それでTPPはどうなったのか
- 2018/06/06
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まだやっているTPPの制度作り
TPP環太平洋パートナーシップ協定の是非を巡って、賛否両サイドで激しいバトルを展開していたのが遠いことのように感じられます。昨年早々には、アメリカ合衆国の新大統領となったトランプさんがTPPからの離脱を決定するなど、ときおり話題にはなるものの、あの頃のような熱い議論には及びません。
それで、TPPはどうなったのでしょうか?
結論からいえば、どうもなっていません。
え?といいそうですが、実際の話として、どうもなっていないのです。当初の目論見ではいまごろはTPPによって素晴らしい?状況が現出していたはずではないかと突っ込みを入れるオヤジもいるでしょう。
つい先日、TPP協定承認案と関連法案が衆議院を通過したとしてニュースにはなっていますが、まだその段階です。今回の法案では、現行法で死後50年となっている著作権の保護期間を70年に大幅延長する著作権法の改正案が目立ちます。ただ、あくまでもTPPに合わせたものであり、TPPが発効することが前提条件となっているものです。とはいえ、TPPが発効することは規定路線となっています。
ところで、この著作権法の改正が目立っているのは、そもそも50年から70年にというのは、TPPにアメリカが絡んでいた当時のアメリカの主張を取り入れたものだからです。アメリカが去っても影響は残るといった状況に違和感を覚える人が少なくないのでしょう。
そのアメリカですが、ココへ来てTPPに入ろうかな?という機運が盛り上がっているとかいないとか…。トランプさん自身は、TPPのような多国間協定ではなく、2国間でFTA自由貿易協定を結んだほうがよいとの考えのようですが。
思い返せば、日本の農業が壊滅状態になるとして、TPP反対の論陣を張っていた人は数多くいました。そして、いまアメリカにTPP参加の声が増えているといわれているのは農業団体を中心とした層だとのこと。むむ!
近いうちに発効するTPPだが
もっとも、アメリカから農産物が大量に入ってきたとしても、それを日本の消費者が選択するかどうかは別の話です。別の話ですが、アメリカの生産者としては、なぜジャパンでは売れ行きが低調なのかという話になるでしょう。それが日本の障壁によるものだと思われれば、ISDS条項の出番になるかもしれません。
2016年に外務省が出した資料では、これまでのEPA(FTAのようなもの)などにもISDS条項はあるが、日本が訴えられたことはないそうです。これは重要なデータですが、これまでなかったからTPPでアメリカ企業に訴えられないという保証になるかといえば、常識的に考えれば、過去が未来の保証になるとはいえないでしょう。
ISDS条項とは、協定締結国への投資を行った外国企業が、相手国の国内法などの制度などが障壁となって損害を被った場合などに相手国を訴えることができるものです。それ自体は何もおかしな話ではありません。
しかし、TPPで盛んに指摘されていたのが、裁きを行う機関の問題です。投資紛争解決国際センターという機関ですが、ここは世界銀行の傘下組織であり、世界銀行を押さえているのがアメリカだから、企業であれ国であれアメリカが勝つに決まっている!という批判があったのです。記憶にありますよね。
これは論理的ではないにしても、日本の国内法がTPPと親和性の高いものではないことは否定できないでしょう。そうすると、TPP仕様でやってくる外国企業が日本を訴えることは、ケース次第であるかも。そして、日本が負けるシーンも想像できます。
たとえば、現在でも水資源のある土地や自衛隊の基地周辺の土地を外国人が買っているのが日本です。直接的にTPPとは関係ない事実ですが、こうした日本の現実を改めようとすると、ISDS条項の出番になる可能性もないわけではありません。
ちなみに、TPPに限らず、ISDS条項に否定的な国も少なからずあるとされています。日本の立場は、ISDS条項があることによって、開かれた関係が作れるといったところのようです。
いまのところ、どうにもなっていないながら、早ければ今年中には発効するともいわれているTPP。日本のオヤジとしては、再び注目する必要がありそうです。