民主党政権のほうが、安倍政権よりも良かったって本当?
- 2019/02/27
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民主党政権=悪夢に反論した日刊ゲンダイ
「悪夢のような民主党政権」
自民党大会で安倍首相が用いたフレーズが波紋を呼んでいます。これに激昂したのが立憲民主党の岡田克也氏、「全否定するようなレッテル貼りをやめろ」と発言、安倍首相との激しい応酬になりました。
民主党政権は、実際に悪夢だったのか?私、アントニオ犬助が、まずイメージするのは極端な円高。製造業が大打撃を食らい、雇用や株価が大きく悪化、ソニーやパナソニックが大幅な赤字を出したり、エルピーダメモリが倒産したり、シャープが台湾の鴻海精密工業の傘下となりました。また東日本大震災や、口蹄疫での対応のマズさも思い出される。やっぱり、悪夢ですよね。
しかし、日刊ゲンダイは「民主党政権は本当に『悪夢』だったか?」と題した記事を掲載、いくつかの経済指標を取り上げて、民主党政権も悪くはなかったと主張しているのです。
実質賃金の低下では生活は苦しくならない
しかし、日刊ゲンダイの記事には気になる点があります。
まずは、実質賃金が低下しているという主張。第2次安倍政権の発足以降、実質賃金は年平均で15.8万円もダウンし続けていると書かれていますが、これって大いに疑問なのです。安倍政権になり暮らしが楽になった実感は薄いとはいえ、そこまで苦しくなった実感もない人がほとんどではないでしょうか?
しかし現に「実質賃金」は下がっている、とするならば、生活の苦しさを表す指標として実質賃金は適当ではないということになりますし、実際に適当ではありません。なぜなら実質賃金とは平均賃金から物価の変動の影響引いたものだから。「平均」賃金が下がったとしても、生活は苦しくならないからです。
たとえば、ある会社で新卒者の雇用が増えたたとしましょう。給料が安い若手がどっと入ってきたのですから当然、「平均」賃金は下がるでしょう。だからといって、すでに雇用されている人の賃金が下がるということはないのです。にも関わらず、実質賃金という言葉を使うと、低下したということになってしまう。
実質賃金の低下は、雇用改善の証と考えることができる。にも関わらず、実質賃金が下がっている=悪というミスリードを記事は誘っているのです。
労働分配率が低水準なのは企業が好調だから
また、労働分配率が低下しているという主張もあります。
2017年度は66.2%と43年ぶりの低水準、企業は儲けを賃金へと回していないというのです。その一方で増加しているのが内部保留、自民党政権になってから142兆円も増えたといいます。
これだけを読むと、ケシカラン!といいたくなる気持ちはわかりますが、実際にそうなのでしょうか。まず「労働分配率」という数字、これは人件費を企業で生産された付加価値(経常利益など)で割ったもの。人件費が下がるのは問題ですが、人件費「率」が下がるのは必ずしも問題ではありません。
なぜなら人件費が下がる以外に、付加価値が上がっても下がるのが労働分配率だから。労働分配率が低水準であること=悪ではないのです。
また付加価値が上がることでできた、内部留保の増加についても悪ではありません。内部留保とは企業がたくさん儲かったということですが、そのお金は企業の成長のために使ったり、不測の事態に備えたりするもの、従業員に還元せよという主張はお門違いです。
労働分配率の低下も、企業留保の増加も企業活動が総じて好調な証、大いに結構ではないですか。
要は直感を信じるべしということかも
今回は「実質賃金」と「労働分配率」、2つの指標について考えてみたのですが、これだけでも民主党政権のほうが安倍政権より良かったという主張はおかしいことがわかったはずです。加えてわかったのは、実質賃金や労働分配率という専門的な用語を用いられると、ころっとだまされそうになることです。
しかし、世の中には専門的な用語がゴマンとありますし、全てにおいて理解しておくということは不可能、にも関わらず世の専門家は小難しい用語で私たちをだましにかかる。日刊ゲンダイの記事は、その一例でしょう。
ならばどうするか?と考えるならば、直感を信じるということしかないということでしょう。たとえば立憲民主党の岡田氏が激昂しようとも、日刊ゲンダイが指標や専門用語で主張しようとも、悪かったものは悪かったと、自身で判断を下すことが必要です。しかし、そんなことは犬助が改めて主張すべきことではないのかもしれません。すでに多くの人が理解していることは、立憲民主党の支持率5.7%を見れば明らかなのですから。