高梨選手55勝記念!ジャンプの得点の仕組
- 2018/04/01
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スキージャンプの得点の決め方
ノルディックスキージャンプ競技の女子ワールドカップにおいて、高梨沙羅選手が歴代最多の54勝をマーク。続く最終戦も勝って55勝に記録を更新しました。1年も勝てなかった高梨選手ですが、この最終節ではかつての強さを取り戻したといえる姿を見せてくれました。その得点も圧倒的なものとなっています。
さて、スキージャンプでは飛距離をポイントに換算した飛距離点と、飛ぶ姿や着地のテレマーク姿勢などを採点した飛型点の合計点で順位を決めることは結構知られているようです。
この得点には、スタート位置による増減と、風の要素による増減も加味されて最終的な数値が決定されます。
・飛距離点
ジャンプ台によって設定されているK点(建築基準点)まで飛んだ場合を60点として、それよりも短ければマイナスに、長ければプラスになります。K点が90メートルなら増減ポイントは1メートルあたり2点に、100メートル以上なら1メートルあたり1.8点です。170メートル以上だと1.2点になっています。
つまり、90メートルのジャンプ台で100メートルを飛んだ場合は、60点に20点が加算されて80点となります。
・飛型点
テレビ中継でよく耳にする「テレマーク」が大きなポイントとなるのが飛型点です。高梨選手も、注目されはじめてしばらくは、大ジャンプをやりつつも得点が控えめだったイメージがあります。それもこれも「テレマークが入らない」ことが要因でした。
テレマークとは、見た目で表現すると、着地時に両腕を水平に伸ばして、足を前後に腰を低くする姿勢です。大きなジャンプをした場合は、傾斜がなくなってくるためか、この姿勢をとりにくいのも事実のようです。テレマークが苦手だと3点くらいはアッサリ失います。
飛型点には、ジャンプ台から飛び出してからの空中姿勢の見た目や、着地後の転倒なども入ります。
飛型点はジャッジ5人が各20点満点で採点します。採点競技のお約束として、最高点と最低点はカットされ、間の3人の得点を合計したものが最終点です。したがって、合計60点満点となります。
最終的な得点とシーズンポイント
ジャッジとは関係ないのがゲートファクターとウインドファクターです。スタートゲートが高いと飛距離が出るため、基準ゲートからスタートする場合よりも減点となり、低いゲートからのスタートは、逆に加点されます。また、向かい風が強ければ有利なため減点され、追い風は加点です。
ゲートファクターはともかく、ウインドファクターは加減されても向かい風の方が圧倒的に有利だといえるでしょう。平昌オリンピックでも、伊藤選手などは追い風に泣かされたように見えますし、高梨選手も他の上位選手ほどは風に恵まれなかったようです。もっとも、ルンビ選手の強さは圧巻でしたね。
以上の合計がジャンプ1回の得点となり、通常はこの得点の下位選手は2回目に進めません。2回目に進んだ選手(ワールドカップでは30位まで)は、2回の合計点で順位を争います。
こうしてその戦いの結果がきまるわけですが、ワールドカップにはシーズンポイント(ワールドカップポイント)というものがあります。2017-2018シーズンでは、オリンピックまで圧倒的な強さを誇示したルンビ選手がポイントトップで、高梨選手は3位、伊藤選手は4位でした。このポイントは、各戦の上位30人に与えられるもので、優勝の100点から30位の1点まであります。
また、国別の団体戦もありますが、団体戦と個人戦(国籍所属選手)の成績を集計した国別ランキングも示されるため、各戦ひとつでも上の順位に入るための激しい戦いが繰り広げられています。最終のドイツでの大会を前に国別で2位にいた日本は、高梨選手以下メンバーの奮起で逆転トップです。地元開催で国別ランキングでも2位になってしまったドイツですが、メンバーは揃っているため引き続き強敵となるでしょう。