「名探偵コナン」のアガサ博士が乗っている車「ビートル」はどんな車?その誕生秘話編
- 2018/08/03
- ライフスタイル・娯楽
- 1236view
- 自動車
- アニメ
- 名探偵コナン
- 自動車
土曜の夕方のアニメ「名探偵コナン」。日曜の夕方のサザエさんやちびまるこに続く人気アニメですね。放送開始から20年になる長寿アニメです。日曜のサザエさんの放送時間が終わると「また明日から、仕事か、、。」とブルーな気持ちになってしまいます。しかし、コナンが放送されるのは土曜の夕方なので、「明日の休日は、何をしようか、、。」とすこし穏やかな気分でいられるのはいいことですね。
名探偵コナンは、アニメなので子供向けなのかと思われますが、話の内容は推理小説そのもの。前篇・後編などじっくりとした丁寧な作りには子供向けアニメ以上のクオリティー。TV放送のほかに、映画も毎年製作公開されていてコナン人気の高さも伺えます。
登場人物は数多いのですが今回は、アガサ博士にスポットを当てましょう。もちろん、小説家のアガサ・クリスティをもじった名前です。アガサ博士は、コナンの自宅隣にすむ隣人で発明家です。コナンが、悪の組織に子供の姿に変えられたことを知る重要人物。腕時計型麻酔銃や蝶ネクタイ型変声機などアニメの中でコナンが使っている探偵道具をいりいろと作り出しています。まぁ、中には弁当型携帯FAXなど、あまり実用性がどうなのか??な発明品も。
アガサ博士の愛車は、黄色のビートル。VWのビートル・タイプⅠと呼ばれているものです。アニメの中でも、よく登場しています。アガサ博士も子供たちが好きなのか、大勢でドライブに出かけるシーンが多いです。
VW ワーゲン タイプⅠ
1938年から2003年までの生産されたワールドワイドなモデル。生産累計は2152万9464台のギネス記録です。
開発は、ヒットラーの国民車構想とポルシェ博士が思い描いていた大衆車プランが見事合致したもので、1938年にプロトタイプが製作されました。時代は、第2次世界大戦へ投入して行く中で、一般大衆車としてのデビューは叶わなくなり代わりに軍事車両として使われました。
軍事車両のワーゲンは、キューベルワーゲンと呼ばれています。当時のドイツ軍の移動手段は、軍馬やサイド―カ―付バイク。空冷エンジンや高い車高、そしてRR駆動から不整地でもかなりの走行性能を発揮。
しかし、第2次世界大戦はドイツ本国での熾烈な戦いの末1945年終結。ワーゲンの工場は戦争により壊滅的な状況になっていました。戦後のドイツでは、戦勝国のイギリス・アメリカ・フランス・アメリカ・ソ連が工業製品のプラント工場など収奪し、自国へ持ち帰られていたのです。ソ連は、オペル・カデットを収奪し、ソ連で国産化されモスクヴィッチとなりました。しかし、ワーゲンはあまりにも進歩的過ぎたのか誰からも相手にされず収奪から逃れられていたのは不幸中の幸いかもしれません。
やがてVWのワーゲン工場を管理していたイギリス軍将校アイヴァン・ハーストが、地元ドイツ人とVWの再建を行い、1946年にイギリス軍将校用のジープの代替えワーゲンを提案して見事生産にこぎ着けました。1947年には、オランダへ輸出が開始されいよいよ総生産数2000万台への軌跡を歩み始めたのです。
ヒットラーの国民車構想
狂気の独裁者と呼ばれ、第2次世界大戦中にヨーロッパ諸国を恐怖に陥れた人物がヒットラー。無類の車好きでカーレースも好きだったようです。速度無制限の高速道路構想も持っていて、後のアウトバーン建設計画されていたとか。
1930年代のドイツでも、車を所有するのはかなりの裕福層に限られていたため、ヒットラーは、一家族に1台の乗用車が行き渡る国民車構想を打ち出しました。国民車構想はナチス党の人気政策の一つです。
ヒットラーが国民車としての開発目標は、
①大人2人と子供3人が乗車可能。
②連続巡航速度100km/h以上を確保。
③空冷エンジンを使用。
④100Kmを7Lのガソリンで走行可能に。(14.3km/L)
⑤頑丈で、維持費が安くすむ。
以上の条件を満たしたうえで、1000マルク以下の価格で販売する開発条件はかなり過酷なものでした。当時の小型大衆車のオペルP4の価格は1500マルクで、性能はとてもこの条件をみたすものではなかったのです。ワーゲン開発には、ヒットラーの国民車構想の高いハードルが成し遂げた奇跡のモデルだったのでしょう。目標がなければ後に大ヒットとなる名車の誕生もなかったのでしょう。
次回は、VW ワーゲン 歴代モデルを紹介します。