「口が臭い」と言われる前にできること!【歯科医が解決!】
- 2019/04/23
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はじめに
他人から口臭を指摘されると、いい気持ちしませんよね。もし、それが知っている人からだとなおさらです。しかも困ったことに、中高年以降に口臭はきつくなっていく傾向があります。
口臭ってどうして起こるのでしょうか?そして、どうすれば防げるのでしょうか。
エチケットとして知っておきたい口臭について、対策とともに説明します。
口臭とは
口臭とは、文字通り口から発生するニオイのことですが、一言で口臭といっても、口臭はその対策から大きく分けると2つに分類されます。すなわち、治療の必要性がない口臭と必要性がある口臭です。
治療の必要性のない口臭
治療しなくてもいい口臭のことを生理的口臭と言います。
これには、朝目覚めた時や食事の後の口臭などが含まれます。
・起床時口臭
朝目覚めた時にする口臭は、起床時口臭ともよばれ、数時間に及ぶ睡眠中に口の中の細菌が増えたことによって起こるものです。
お口の中は、温かく湿っており、まさに細菌にとって理想的な環境です。睡眠中に口の中をすすぐことはありませんし、お口が開くこともほとんどありません。そのために、お口の中で細菌がどんどん増えていくのです。
例えていうなら、長い間靴を履き続けた足から発生するニオイと同じようなものと考えていただければと思います。
こうして、朝起きた時に口臭が発生するというわけです。
・食後の口臭
食事の後に息が臭くなった経験ありませんか。
食後の口臭の原因となる食材は、ニンニクが代表的ですが、そのほかにも玉ねぎなどいろいろな食材によって起こります。
・生理的口臭は正常
生理的口臭は、病気によって起こったものではなく、人間の活動によって生じたものなので、治療の必要がないのです。
つまり、正常な口臭というわけです。
治療の必要性がある口臭
一方、何らかの病気が原因となって起こる口臭もあります。これを病的口臭と言います。病的口臭は、病気によって引き起こされる口臭なので、治療の必要性があるのです。
病的口臭として、身近なものは、むし歯や歯周病、親知らずなど、つまりお口のトラブルによって起こる口臭です。また、糖尿病や腎臓病など全身的な病気によって引き起こされる病的な口臭もあります。
・お口のトラブルによる口臭
中高年の病的口臭の中で最も多いとされるのが、このむし歯や歯周病、親知らずなどによって起こる口臭です。
①むし歯
むし歯になると、歯が溶かされていきます。溶かされたところから、もしくはむし歯の穴に食べ物が挟まったままになったりして、ニオイが発生します。
②歯周病
30代以降増えてくるのが、歯周病です。
歯周病は、歯周病菌が原因となって起こる歯を支えている歯ぐきや歯槽骨とよばれる骨などに起こる病気です。
歯周病菌の多くは嫌気性菌とよばれる酸素が少ない環境を好むタイプの細菌です。
嫌気性菌は、硫化水素やメチルメルカプタンという嫌な臭いを発する性質があり、特に年齢を重ねていくにつれ、細菌数が増えていくことが知られているので、より強い口臭を発するようになるのです。
③親知らず
親知らずも歯周病菌が原因となり、口臭の原因となります。
特に、斜めに向いて生えていたり、きちんと生えていないような親知らずは、歯みがきがしっかりできないので、口臭の発生リスクが一段と高くなります。
④入れ歯
30代以降になると入れ歯を入れている人が増えてきます。
入れ歯を作っている素材はレジンとよばれるプラスチックです。実はこのレジンには顕微鏡レベルの非常に細かい穴が無数にあります。この穴に細菌が入り込み、歯周病菌と同じように硫化水素やメチルメルカプタンを発生させるので、臭いを生じるようになるのです。
また、入れ歯にこびりついた食べかすもやはり匂いの原因となります。
このように、お口のさまざまなトラブルによって口臭が生じるのです。
・糖尿病や腎臓病
糖尿病が悪化するとアセトン臭という口臭が、腎臓病を放置しているとアンモニアのような口臭が発生します。
そのほか、胃潰瘍などの胃の病気でも口臭が生じます。
つまり、内科的な病気によってもいろいろな口臭が生じるわけです。
・アルコールの口臭は?
