鏡を見て唇のゴムのような腫れに気が付くことがある!原因や治療法【歯科医が解決】

  • 2019/04/30
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  • 橋詰 和英【歯科医】
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◆はじめに

肉芽腫性口唇炎とは

なかなか引かない唇のゴムのような腫れ、もしかしたら肉芽腫性口唇炎という病気かもしれません。
唇の腫れは顔の見た目にも影響するので悩みのタネになっている人もいることでしょう。
肉芽腫性口唇炎とはどのような病気なのでしょうか。
今回は、肉芽腫性口唇炎の原因や治療法などを含め説明いたします。

 

◆肉芽腫性口唇炎とは

肉芽腫性口唇炎とは、唇全体になかなか治らない腫れを生じる病気です。
唇が厚ぼったく腫れ、しかもなかなか治らない上、触ってみると弾力性があり、まるでゴムのような腫れ方をするため、もしかしたら腫瘍ではないかと心配する人も多いのですが、そうではありません。

 

◆肉芽腫性口唇炎の傾向

下唇に発症しやすい傾向がありますが、上唇にも生じます。下唇と上唇の両方に生じることはなく、どちらか一方のみです。
発生頻度は、男女間に著しい差はなく、近年、中高年の方々の発症も増えています。

 

◆肉芽腫性口唇炎の原因とは

肉芽腫性口唇炎の原因とは

肉芽腫性口唇炎の原因は、今のところはよくわかってはいません。ですが、肉芽腫性口唇炎を引き起こすと考えられる要因はいくつか挙げられています。

 

・歯周病やむし歯

歯周病やむし歯は、お口の中の細菌によって引き起こされるので感染症に分類される病気です。余談ですが、世界で一番多くの人がかかっている感染症が歯周病やむし歯と言われています。
肉芽腫性口唇炎の患者さんの半数以上に、根尖病巣とよばれる骨の中の歯の根の先にあたる部分に生じる膿がたまる病気や、放置した深いむし歯が認められています。
これらの治療によって肉芽腫性口唇炎が治ることもあるので、歯周病やむし歯も肉芽腫性口唇炎を引き起こす要因ではないかと考えられてるのです。

 

・金属アレルギー

現代の歯科治療は、金属製の被せ物を多く用いています。
歯の被せ物に使われた金属が、唾液にさらされてイオン化し、それがアレルギーを引き起こしている可能性、つまり金属アレルギーも、肉芽腫性口唇炎と関連があるのではないかと疑われています。

 

・その他

遺伝的な要因や食物アレルギー、自律神経の異常などとの関連性を疑っている研究者もいます。

 

◆肉芽腫性口唇炎の症状とは

肉芽腫性口唇炎では、下唇、もしくは上唇に弾力性のあるゴムのような硬さの腫れが突然生じます。唇全体に生じることもあれば、唇のごく一部に限って生じることもあります。
じんましんのように、24時間以内に腫れて引いてを繰り返すようなこともなく、一度腫れると、しばらく腫れたままになります。
そして、経過とともに弾力感が増して硬くなってきます。
痛みや痒みといった自覚症状はなく、化膿して腫れているわけではないので、抗菌薬を使っても改善することはありません。
なお、下唇・上唇が同時に腫れることもありません。どちらか一方にのみ生じます。

 

◆メルカーソン・ローゼンタール症候群

肉芽腫性口唇炎に、顔面神経麻痺や溝状舌を同時に合併した病気を、特にメルカーソン・ローゼンタール(Melkersson-Rosenthal)症候群といいます。
顔面神経麻痺とは、顔の表情を動かす筋肉を支配する神経が麻痺して、顔の表情に右と左で違いが生じる病気、溝状舌とは、舌の表面に深い溝が生じる病気です。
これら3症状が合わさることは非常に稀で、ほとんどの場合は肉芽腫性口唇炎単独で発症しています。

 

◆肉芽腫性口唇炎の受診科

肉芽腫性口唇炎の受診科としては、皮膚科もしくは歯科口腔外科となります。
もちろん、皮膚科では歯科治療はできませんから、皮膚科を受診した場合、皮膚科医師から歯科口腔外科へ歯科治療の依頼がなされることもあります。

 

◆肉芽腫性口唇炎の検査

肉芽腫性口唇炎に対して、どのような検査が行われるのでしょうか。

・病理組織検査

病理組織検査とは、局所麻酔をかけて、病変の一部をメスで切り取って採取し、顕微鏡で確認する検査法です。
この検査法を用いれば病的な組織変化を直接確認できるため、確定的な診断を下すことができます。
発症してからの経過や症状から肉芽腫性口唇炎と判断する場合もありますが、病理組織検査で肉芽腫という組織が認められれば、肉芽腫性口唇炎と確定されます。

