ボロボロの中古車って、どうして買い手が付くの?車検も通らなそうな車がリサイクルされる実情
- 2018/11/25
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ディーラーの下取りに持っていくとリサイクル料金を取られそうな、走行距離10万キロを超えているマイカー。
昭和の遺産に、しがみついて手放せないハイソカー。
オヤジ及びオヤジ予備軍になると、終活の一環で問題になるのが、これら車の処分だ。
どんな車でも国内で価値あるものに変わるとは限らない。
が、世の中は巧い具合に出来ていて、これらの車をすべて『部品』に変えて売りさばいてくれる業者があるという。
それはどんな業者だろうか。
中古車を部品まで一括管理する会社って?
金沢に本社を置く会宝産業は、中古車部品販売、その為の中古車仕入をITでシステム化し、
世界各国86カ国をネットワークで販売網を結んでいる会社だ。
リサイクル、リデュース、リユースの3Rを柱に、車の座席やシートベルトから新たな製品を作るという
アップサイクルも手掛けている。
アップサイクルを手掛ける『トレジャーチェアーシリーズ』は、在庫希少、売切が続いており、
当社人気商品の一つになっている。
日本の車検システムは他国に比べ厳しい。
米国、欧州、中南米、アフリカ諸国に行くと、走行30万キロの車は当たり前に走っている上、現地に旅行に行くと、
いつ止まるかどうか判らない様なオンボロのマイクロバスに乗らなければいけない事が当たり前になっている。
そんな車でも、現地の人間は、しぶとく自己流で整備しているのだ。
日本の中古車の状態は良く、海外で人気なのは事実だが、この会社が、部品のリサイクルだけでなく
アップサイクルにこだわる理由は、どこにあるのだろうか。
中古車は売るだけでは、乗り捨てされてしまう事実
会宝産業の会長、近藤典彦氏が、’69年に自動車解体業をはじめた頃は、日本にマイカーブームがわき始めた頃で、
オイルショックの数年前だった。
町の整備工場が、車の整備の為に、宝探しの様に、解体屋で部品を探していたのも、この頃からだった。
この会社の転機となったのは、’91年。
売上の9割を、鉄くずが占める解体屋は、相場の買取価格により経営が安定せず、不安定な先行きに
悩まされていたバブル崩壊期。
大阪の知り合いから紹介されたというクウェート人のバイヤーが、エンジンやサスペンションなど
『車の中身』をコンテナ1台分、合計200万円分購入していったのだ。
その価格、実に同じ量の鉄くずの三倍の価格。
日本では中古車は車検を通らなければ面倒な車として乗り捨てされてしまうが、海外ではエンジンやサスを
積み替えしてでも、乗ってくれる人がいる。
これは商売の転機になると悟った近藤会長は、部品の輸出を海外に絞り、中古車の仕入れ、部品の解体を一元化。
中古車を完全にリサイクルシステムと基準を作る為に、この会社では様々な活動を行っている、それは何か。
循環型社会への転換
会報産業では、自動車リサイクル専門の技術者を養成する研究所を作り、自社だけでなく他社や海外からも
人材を受け付け、幅広く養成に携わっている。
その背景には、資源に限りがあるという戒めだ。
環境白書によると、鉄の採掘可能年数は70年、銅は30年を切っており、スマホやカーナビ、ドライブレコーダーに
使われる希少金属はリサイクルしなければいけない。
モノを循環させる3Rがなければ、これからの自動車産業が成り立たないという戒めから、
自動車部品の徹底リサイクルが行されているのだ。
近藤会長は、今までのモノ作りが社会を動かす『動脈』だとすれば、リサイクルに焦点を絞った産業は『静脈』だという。
双方のバランスが取れてこそ、はじめてモノ作りがなりたつと言う。
その甲斐もあり、会宝産業は、提供中古車販売買取会社と連携し、中古車の査定、見積もりは無料。
97%の部品はリサイクルに回す事が出来るという。
ただ唯一心配なのが、会社の従業員の働き方改革だろう。
実際に会宝産業に勤務している、していた人に年代別、部門別に筆者が聞いた所、この会社は、
やる気のある人を引き上げ、能力、国籍、年齢関係なく奨励する会社だという。
その一方で部署によっては、かなり残業がきつく、午前様寸前になるというのだ。
私も自動車業界で働いてたので、現場では午前様なのに、営業部門にさっさと定時前に帰られてしまい、
暗い車庫の中で仕事をしていた事を思い出した。
こうした事を踏まえると、全ての意味で平等になる事が、この会社の今後課された課題なのではないかと思う。