人気の軽自動車の規格(排気量・車体の大きさ)はどうしてこう決まったのか?
- 2019/01/14
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時代とともに変わる軽自動車の規格
街乗りから遠出のドライブまでなんでもこなす軽自動車。軽自動車全盛時代ともいえる現状ですが、軽自動車が排気量660ccクラスで全長3.4メートルといういまの規格になったのは平成10年10月のことです。その後、20年間にわたって大きな変更がないため、軽自動車のイメージは現状で固定されている感があります。
そんな中で、極めて稀に「ちっこい軽自動車」を見かけることがあります。660ccクラスにパワーアップする前の軽自動車は550ccクラスでした。全長も3.2メートルと短く、現在のマルチに活躍する車体と比べれば、一回り以上は小さく感じてしまいます。
軽自動車の規格を遡れば、さらに小さな排気量になります。4輪の自動車としての軽自動車では、戦後間もない頃に制定された200ccで全長3メートルという規格が最小です。
もちろん、小さかったのは軽自動車だけではなく、登録車にしてもいまのように大きなものではありませんでした。一般市民にまでマイカーが浸透してきた昭和40年代の主力といえば、たとえば日産サニーの1200ccなどが思い浮かびます。
現在の感覚で1200ccを見たとき、大衆車の中心クラスというよりも、コンパクトカーの範疇に入ります。
それでは、軽自動車はなぜこのような規格に決まったのでしょうか。
まず、現在の軽自動車の規格は、道路運送車両法施行規則第2条で言及されています。具体的な数値いついては別表第1で確認できます。
その別表第1には、エンジンを使う自動車の場合の排気量が660cc以下であるももとして、長さ3.4メートル以下、幅1.48メートル以下、高さ2メートル以下と規定されています。また、それ以外にも乗車定員が4名以下であること、積載重量が350kg以下であることも軽自動車の条件です。そのため、街中で見かける軽自動車のほとんどはこの規格で作られたものとなっており、登録車のように大きさがマチマチということはありません。
なぜ軽自動車の枠があるのか
もちろん、この数値はあくまでも上限値であり、もっと小さくても問題ありません。しかし、一般的な軽自動車の用途を考えれば、ほぼ上限で作ることになるのは自然なことです。
例外的に1人乗りや2人乗り用として小さな軽自動車を作ることはあっても、マルチユースの軽自動車が規格上限よりかなり小さなボディと排気量になることはないでしょう。
さて、本題の軽自動車の規格がこうなっている理由ですが、そもそも、軽自動車という枠を設定する理由が何かを考える必要があります。つまり、軽自動車という枠を設けていること、その理由こそが、軽自動車の規格の理由なのです。
昭和20年8月15日に終戦となった日本は、ほどなく連合国軍による占領下に置かれます。何をするにもGHQの許可が必要だった時代の始まりです。もちろん、自動車の製造販売も例外ではありませんでした。
もっとも、都市部の多くが廃墟と化していた日本では、自動車を買う一般国民などほとんどいない状況であり、自動車の需要も限られたものだったといえます。その後、自動車の製造販売が自由になったとき、国力や市場の動向、経済の活性化などを考慮した結果、自動車と軽自動車を切り分けることになったというのが、ザックリとした理由といえます。
実際、需要がなかったせいか、4輪の軽自動車は長い間ほとんど生産されていません。小型自動車に分類されるオート3輪と同様に、軽自動車でも3輪のものが貨物の運搬に重宝された時代です。
その後、3輪から4輪へと移り変わり、時代に合わせて少しずつ規格が変わったわけです。昭和51年に550ccにパワーアップされてからは、登録車とともにマイカーとしての需要が増えたといっても過言ではないでしょう。
戦後間もない頃とは国民の経済状態が違うとはいえ、比較的安価で乗れる軽自動車を整備することが、国家経済にとって重要であることも否定できません。登録車は買えないけど軽自動車なら買えるというユーザーが少なくないためです。
そして、より登録車に近い軽自動車として、現在の660cc規格が出来上がったといえます。