高輪ゲートウェイは恥ずべき駅のキラキラネームなのか
- 2018/12/11
- ライフスタイル・娯楽
- 381view
- 事件/ニュース
- ライフスタイル
- 生活
- 知識
- 話題
いまさら撤回なんてできるのだろうか…
東京・JR山手線の田町〜品川間に20年春開業予定の新駅々名がこのほど「高輪ゲートウェイ」に決定したものの、それがあまりの不評で各所からブーイングの嵐が巻き起こる事態へと発展している。
やれ名前の発想が昭和だとか、一般募集の意味はどこまであったのかなど、反対意見をツイートするくらいならまだかわいくて、一部では「駅名撤回署名活動」なるものまで始まったというから、これは穏やかではない。
これから都民に限らず全国民が毎日のようにお世話になるはずの、親しみある山手線の駅名決定で、なぜこんなに話がこじれてしまったのだろうか。
JR東日本のプライドをくすぐる駅名候補だった?
JR東日本では今年の6月に約1か月弱かけて「新駅名案の一般募集」を行った。
行ったことは行ったのだが、JR東日本はこれまで一言も「票数の多かった駅名を新駅名に採用する」とも「募集の結果を最大限尊重して駅名を決める」とも言っていない。
事実、募集で一番多かった候補は「高輪」であり、次いで「芝浦」、「芝浜」…と続いていたらしい。
そして今回の決定案である「高輪ゲートウェイ」は130位(36人)にしかすぎなかった。
すぎなかった、と書いたが、実はこの募集自体、全体で6万4千件の応募があり、なんと1万3千種類(1件平均5票ぼっち!)もの名前が集まったという。
であれば、たとえ新駅がどんな名前に決まっても「全体の意見の数パーセントをも満足させられない案」であったことは間違いなく、事後に反対意見が飛び出ることは火を見るよりも明らかだった。
JR東日本は新駅の駅名を「高輪ゲートウェイ」に決定した理由を200字以上のコメントとしてきちんと正式に発表している。
また騒動を大きくした「ゲートウェイ」というワードが、JR東日本主導の周辺再開発事業に関わるコンセプト名であることなどが取り沙汰されている。
もしかしたらJR東日本はこう思ったかもしれない。
「36票か…『高輪ゲートウェイ』、再開発が意外と多くの人に認知されているじゃないか…」
そしてこの投票者36人は(賛否はともかく)JR東日本のプライドをくすぐることのできる高い戦略性の持ち主であった、とも言えるだろう。
田舎モン泣かせのバブリーな駅名
私が上京した今から30年前にも、やはり「ああ都会に来たなあ」と思う駅名がいくつかあった。
中でも特にそう感じたのが、今回の高輪ゲートウェイによく似た駅名タイプの「天王洲アイル」。
言わずと知れた東京モノレール羽田空港線の駅である(りんかい線にもあるらしいが私は行ったことがない)。
「アイル、アイル…アイルかぁ…アイルって島って意味だろ?またおしゃれに表現したもんだよなぁ」
折しも時はバブル絶頂期。ウォーターフロントなんて造語も飛び出し、臨海部は開発に次ぐ開発で賑わっており、この駅名だけで時代の騒ぎっぷりがわかろうというもの。
ハッキリ言って、あとで顧みると恥ずかしい駅名ではある。
いや、天王洲アイルが恥ずかしいのではなく、そこを通り過ぎる私がウブで恥ずかしかったのかもしれず…。
と、とにかく、駅名には人格がないと思ったら大間違いである。
そこには、歴史も、人情も、権力も、カネも通っており、ホームに降り立つと同時にプーンと匂うものなのである。
駅名はもう覆らないだろうけど
思えばJR東日本も正直すぎた。
ゲートウェイという言葉が候補中にちゃんとあったことをいいことに、ちょっとはしゃぎすぎた。手前味噌すぎた。
もし今回の駅名に反対意見を述べたいのであれば、これからずっと皆が高輪ゲートウェイを通称、略称で呼ぶのはどうか。
「高輪」でも「ゲート」でも「高ゲー」でもいい。
人が口にすれば呼びやすい名前もわかろう。自然に使いやすい名前を使うようになろう。
それが企業活動を超えた庶民の「文化」というものである。