華僑は高級車、米国人は中古車、車が自販機で買える世の中になっている・・・
- 2018/06/15
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オヤジ世代は『車はディーラーに行って、営業マンと話し合い、実物を見て買うものだ』という考えが根強い。
海外では、そんなオヤジの考えを根底から覆すビジネスモデルが、3年ほど前から始まっている。
信じられないだろうが、車を自販機で買うのだ。
そんな事するのは、一部の金持ちだけでしょ、と言ってたのはごく数年前の話。
市場は中古車にも広がり、ニーズもあるという。
実際に、どんなビジネスモデルがあるのだろうか。
立体駐車場と自販機が合体した販売方法
自動車の自販機発売に最初に名乗りを挙げたのは、米テネシー州にある中古車販売大手・Carvanaだ。
Carvana社は、’15年11月、同州ナッシュビルに5階建てのガラス張りの自動車自販機を建てた。
建物には常時20台の車がストックされていて、ビルがショールームの役割も果たしている。
販売システムは、顧客がオンラインで同社サイトから車を購入した後、同社の車の自動販売機のキオスクで、自分の名前を選び、Caravana社の特製コインを入れると車を保管している駐車場兼ショールームが作動。
顧客の前に、お目当ての車が出てくるという仕組みだ。
試乗期間は一週間で、その期間であれば無事故無違反無改造に限り、返却可能という事である。
この装置の企画から完成まで370億円をかけたという同社だが、売れ行きは上々。
米国の年間中古車販売台数は4500万台。郊外に住む人間は車が必需品である事から、このビジネスが効率よく、わかりやすく、事務手続きなどの煩雑さから解放されるという意味で国民に、受け入れられているのが判るだろう。
米国の成功例の後を追ったのが、シンガポールのAutoburn Mortorsだ。
こちらは高級路線、BMW、ベントレー、フェラーリ、ポルシェ、ベンツなど高級車ばかりである。
15階建てのビルに、60台も高級車をショールームよろしく詰め込んだこの車の自販機。
1回でクレジットカード決済をすれば高級車が2分で買えるというコンセプトが国民に受け入れられ、ビジネスモデルが成立した。
国民の10人に1人が億万長者だからこそ、成り立ったビジネスモデルだからともいえる。
そして三度目の正直、昨年の12月、中国のアリババが傘下のネット通販会社・天猫を使い、上海と南京で、車の自販を開始した。
アリババの車の自販システムは、顔認証である。購入希望の客は、天猫から欲しい車を購入し、その後、自販機で顔認証の後、車を試乗する。
フランチャイズの映画館のチケット券売機の様な顔認証システムマシンで認証した後は、タバコの自販機の様なマシンから該当車のキーを受け取る。試乗期間は3日間で、期間中に無事故、未改造、無違反であれば、車の返却は可能という事になる。
試乗車乗り継ぎ防止の為に、同じ車種の試乗は1度のみ、2か月の間に試乗は5車種までとなっている。
日本でいえば、リースやカーシェアの感覚で、立体駐車場とカーシェア、顔認証を組み合わせたビジネスモデルだ。
何故、日本では車の自販機は広まらないのか。
はたまた他の車を利用するサービス、レンタカー、カーシェア、リースが購入に比べて広まらない理由とは、何だろうか。
何故日本人はマイカーとディーラーにこだわるのか
日本人と海外の人々が車を購入するのは、事情がかなり違う。
まず車以外の電車やバスなどの交通機関が便利で、定刻通りに来るのが最大の要因だ。
都心部に住んでいる人の多くは、無理をしてまで車を買おうと思わないだろう。
そんな都心部で見かけるのが駐車場を利用したカーシェアの営業だ。
カーシェアにしても一見便利だが、今まで使った事がない人にしてみれば不便で、長距離乗る人にしてみれば、車を持っていたほうがかえって便利である。
あれは2~3日に一回、車でないと行けない、20分以内しか運転しない人が初めてモトがとれる代物だ。
遠距離一日であれば一大丸々リースした方がよい。
車を持つほどではないけれど、完全に車を手放すわけではないという人が自家用車を手放した後に手を出すのが、
3年、5年で借りる事が出来るリースである。
だがこのリースもくせもので、車に傷はつけてはいけない、走行距離があまりありすぎると、割高になるなど、様々な制限があり、結局は好きな車を借りれなくなってしまうのだ。
こうした諸般の条件が重なり、カーシェアリングやリースという言葉に疎くなり、車もディーラーから買うものという固定概念が刷り込まれてしまうのだと思う。
この様な理由や、保安基準など様々な車を保有する様々な法律の違いから、日本での車の自販機の設置は
見送られてきているのだ。
では、車の自販機とまでいかなくても、もっと車の販売は便利にならないのだろうか。
せめてすべての車種の試乗車をディーラーに
車の販売と楽しさという点を、なるべくシンプルかつ便利にしているのが、メルセデスベンツである。
スマホから各車両の見積もり予約を出すことができ、オンラインで最寄りのディーラーを検索すると、
試乗できる各車両の車とコースが判る様になっているのだ。
これでお目当ての車を選び、試乗したいコースを選べばよい。
日本の国産ディーラーの場合、試乗用の新古車を用意していないディーラーも多く、店で買うのも不安な場合が多々ある。
筆者は最初の職場が大手ディーラーだったのだが、昔の方が、新車納車時の整備はきちんとしていたと思う。それだけに、車を購入する前に試乗させてもらえるディーラーが増えるとありがたいと思う。
せめて車の自販機を作れないのであれば、それぐらいのサービスはすべきではないだろうか。
高齢化社会となり、後期高齢者をすぎてから最後の車の代替えをしようと車のディーラーに足を運ぶ人も
多いはずだ。
その点、日本の車会社は見習ってほしいと思う。