タイムカード導入で教員の働き方改革は進むか
- 2017/12/15
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熊本県教育委員会が実施へ
2017年夏、中央教育審議会の特別部会で出された緊急提言には、タイムカードの導入が含まれていました。超過勤務が問題視されている教員の勤務状況を時間でみるためのものです。九州においては、大分県の中学校に勤務していた女性教員が、2014年に脳出血を起こして死亡しており、それについて公務災害が認定されていたことが6月に明るみになっています。直近の超過勤務時間が3ヶ月とも約110時間にも及ぶもので、過労死であることは間違いないとみられています。
そんな中、熊本県教育委員会がタイムカードの導入へと動いているとのことです。タイムカードといえば、民間企業でも採用しているところと採用していないところがあります。採用している企業では、出退勤の管理に使っていますが、それ自体はタイムカードがなくてもできます。実際、タイムカードではなく出勤簿による管理を行っている企業も存在します。タイムカードそのものは、どちらかといえば、勤怠管理の効率化のためのアイテムだといえるでしょう。
学校現場において、勤怠管理をどのように行っているのでしょうか?そこがまず疑問です。タイムカードを導入しなければ職員の出退勤が把握できないのか?これまでしていなかったのか??
公立学校ならありそうだと思われる点がすでに駄目駄目ですね。
さて、タイムカードの導入で働き方は改革されるのでしょうか。これには肯定否定の両論があります。
(肯定意見)
・タイムレコーダーによる打刻なので正確な時間を把握できる
・タイムカードを打つことで残業に対する抑止の心理が働く
・民間のよい部分はどんどん取り入れるべき
(否定意見)
・タイムカードは時間を表示するに過ぎない
・タイムカードの時間と実際の勤務時間が一緒だとは限らない
・設備を置けばそれで何かやったような気になってしまう
必要なのは記録ではなく負担軽減
両論ともそれぞれにうなずけるものではあります。そもそも、何もやらないよりは何かやったほうが良いでしょう。しかし、肝心なことは過労死レベルの超過勤務を行わなければならない現状の改革であり、勤怠の記録方式の改革ではないはずです。
タイムカードを導入すれば仕事が減るわけではありません。しかし、打刻時間が遅くいとよろしくない。そこで生まれるのは、民間ではお馴染みの「ウソの打刻」です。適当に定時あたりでタイムカードを押し、そのままサービス残業に突入する。また、実際に職場からは出て行くものの、自宅などへ仕事を持ち帰るといった、偽装工作の温床となります。
最近は情報管理の問題があるため、自宅への持ち帰りよりも職場でのサービス残業のほうが多いだろうと考えられます。いずれにしても、タイムカードで負担が減るわけではないという事実があります。
これが民間であれば、そこまで残業をしなければ業務が回らないのであれば、効率化できる部分を探し、それでも解決しなければ増員という流れになるでしょう。しかし、公務員である教員の場合は自由に増員することもできません。タイムカードを証拠として増員を実現するまでの間、どうやって負担を減らすかを考える必要があります。
いちばん早いのはシェアすることですが、簡単にシェアできない部分もあるでしょう。また、最大の問題は本来業務ではないはずの部活動の担当です。業務外とできるはずのものを、みんなで分けあって、みんなで損しよう!というのもおかしな話です。
そろそろ部活動は部活動専任の教員を置くことを考えるべきなのかもしれません。だいたい、その分野のド素人を指導者にするのも大きな間違いです。チャランポランな教員なら、テキトーにやっている振りだけして済ませるところですが、真面目な教員は心身ともに疲弊します。子供にとってもプラスになりません。
オヤジ世代の関心によって、少しは事態が動けばよいのですが。