米朝首脳会談と東アジア情勢と日本人にできること
- 2019/03/12
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東アジアの複雑な絡み合い
ベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談。初日の融和ムード?とは裏腹に、2日目は予定されていた昼食会がはじまらず、結局は午後のスケジュールがごっそり抜けて、予定よりも早く終了するというマスコミ的には想定外の幕引きとなりました。
結局は、これもトランプ劇場として見れば不思議でも何でもない結果といえるでしょう。馴れ合いを好まないトランプさんらしいと見ることも可能です。
さて、今回の首脳会談に向けて、北朝鮮の金委員長は鉄路、中国を経由してベトナム入りしています。航空機を徹底的に排除した金正日総書記とは異なり、空路での移動も可能な金委員長がこれだけの長距離を鉄道で移動した点は注目に値します。
しかし、その辺りは普通のメディアが担当するところです。ここで注目したいのは、中国から鉄道でベトナムへ入ることが可能という事実でしょう。
中国もベトナムもいわゆる社会主義国家です。1950年6月25日に勃発した朝鮮戦争では、中国もベトナムも北朝鮮側について戦っています。もちろん、現在でも両国ともに北朝鮮の友好国の立場にあります。
しかし、中国とベトナムとは、国境を接している国として紛争を経験しています。中越戦争です。1979年に行われた中越戦争では、ベトナム軍の強さを再認識させる戦いが繰り広げられました。
そもそも、これに先立つベトナム戦争では、あのアメリカを撤退させたベトナム(当時は北ベトナムで南ベトナム側のアメリカを相手に激戦を経験)です。ベトナム戦争で北ベトナム側に立っていた中国としては、ベトナムの強さもわかっていたはずです。だからこそ短期間での撤退だったともいえます。
古今東西、アメリカ相手の戦争に続き、中国相手の戦争でも結果を出した国はベトナム以外にありません。もっとも、勝ち負けは定義の仕方で変わるため、立場が違えば結果も異なります。
それでどうなる北の問題
ともあれ、その後も国境紛争を抱え、今日では、西沙諸島や南沙諸島の問題もある中国とベトナムです。いくら経済的に複雑な交流が当たり前になっている今日の国際社会とはいえ、電車で入れることには驚きです。島国に住む感覚のなせるワザかもしれませんね。
さて、アッサリ物別れに終ったと見える米朝首脳会談ですが、直後に米韓合同軍事演習の終了がニュースになりました。トランプさんとしては、米朝首脳会談前に決めていたことだとしています。
米韓の軍事的結びつきを弱めることで、北朝鮮に歩み寄りを促す効果もあるでしょう。同時に、韓国がよりあちら側に接近する傾向を促進する効果もありそうです。考えてみれば、戦時作戦統制権の返還が延び延びになっており、有事の際にはアメリカが主導権を握るわけですが、その前に米韓連合軍の枠組みが崩れないとも限りません。
アメリカファーストで大きなことをしたくないトランプさんに対し、経済制裁の解除を勝ち取りたい金委員長。お互いに関係の悪化を否定しており、ああでもない、こうでもないという期間が長引く可能性が大きそうです。
その間にも、文大統領は反日を加速させ北に傾き、拉致被害者の立場は何も変わらないまま時間だけが過ぎるというのは避けたいところ。では、日本は何をすべきか、何ができるのかといえば、これも難しいとしかいいようがありません。
ただ、安易な妥協が損しかもたらさないことは歴史が証明しているでしょう。
もうすぐ統一地方選の時期になりますが、国政選挙ではないから行かないという話もよく聞かれます。しかし、地方選挙も重要な選挙です。地方議員の勢力図が国政に影響することもあるわけです。他にできることがない国民は、せめて選挙に行きましょう。北朝鮮問題とは直接的な関係が何もありませんが、有権者としての意思表示は投票行動です。