「服をどう選ぶのか?」は生き方に関わる

  • 2018/11/30
  • ファッション
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  • ファッションマジシャン◆ yutaka
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今冬のコートが出来上がってきました。なかなかの出来栄え。生地と色のバランスが良かったんでしょうね。その証拠に、そこのテーラー自身も欲しくなったみたいで自分用に似た色の生地で同じ形のコートを作りはじめたそうです。

こういう風に生まれる流れは良いですよね。間近の人の服を見て、良いかどうかを実感して判断しますから。一方、どこの誰が始めたか分からない流れ、流行には、時には気を付けねばなりません。今回は、ファッションの話の中でも流行についての、大人向けのお話を用意しました。

 

ファッションのパワーを侮ってはいけない

ファッションのパワー

着るものは、着る人の心にも影響を与えます。ひとつの例として、ちょっと昔の話になりますが、その昔日本には国民服というものが出回った時期があります。年代としては1940年から7年間ほどでしたが、法制化されていました。第二次世界大戦時です。毎年、夏にある終戦時期のドラマなどで、オリーブグリーンの軍服に似た服を着た一般の日本人男性を目にしたことはありませんか?知識がないと軍服と区別がつかないと思います。戦時中も沖縄などの戦場では、敵軍から国民服を着た非戦闘員が、軍服を着た兵士と見分けられずに射殺されたという事もあったそうですから。

この国民服は、戦争によって物資が限られた時代に、国民の衣服の合理化や簡素化を目的としてデザインされました。また、全国の学生服としても指定され、日本男子に広く普及していった時代があります。

 

これによって人の心はどう影響されたのか?もちろん、戦争への参加意識を高める事に繋がったのです。国民服はいくつかのデザインがあったものの、大まかにはみんな同じ。礼装としても応用できる事になっていましたが、そのまま戦争に向かえる軍服としても使い回しが出来る様になっていました。「みんな同じ服=みんな同じ役割」という認識を着る者の潜在意識に刷り込ませることで、前線で兵士の数が足りなくなった分を直ぐに補填できる準備が整っている、というデザインでした。

そこに個々の意思は反映されていません。足りなくなった分を埋めるパーツの様な役割を持たせるためのデザインだったために、この国民服は一般の人たちの戦争の意欲を高める効果があったと言われます。さらに、みんな同じ服を着ている中で突然招集がかかったら「行きたくない」と言いづらい状況が出来ていた事も容易に想像が出来ます。

これってとてもコワイ例ですが、ファッションとか装いといったものには、こういった影響を生み出すパワーがあるのです。

 

今のファッション業界は雑多!

今のファッション業界は雑多!

現代では、国からのそんなコントロールはないのか?例えばクールビズって何なのか?などよく考えてみるのも面白いかと思います。

また、現代ではひと昔前の様に、日本人の多くが1つの流行に集中して盛り上がる事はなくなりました。ただ、だからと言ってみんなが個々に好きなものを自由に楽しんでいるか?というとそこまでではなく、それぞれ程々に周囲の目を気にしながら楽しんでいる様に見えます。あなたはどうですか?

さらに、ファッション業界というのはとても雑多な業界です。市場規模で見ても、全体からすれば数パーセントという規模のブランドや会社が無数に存在しています。例えば自動車業界の様に、大手が数社で業界を分割している様な構造ではありません。だからこそ、ありとあらゆる表現を楽しめる服が沢山見つけられるのです。

 

好きなものを自由に選ぼう

好きなものを自由に選ぼう

世の中の先行きが不安な時代は、ファッションの流行の傾向もクラシック回帰に傾きやすいと言われます。そして現在もクラシック回帰の流れが見て取れます。こういう時は昔ながらのブランドだったり、大手ブランドのファッションがなんとなく安心感を得やすく、所有欲をそそられやすいものです。でもね、その流れに乗ってしまい過ぎると、元気でも小規模なブランドの存続が難しくなってしまう危険があります。

もし本当に、世の中の人の多くが無難さや安心感を求めるあまり「大手」とか「有名」ブランドへの安易な依存をし続けて小規模ブランドの倒産が続けば……「大手」とか「有名」どころしか残らない業界になっていってしまいます。こうなると、「流行などから人の気持ちをコントロールする事に長けたファッション業界の思いのままに世の中をコントロールされてしまいやすくなる」というのは、そんなに現実離れした話ではありません。

 

だからこそ、ファッションは常に「自分の好きなものを自由に選ぶ」という事がとても大事だと思うのです。服を選ぶというのは、自分の生き方を選ぶ事に似ています。人の目を気にし過ぎず、自分の選択に自信と責任を持って楽しむ。もちろん1人だけで人生は楽しめないのですから、自由と自分勝手は違いますが。ぜひ、自分の求めるものを諦めず、忘れず、目を背けず自由にファッションと一緒に楽しんで欲しいと思います。その一歩に、ファッションはとても強力な味方になってくれるはずですから。

この記事の作者

ファッションマジシャン◆ yutaka
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ファッションの専門学校〜アパレル業界での経験を活かし オシャレに自信がない男性から 豊かな人生を自在に楽しむスマートミドルへ大変身するための マジックの様なファッション=ファッションマジックをお届けします。
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