ネトフリ、huluだけじゃない!中国、東南アジアを巻き込んだ動画コンテンツ市場の戦国時代
- 2018/07/09
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動画コンテンツ市場の提携が、ここ数年ハイスピードで進んでいる。
数年前まで、米国内のみで業界再編、提携、投資が行われていたが、今日では市場が拡大し、中国、東南アジアにまで広がりを見せている。
各国の動画配信サービスとの業務提供に甘んじている日本は、どうなるのか。
未知の巨人と言われている東南アジアで一人勝ちするであろう、サービスはどこなのか。
ロールモデルを作ったのはネットフリックス
米国の3大動画配信サービスは、ネットフリックス、hulu、アマゾン・プライムである。
DVDレンタルや販売からスタートし、一定料金払えばサービスを受けられる事に関しては3社共共通している。
だが『顧客をひきつけるロールモデル』を作ったのはネットフリックスだろう。
ネットフリックス(以下ネトフリ)型の動画配信サービスは、以下の様な特徴がある。
1:オリジナル作品制作に予算の3割近くを割いている
2:オリジナル作がハリウッド映画並の予算で、大当たりするものがある
3:過去作品のストックが多く、全話揃っている
4:視聴デバイスを問わない
1や2で顕著なのが、多くのハリウッド俳優が制作の制限の緩いネトフリに流れていく事実だ。
ケヴィン・スペイシーの『ハウス・オブ・カード~野望の階段~』は最初に配信ドラマとしてヒットしたが、残念な事に本人のセクハラ疑惑で、ネトフリは彼を解雇する羽目になってしまった。
だがハリウッド俳優が成功を配信ドラマで成功を収めたという事実が同業者に衝撃をあたえたのは事実。
ブラット・ピットの『ウォーマシン・戦争は話術だ』やライアン・レイノルズとサミュエル=L=ジャクソンの『ヒットマンズ・ボディガード』など、名だたる俳優がネトフリでオリジナル映画を作る為に参戦している。
月に1500円の視聴料金さえ払えば、家のTV、スマホ、PCで好きな時にドラマ、映画が見れる上、日本の無料動画配信サービス『ギャオ』の様に『タダだが遅い、画面がフリーズする。』という事もない。
米国で5500万件、全世界で1.2億の有料会員を獲得し、’18年の株式市場の時価総額は、1567億ドル(17兆円)。
これはディズニーや、ケーブルTV最大手コムキャストを差し置いて全米32位に上るものだ。
ネトフリはさらに日本の大手キャリアや家電メーカーと提携しており、既に東芝とソフトバンクは提携済。
auも今年春業務提携し、夏から『auフラットプラン、2SNetflix』というネトフリと組ませたプランを打ち出す。
ネトフリはauと提携とほぼ同時期に、日本のケーブル大手JCOMとも提携。
JCOMユーザーはネトフリのコンテンツを視聴できるようになったのである。
大手キャリアで取り残されたのはドコモだけとなった。
では追随する動画配信サービスはこの動きをどう考えているのか。
ディズニーの宣戦布告
動画配信サービスのNo.2と言われるのが、huluである。
ネトフリと変わらないと思われがちだが、月額933円で見放題、最新作に強い、ゲーム機でも見れるという事がhuluの強みである。
ブライアン・クランストンの『ブレイキング・バッド』や『ゲーム・オブ・スローンズ』をいち早く日本に配信したのがhuluだ。
映画というよりも、話題の海外ドラマに飛びつきたい人には、オススメの配信サービスである。
huluを傘下に持つのが、20世紀FOXだが、FOXもまた近年企業買収が目立つ企業だ。
ケーブルTVを傘下に持つFOXは、最大手コムキャストに追いつく為に、『X-men』や『スパイダーマン』
『アベンジャーズ』シリーズの権利を持つ『マーベル』を買収。
『スターウォーズシリーズ』で知られる『ルーカスフィルム』も買収した。
だが上には上がいるものである。
20世紀FOXに、6兆円の巨額の買収劇をしかけたのがディズニーだ。
ディズニーの場合はネトフリと真逆で、オリジナルコンテンツだけでは会社が成り立たなくなっている。
ハッピーエンドのおとぎ話を量産するだけでは会社の経営は成り立たない。
そこでhuluを傘下に持ち、魅力的なコンテンツを持つ会社を買収した20世紀FOXに目を付けた。
ディズニーは、huluの株の過半数を所得し、’17年にはネトフリに提供してきた作品を次々と引き上げている。
『過去作に強いネトフリ』に着々とダメージを与えているのは間違いない。
20世紀FOXが権利を持つのは、幅広く、それで過去作品のコンテンツを埋めようとしているのが、huluを傘下に収めたディズニーの狙いだろうが、それが当たるかどうかは、今年の売り上げで決まるだろう。
ネトフリ型が強い中国配信ビジネス
政府のネット規制が強い中、外資の市場開拓もままならない中国で、3つの動画配信サービスがしのぎを削っている。
1:愛奇芝(アイチーイー:検索大手・百度)
2:土豆岡(ヨークチュードー:アリババ)
3:テンセンドビデオ(テンセンド)
中でもオリジナルコンテンツ作りに力を入れているのが、愛奇芝とテンセンドビデオだ。
前者は’18年3月ナスダック上場し、調達した2500億円でオリジナルコンテンツ作りを強化すると発表。
現在は収入の4割を広告費に頼っているが、5年以内にコンテンツの3割をオリジナルにするネトフリ型のビジネスにすると発表した。
迎え撃つのがテンセンドビデオだ。
テンセンドビデオの母体であるテンセンドは、電子書籍媒体『閲文集団』を抱えている。
ここにはオリジナルを執筆する『お抱えライター』がいる為『映像化する版権』はテンセンドのものになる。
いさかか不利益を被るのはアリババだが、ネットショップを母体にするアリババがもし、東南アジアをターゲットにした場合は、一人勝ちになる可能性は高い、それは何故か。
東南アジアでは、アマゾンプライム型が受け入れられるか?
潜在ユーザー数が7億人といわれる中国でも、政府の規制があると市場開拓に限度がある。
その点の規制がないのが、シンガポール、マレーシアなどの東南アジアだ。
趣味に金を使う事に糸目をつけない30歳未満の若者は、中国と同じ様に購買層としてターゲットになりやすい。
だが中国や、米国と違う点は、統計やコンサルト会社のアクセンチュアのリサーチによると、東南アジアは生活必需品を買うついでに、こうした動画配信サービスを受けたいと望んでいるのだ。
こうしたサービスを既に行っているのは、アマゾン・プライムである。
Amazonプライムは年会費3,900円で、映画、テレビ番組だけでなく、オリジナルコンテンツを無調視聴できる。
生活必需品も、お急ぎ便・お届け日時指定便は何回でも無料で、kindleは月一回無料になるのだ。
日本でこれだけのプラットフォームが整っているのは楽天になり、中国であればアリババになる。
だが楽天は既に動画配信サービスを行っているが、アマゾン程行き届いていないのが現状だ。
動画配信サービスは国、地域により売り込み方も違い、現在戦国時代に突入していると言える。
『郷に入れば郷に従う』事が出来たものが、これからの時代生き残る事ができるのではないだろうか。