アルコールを摂取した後にも独特の口臭が発生します。アルコールを普通に嗜んだ結果起こる口臭なら、生理的口臭に含めてもいいのでしょうが、アルコール依存症といった病気によってアルコールを摂取し続けているのなら、病的口臭として治療しなければなりません。
口臭のタイプ別、原因の見分け方
実は、口臭のタイプから、ある程度、病的口臭の原因を見極めることができます。
○腐ったようなニオイ
お肉腐ったようなニオイの場合は、お口のトラブルや、蓄膿や鼻炎が原因である可能性が高いです。
○甘酸っぱいニオイ
甘酸っぱいニオイが発生しているときは、糖尿病かもしれません。
これは炭水化物やタンパク質不足することで、中性脂肪を消費するからだと考えられています。
○アンモニア臭
アンモニアは、おしっこのニオイの元でもあることから、アンモニア臭がおしっこにオシッコに関係する、つまり腎臓病や尿毒症によって起こる事は想像しやすいことと思います。
○腐った卵のニオイ
つまり、硫黄のようなニオイですね。この場合は、胃潰瘍や胃炎、十二指腸潰瘍などの胃腸の病気が考えられます。
食べたものがしっかりと消化できなくなる事で、お腹の中で変に発酵してしまい、それが血液の流れに乗って肺から排出されることが原因です。
○カビのようなニオイ
これは、肝臓病が原因となって起こります。肝臓で分解されるはずのものが、肝臓病によって肝臓の機能が低下したことで分解しきれなくなり、口臭として現れるようになるのです。
口臭の予防法
では、口臭はどのようにして防げばいいのでしょうか。
○プラークコントロール
口臭の最も多い原因であるお口のトラブルを防ぐためには、お口のケアが大切です。
そこでポイントとなるのが、プラークコントロールです。
プラークとは、歯の表面についた白いカスのようなもののことです。歯の表面を指の爪や爪楊枝などでこするととれてきます。
プラークコントロールは、このプラークを取り除き、再びつかないようにすることです。
プラークコントロールのカギとなるのが、自宅での歯みがきと歯科医院での歯のクリーニングです。
・自宅での歯みがきのポイント
食後の歯みがきは、歯の表面を漫然とみがくのではなく、歯みがきの時には、特に歯と歯の間を意識して磨くようにしてください。
そこで、歯ブラシに加えて、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯を磨くようにしましょう。
歯みがきの時に使う歯みがき剤は、フッ化物などの薬剤が入っているものがおすすめです。
・歯科医院での歯のクリーニング
自宅での歯みがきでは取りきれないプラークや歯石を専用の器械を使って取り除くのが、歯のクリーニングです。
歯石やプラークを取り除いた後は、歯の表面をツルツルした状態になるまで磨き、プラークがつきにくい状態にします。
歯科医院での歯のクリーニングは、日常どれだけていねいに歯を磨けているのかによって異なりますが、概ね3〜4ヶ月くらいに1度の頻度で受けるといいでしょう。
○規則正しい食生活
唾液には、お口の汚れを洗いながず”洗浄作用”、お口の細菌が増えるのを防ぐ”抗菌作用”などいろいろな働きがあります。つまり、唾液は口臭予防の重要な一翼を担っていると言えます。
唾液を出すためには、食事を規則正しくし、食べ物をしっかりとよく噛んで食べる事です。
例えば朝食を抜くと、朝の唾液の分泌が低下してしまいます。唾液は、口臭予防に大切ですから朝の唾液の分泌低下は、起床時口臭を悪化させる要素となってしまいます。
規則正しい食生活で、唾液をしっかりと分泌させて、口臭を防ぐようにしましょう。
○定期的な健康診断
糖尿病や腎臓病、肝臓病などの内科的な病気が原因で口臭が起こる事は前述した通りです。
こうした病気は、初期の段階ではなかなか気がつきにくいものです。
そこで、少なくとも1年に1回は健康診断を受け、内科的な病気が発生していないかをチェックするようにしましょう。
そして、甘酸っぱい口臭やアンモニア臭などお口以外の病気を疑わせるような口臭を指摘されたら、内科で一度調べてもらい、適切な治療を受けるようにしてください。
まとめ
今回は、口臭について解説しました。
一言で口臭といっても、気にする必要のない口臭と、治療しなければならない口臭に分けられることがわかっていただけたと思います。
多くの口臭は、日常の歯みがきや歯のクリーニングで予防できますし、定期的な健康診断を受けることで、内科的な病気による口臭の予防も図れます。
今回の記事を参考にしてぜひ口臭を予防するようにしてください。