配当金もある。』と説明し、金をむしり取っていた。
11人のうち、最初の数人には最初の数か月は毎月配当金があったが、ここ1年配当金がなくなった事や、
最後の方に投資話に乗った人から、配当金が全くなかった事から、
証券取引委員会が、投資詐欺だとみなし、調査にあたっていた。
証券取引委員会の調査によるとザキが投資詐欺をやりはじめたのは、3年前、イェール大学在学中の事だった。
この時に投資を募った数名に対しては配当金を払っている様にみせかけ、後から集めた投資金を
配当金と偽りまわしていた事が明らかになった。
手持ちの金は、たった170万?
ザキが最初は200万円、最後には500万円運用していたという主張も嘘で、彼の手持ちは170万円。
最初の投資家に、後の出資者の金を運用せず回していたのだから、さほど儲かっていなかったことが明らかになる。
証券取引委員会の調査で、ザキは、前の出資者に後から出資した人の金を運用せずに、
そのまま配当金として渡していたポンジスキームを行ったと説明。
最初からアルゴリズムを使い運用する事もなかった事は発覚していた。
証券取引委員会は、ザキに25000ドルの違約金を払う様に求めているが、ザキは全く応じる様子も
見せていないという。
歴史に残るポンジ・スキームの被害額は億単位で、彼のポンジスキームの被害総額は多くても1000万に届かないが、刑罰は刑罰だ。
ザキは裁判所の判決通り、最低3年金融関係の仕事に就けないという協定に同意しているという。
が、最低3年というのは少々甘すぎないだろうか。
そもそもこんな投資詐欺が通る理由が甘いと思うのだが、米国の投資詐欺事件を調べていくと、
名門大学出だの、別荘地に住む裕福な人だの、
そういう人が投資話を持ち出すと、コロっと騙されてしまうのがよくわかる。
儲かりそうな話に弱い人は、肩書にも弱いという痛い話の典型ではないだろうか。