終わるんだ、築地…食べ残し思い残しのないように

  • 2018/09/28
  • ライフスタイル・娯楽
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  • のりき 夢丸
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閉場日は10月6日!に迫っています

閉場日は10月6日!に迫っています

すったもんだの末にようやく移転が決まった築地市場。

肝心かなめの卸売市場は結局一度も見たことがなかったけど、場内に足を踏み込んで、新鮮な魚介類を食べることウン十回。
ああ東京に住んでいる間になぜもっと行かなかったのか(単にビンボー学生だっただけ)という後悔は先に立つが、出張の際には必ず立ち寄った朝食の友・築地がいよいよ閉場となる。

実はすでに場内の食べ物屋さんも、通常の毎日営業はしていないらしい。
それぞれの新しい道に向けて鋭意準備中であり、店に普通に足を運べる営業日はそう残っていないのだとか。
思い出作りは最終週でいいやと考えている御仁がいたら、今すぐ行動に移されることをまずおすすめしておく。

 

ほろ苦いデビュー戦を経てどっぷりハマった築地

ほろ苦いデビュー戦を経てどっぷりハマった築地

オジサンが築地デビューしたのは今から15年くらい前のこと。
社会人になって、自由になるお金をつかんでからだから、あまりに遅すぎるデビューではあった。

ご存じのように築地は場内、場外に専門店がたくさん立ち並び、メニューも和洋中なんでもござれで、観光なら1回行ったら2食くらいは食べる勢いでいないと、存分に味わったとは言えない。

中でもオジサンお気に入りのお店が場内の「T」という和定食屋さん。
基本寝坊のオジサンは朝食抜きで朝9時に都内ホテルを出て、大江戸線に乗り込み、築地市場駅で降り、階段を登って築地市場入口に降り立つ。
そしてトラックやターレーの走る濡れたアスファルト道路を奥に進み、おもむろにのれん前でまずはメニューをにらむ。

といっても食べるものはほぼ決まっていて、あとはその日のスペシャルメニューがないかどうかの確認をする。
店に入ったらお茶を待ち、順番が来たら○○産という産地の札がかかった「マグロの中トロ」を定食で頼むだけ。
さすればあとはその日極上の国産中トロをご飯と一緒にかっ込むべし。
昭和の香り高き(ちょいボロ…もとい良い雰囲気の)店内で、至福の30分を味わうのだ。

30分、そうここは魚河岸なのだから、野暮な長居は禁物。
奥にポツンといつも空いた常連席があったり、魚のことを根掘り葉掘り聞きたいうるさ方がいたりして、今の若い人には到底受け付けない要素満載だったけど、昭和のオジサンにはそれがちょうどいい「接客姿勢」だったわけです。

 

思い出は思い出のままに

思い出は思い出のままに

そんな「T」も、久しぶりにブログを拝見したら、今は週に2回ほどの営業体制に縮小。
店を開ける日も長蛇の列になってしまい、いまや2時間待ちは当たり前とか。
みんな考えることは同じで、あの雰囲気が良かったから今のうちに行っておきたいというファンでごった返しているんだろう。

そして注目していた新天地・豊洲での営業形態は「店長おまかせコース」のみの高級店に変わるのだという。
昼が9千円、夜は1万円オーバーとかで、新店は方向性そのものを新しくして再開するということだろう。

それに関しては、何も感想はない。
むしろ今まで自分の舌を満足させてくれたこと、魚を見る目を養ってくれたことへの感謝しかなく、記憶の中であのうまさは永遠に残るのだから、何も文句はない。

というより、豊洲市場へ行けばどこもみな似たような営業形態だろうし、新天地ではまた新たな味を探せばよい。

 

そしてこれからも築地は生き続ける

そしてこれからも築地は生き続ける

場内はこうして80年(店によっては100年とか)の歴史の幕を下ろすが、こと場外に関してはまだまだ元気にやっていく店がたくさん残っている。

50年後はいざ知らず、ここしばらくはブランドと人気が継続し、築地場外は食のエンターテイメントランドとしての役割を果たし続けるだろう。

すっかり東京に行くこともなくなったオジサンだが、もう1回くらいは場外でラーメンだの丼だのをかっ込んだあと、1杯ひっかけながらふらふら町を散策したいと思っている今日この頃である。

食の記憶というものは、人が何十年も遡れる唯一の記憶(しかも至高の記憶)と言う作家もいるくらいだから、なにか食べたいものがあったら忘れず今のうちに築地にお出かけになることを、最後にもう一度おすすめするとしよう。

この記事の作者

のりき 夢丸
のりき 夢丸
馬と日本酒と時代劇をこよなく愛するフリーライター。 モットーは「人の行く裏に道あり花の山」。 最近はドローンに興味津々の毎日。 競馬血統ブログ「ほぼ毎週競馬ナビ」にて執筆中。
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