お金持ちにありがちなコレクションは、決して道楽ではない
- 2018/11/28
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あの、ストラディバリウスを10億円で購入
ジャン=ミシェル・バスキアの作品「Untitled」を62億4,000万円で落札したとか、700億円をかけた月への旅行計画をぶち上げるだとか、紗栄子さんに続いて剛力彩芽さんとの交際を明らかにするだとか。
相変わらず、スタートトゥデイ社長・前澤友作氏の周りはにぎやかですね。
その中でも、私、アントニオ犬助にとって印象的だったのが、1717年製のストラディヴァリウス「Hamma」を10億円で購入したというニュース。というのも犬助はその昔、ストラディヴァリウスを手にとったことがあるからです。
ストラディヴァリウスとはイタリアの楽器製作者、ストラディヴァリ親子が17、8世紀に手がけた数々の弦楽器のこと。中でもバイオリンが有名で、現存するものは600挺ほどとか。音色、外観ともに並び立つものはなく、しばしば「女王」と評されます。
そんな女王を犬助が間近にしたのは、雑誌の表紙撮影でのこと。立ち会っていた犬助は恐れ多くも、アングルを変えたり何したりでそれこそベタベタと触りまくったものでした。にもかかわらず、ありがたみを感じられなかったのは、犬助の感性が鈍かったからでしょう。あと、材質がいい具合に乾燥しているからか、ものすごく軽かったことを覚えています。
バイオリンを買うなら、寄付をすれば?という声
そんなストラディヴァリウスで前澤氏は何をしようとしているのか?前澤氏は若手アーティストの育成事業などを目的とした「現代芸術振興財団」なるものの会長でもありますから、お気に入りのバイオリニストに弾かせたりして、悦に入ったりするんでしょう。
そんなニュースに対して「お金持ちはいいなあ」とうらやんだりとか「そんな金があるなら恵まれない人たちに寄付したらいいのに」と憤ったりとか、様々なリアクションがSNS上に吐き出されました。それらを見て犬助が残念だと思うのが、多くの人が前澤氏の消費活動の道楽の側面しか見ていない点。「消費=道楽」としか理解していないところです。
お金持ちの道楽は投資活動、庶民とは違うのだ
キャバクラのお姉ちゃんにブランド物のバッグをプレゼントしたとか、自分へのご褒美にアクセサリを奮発したとか。これらの消費活動を犬助を含めた庶民はおこない、一時的な快感を得たりするものです。この場合の消費活動は間違いなく道楽、それ以上でもそれ以下でもありませんし、寄付も大きな枠組みで見ると道楽に位置づけられます。
しかし、前澤氏のストラディヴァリウスの購入は道楽であると同時に投資活動でもある。ここが庶民とお金持ちの行動の大きな差。埋めたくても埋まらない、絶対的な差なのです。
それでも観たいのは、大金持ちの純粋な消費活動
ロマネ・コンティなどのヴィンテージワインとか、パテック・フィリップなどのアンティーク時計とか、フェラーリなどの高級スポーツカーとか。
これらはお金持ちが好むものなのですが、なぜこんなに画一的なのか不思議に思ったことはありませんか?ワインではなく日本酒をコレクションしているお金持ちもいてもよさそうなものなのに、なぜかいない。いや探せばいるのかもしれませんが、少なくとも犬助は知らないのです。
その理由はカンタン、ワインやアンティーク時計、高級スポーツカーはコレクションとしての価値が確立しているから。購入したときよりも高く売れる公算が大きいから。そういったものに対してしか、お金持ちは大枚をはたかない。前澤氏のバスキアらの現代美術もそうですし、ストラディバリウスもそうなのです。
だから「お金持ちはいいなあ」と、うらやむのは勝手ですが「そんな金があるなら恵まれない人たちに寄付したらいいのに」というのは大いに違う。何ら見返りが期待できない寄付と、大いに見返りを期待している前澤氏らの道楽は根本的に違いすぎる、同列に論じていること自体が間違いなのです。
でもねえ、何かの見返りを期待したコレクションの話を聞いて、寂しさ感じるのは犬助だけでしょうか。どうせなら何の役にもたたない、金持ちならではの金に飽かせたコレクションを観たいもの。
三重県津市にある「ルーブル彫刻美術館」や、よくわからない大観音像みたいな、とんでもないベクトルを持ったコレクションをこそ、前澤氏らお金持ちにしかできないものだと思いますし、犬助ら庶民を笑顔にしてくれるものと思うのですがいかがでしょうか?