拾った捜査報告書をネットにアップ~2つの問題点
- 2018/05/15
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一昔前ならその場だけの話
2018年5月9日、なんとも現代らしいニュースが駆け巡りました。といっても、イマドキの社会では当たり前?過ぎるのか、大きな騒ぎというほどではないようです。そのニュースとは。
大分県で警察官が紛失した捜査報告書を拾った一般の女性が、自身のフェイスブックに書類の画像をアップしたというものです。この女性のフェイスブックでは、30人程度の人が閲覧可能だったそうですが、この人数を拡散ではないと見るかどうかは判断がわかれるところかもしれません。
投稿自体は、フェイスブックを見た友人の指摘によって数分後に削除したとのことで、現在は見られるおそれがありません。しかし、拾った書類を投稿すること自体が驚きです。
この書類は、交通事故関係の捜査報告書とのことで、個人名なども記載されていたようです。その数は11枚で、女性が拾ったのは10枚。この10枚は警察が回収済みですが、その時点では1枚が行方不明のままになっています。ただし、そこには個人情報などの記載がないとのことです。
ホンの10年ほど前までは、これほど手軽に情報発信ができるSNSなどは発達しておらず、捜査資料を拾ったとしてもアップする場がありませんでした。個人のホームページなどに載せることや、写真を撮ってメールで送ることなどは可能でしたが、結構面倒な手順ですし、拡散度合いがまったく異なります。
さらに遡れば、世間にオープンにする手段は何もなかったわけで、そのまま交番へ届けるような話だったでしょう。
ところは、現在は何でもSNSに乗っける時代になってしまったようです。
問題点は2つある
この事件?には大きく2つの問題があるようです。ひとつは、捜査資料をSNSに載せてしまうことが躊躇なくできてしまう風潮で、もうひとつは、この捜査資料が手続を経ずに持ち出されたものだということです。
まず、小学生にさえスマートフォンを持たせるのが正しいとでもいいたげな社会の風潮によって、ネットに何かを載せることの影響がわかりにくくなっているのではないでしょうか。本来であれば、捜査報告書なんてものをネットに載せようと思わないはずではないでしょうか。
この女性がどのような人物なのか情報はありませんが、おそらく悪気はなかったのだと考えられます。
そして、必要な手続を経ずに見られて困る書類を持ち出す行為ですが、こちらも持ち出したつもりがなかったとのこと。そう、悪気があってやったことではないのです。しかし、それはそれで、文書管理への意識が希薄なのではないかとの懸念を生じるものといえます。
意図せず持ち出した書類を紛失し、それを拾った側がネットに上げるという流れは、そこに記載されている人にとっては本当に恐ろしい話です。今回は限定的な範囲にとどまるアップでしたが、全世界に公開する人が拾う可能性もあったとも考えられます。
警察の書類といえば、犯罪関係とか許認可関係が多いのではないでしょうか。そうだとすれば、自分が載っている書類を世間に公表されてもかまわないという人は少ないと考えられます。もちろん、ほとんどの人は警察の捜査報告書に載っていないわけですが、事故の被害者になるかもしれません。
願うことは、書類の管理をキチンとしてもらうことと、勝手にネットにアップするような使い方を改めてもらうことです。これは、すべてのネットユーザーに対する希望といえます。そのためには、オヤジ世代として、子どもや家族のネットに対する接し方に無頓着ではいられません。
未来を作るのは、オヤジ世代の頑張りなのです。頑張れカッコいいオヤジたちよ!