 

・レントゲン写真撮影

肉芽腫性口唇炎は、唇に生じる病気ですので、本来はレントゲン写真を撮影する必要はありません。ですが、前述しましたように歯周病やむし歯などのお口に生じる感染症との関連性が指摘されていますので、パノラマレントゲン写真というお口全体のレントゲン写真を撮影して、そうした病気がないかどうかをチェックします。

 

・アレルギーの検査

金属アレルギーや食物アレルギーとの関連性も疑われています。そこでアレルギーの検査を行うことがあります。
アレルギーの検査は歯科口腔外科ではできませんので、皮膚科で受けます。ですが、金属アレルギーがあったとして、アレルギーを起こしている金属が歯の被せ物に使われているかどうかの判断は皮膚科の医師にはできません。
検査結果を持って歯科口腔外科を受診し、そちらで確認してもらわなければなりません。

 

◆肉芽腫性口唇炎の治療法

現時点では、こうすれば確実に肉芽腫性口唇炎が治るという根本的な治療法はまだ確立されていません。ですが、だからと言って放ってはおけません。
では、医師や歯科医師は肉芽腫性口唇炎に対し、どのような治療を行っているのでしょうか。

 

・歯科治療

肉芽腫性口唇炎の半数以上の患者さんに、歯周病やむし歯など、何らかのお口の感染症が認められています。
お口の感染症と肉芽腫性口唇炎との関連性が指摘されていますので、歯周病やむし歯がある場合は、まず歯科医院で歯周病やむし歯の治療を行います。

 

・金属アレルギーの検査

金属アレルギーが肉芽腫性口唇炎を引き起こしている可能性も考えられています。金属アレルギーが疑われる場合は、皮膚科で金属アレルギーがないかどうかを調べてもらいます。もちろん、お口の中に金属を使った治療がみられない場合は、その必要はありません。
検査の結果、金属アレルギーが認められ、その金属を使った被せ物が歯に装着されている場合に問題となるのが、その被せ物を外すかどうかの判断です。
その歯に根尖病巣やむし歯を認められる場合は外さないと治療ができないので外しますが、そうでない場合は外さないこともあります。
なぜなら、歯の被せ物を外すのは費用や時間がかかるだけでなく、必ずしも全ての肉芽腫性口唇炎の改善に有効であるとは限らないからです。

 

・ステロイド治療

ステロイド軟膏を肉芽腫性口唇炎に使っても、効果は認められないことがほとんどです。
ですが、飲み薬や注射薬のステロイドの場合は、そうではありません。治療期間が数ヶ月に及ぶこともありますが、ステロイド治療によって肉芽腫性口唇炎が治ったという報告例もあります。

 

・抗アレルギー薬による治療

トラニラスト(商品名:リザベン)などの抗アレルギー薬を使った治療が行われることもあります。抗アレルギー薬の働きで、炎症細胞の働きを抑えることで、肉芽腫をできにくくするのが目的です。
トラニラストによる治療も、単独の投与ではなく、歯科治療と並行して投与する方が、治りやすくなる傾向があります。

 

◆肉芽腫性口唇炎を起こさないために

肉芽腫性口唇炎がどうして起こるのかが明らかになっていないので、今のところ有効な予防法は確立されていません。
ですが、肉芽腫性口唇炎との関連性が指摘されている歯周病やむし歯などのお口の感染症の予防は可能です。
歯周病やむし歯の予防には、日々の歯みがきと定期的な歯科医院での歯のクリーニングがとても有効です。
もし、歯みがき方法に不安がある場合は、歯科医院で指導してもらえますので、一度相談されるといいでしょう。

 

◆まとめ

今回は、肉芽腫性口唇炎について紹介しました。
もし、ゴムのような弾力性のある腫れが唇に生じたら、もしかしたら肉芽腫性口唇炎かもしれません。
見た目に影響するので悩んでいるオヤジも、今回の記事を参考にして歯科口腔外科や皮膚科で一度診てもらってください。

この記事の作者

橋詰 和英【歯科医】
橋詰 和英【歯科医】
市中病院の口腔外科で口腔外科部長をしています。親知らずの抜歯からお口の出来物、顎の痛み、口臭、神経痛など様々な病気の治療にあたっています。オヤジの歯・口腔の悩みを解決するためYAZIUPの執筆&監修を行う。
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