樹木希林さんの愛車に学ぶ、大人のモノの選び方
- 2018/09/30
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車が人の側面を雄弁に語るとするならば
樹木希林さん、亡くなっちゃいましたね。
「全身がガンだらけなの」と語っていたのが2013年、その後も変わらず様々な媒体でお見かけしていたので、希林さんならではの飄々とした調子でガンと付き合ってきたのか、それともプロ根性で苦しいのを隠していたのか。
ご冥福をお祈りしたいと思います。
私、アントニオ犬助は取り立てて樹木希林さんのファンというわけではありませんでした。しかし、希林さんが随分気になる存在になったのは、何かの番組で彼女自身がこれまでに乗ってきた車たちを紹介している様子を目にして以来。
車はその人の、ある側面を雄弁に物語るとすると考えるならば、それらの車たちはあまりにも魅力的だった。
以来、希林さんまで魅力的に感じるようになったものでした。
也哉子さんも乗せた「シトロエン・H・トラック」
あの「H(アッシュ)・トラック」、移動販売用に改造してクレープなどを販売しているのを見かけますが、これを希林さんは自家用で乗り回していたといいます。確かに愛らしく目立つデザインではありますが、名前の通りこの車はトラック。
どう考えても、自家用で所有するべき車ではないと思うのです。
そんなアッシュ・トラックは、たくさん荷物がつめるように車内の後部が広大な荷室になっているのですが、希林さんはまだ幼かった内田也哉子さんを荷室に乗せて、仕事場へ通っていたとか。当然、座席などはありません。
「ハンドルを切ったり、ブレーキを踏む度に也哉子が転がるのよね」って、チャイルドシートだ何だとうるさい今の時代ならば信じられないエピソードを披露していました。
ちなみにアッシュ・トラックの前に乗っていたのは、シトロエン・2CV、ボルボ アマゾン、スバル サンバーだとか。
丸目のヘッドライトがお好みだとすぐにわかるラインナップです。
熱中時代「バンデンプラス・プリンセス」
その後、何台かはさんで乗っていたのが「バンデンプラス・プリンセス」、と耳にしてぴんと来ない人も、TVドラマ・熱中時代で水谷豊さんが乗っていた車といえば、わかる人も多いでしょう。オースチンが手がけていた時代の「ミニ」をセダンにしたような一台です。
街で走っていれば目立つことこの上ない外観の一台なのですが、プリンセスで注目すべきはデラックスな内装。シートは手縫いのレザー、内張りはウォールナット、まるでロールスロイスをそのまま小さくしたようなムード、素晴らしい趣味の良さなのです。
「ずっと付いてくる車がいてね。誰が運転しているかと思ったら、岸本佳代子だったわ」
街中でかわいい車を見つけた岸本さんは、希林さんの車だと知らずに思わず追跡してしまったのだとか。まあ、岸本さんならずしても追いていきたくなる、魅力的なルックスですね。
そして最後の車は「トヨタ・オリジン」
そして「これが私の最後の車」として紹介していたのが、トヨタ「オリジン」。
2000年にプログレをベースに、初代・クラウンの外観を与えられ誕生した限定車。丸いヘッドライトと観音開きになったドアが特長のクラシカルなモデル、限定1,000台の生産といいますから相当なレアな車で驚かされたのですが、もっと驚いたのが放送時ですでに、オリジンの生産が終わって10年以上たっていたこと。
芸能人といえば財力に飽かせて、次から次へと車を乗り換えるイメージがあったのですが、希林さんは違う人なんだと。本当に好きなものを手に入れて、長く乗る人なのだと思ったもの。カッコいい大人とは、かくあるべしと希林さんに教えられた気がしたのでした。
じゃなきゃあ、内田裕也さんと添い遂げることなんてできませんよね。
そして一介の車好きとして希林さんが乗ってきた車を見ると、人々に慕われていた希林さんの魅力というものもよくわかる。
趣味は飽くまでも良く、気に入ったものとは添い遂げる。勉強になりました。