トヨタのプリウス、アメリカではもはやエコカーではないってさ!?
- 2018/07/28
- ライフスタイル・娯楽
- 896view
- 自動車
- アメリカ
- エコ
- トヨタ
- 海外
- 自動車
- 車
エコカーが走行できる「HOVレーン」とは?
「でかい図体なのに、運転手1人とシート、そして空気を運んでいるだけ」
ミニバンを見かけるたび、その非効率性にプリプリしている私・アントニオ犬助です。しかし、ミニバンはともかく……1人乗りの非効率さに対して腹を立てているのは犬助だけではありません。「シェアライド」といった、相乗りを推奨しているのは世界的な動き。
例えばアメリカならば、車に2人以上乗っている場合、優先的に走ることができるレーンが高速道路に設けられているのです。
「High-Occupancy Vehicle(HOV) Lane」とか「Carpool Lane」と呼ばれてるもので、空いているからという理由で、うっかり1人乗りでこのレーンを走ってしまうと悲劇。
最高で1,000ドルもの罰金が課されてしまうとか。アメリカで車を運転する機会がある人は、十分にご注意ください。
しかし1人乗りにも関わらず、このレーンを走ることが許されていた車がありました。
それはトヨタ「プリウス」、アメリカ当局からエコカー認定を受けていたプリウスは、HOVレーンを堂々と走ることができていた。そんなこともあってプリウスは大人気!!だったのです。
しかし近年ではHOVレーンを通行しているプリウスをめっきり見かけなくなったとか。
その理由は2011年から、プリウスはアメリカ当局が定めるエコカーの定義から外れてしまったから。「ハイブリッド車なんかより、もっとエコな車があるでしょ?たとえばPHVとかEVとか」という理屈です。
もはや、プリウスはエコカーではないのです
そんなプリウスに、もっと激しい逆風が吹いているといえばカリフォルニア州。
この州はアメリカの中でも最も環境意識が高いことで知られており、様々な厳しい州法が定められているのですが、その一つがエコカー販売に対するもの。
「自動車メーカーがカリフォルニア州で自動車を販売する場合、新車の14%をエコカーにするべし」なんていう決まりがあるのです。ちなみにメーカーが決まりにそむいた場合の罰則は1台違反するごとに5,000ドルという非常に厳しいものなのです。
これをチャンスとばかりに、プリウス擁するトヨタは売上を伸ばしていたのですが、それが逆風に変わったのが2017年。ハイブリッドカーがエコカーの枠から外れてしまった。
つまりカリフォルニアでは、プリウスはすでにエコカーではないのです。
プリウス苦戦の理由は、それだけではない
そんなこともあってか新型プリウスは、アメリカで非常に苦戦しています。
例えば2017年の1~9月の販売台数は8万台、ハイブリッド車というカテゴリーの売上では首位ではありますが、昨年の同期と比較すると26%の減。これはリリースされて、それほど時間もたっていない、車種の実績としては、決して満足できるものではないのです。
しかし、ここで「ハイブリッド=プリウスの時代は終わった。次はテスラモータース、EVの時代だね」と考えるのは早計というもの。
なぜなら不調のプリウスの代わりに売上を伸ばしているのは、トヨタなら「タンドラ」や「セコイヤ」といったトラック・SUV系。
プリウスの苦戦の背景にあるのは、エコカー認定を取り消されたというのもありますが、アメリカのガソリン安があるからです。
普通の車になってしまったプリウス
そして忘れてはいけないのは、新型・プリウスを見た誰もが感じる問題点、「ルックスがかっこ悪い」という点でしょう。
このことについてトヨタ社長・豊田章男氏も、開発段階からずーっと指摘し続けたらしいですが、多様性を認めるというポリシーからかっこ悪いのも「是」としたという。
これが例えば社運を賭けているような、先代や先々代のプリウスならば違っていたと思うのです。
しかし、今は時代が違う。
プリウスは、トヨタだけでも数10とあるハイブリッドカーの一つにすぎなくなってしまった。プリウスを補う車はいくらでもあるよ、といったところです。
特別なはずのハイブリッドカーが、特別ではなくなったから。
プリウスが苦戦している理由を一言で表すなら、こうなるはず。プリウスは今やエコカーでもない、普通の車なのです。