革新的なのは原料ではなく製品だった~リーボックのスニーカー

  • 2017/06/30
  • ファッション
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御存知の通り、厄介なプラスチック

厄介な素材であるプラスチック

燃やすと高温になって炉を痛めるし、原料は限りある天然資源。安価な上に加工しやすい、そんな理由で広く使われているプラスチックは、実はとても厄介な素材なのは御存知の通り。
野原に放っておいても海に浮かべておいても、ずーっと腐食せずに存在し続けるプラスチックは環境の問題児。大洋を泳ぐウミガメの胃袋から、なぜかプラスチック製の袋が出てきたりしするのは、非常に象徴的な出来事なのです。

 

トウモロコシから生まれたのは……

さて、その一方で「生分解性プラスチック」というものがあるのをご存知でしょうか。
現在主流となっているのは、トウモロコシなど生物資源を利用したもので天然由来ですから、放置しておいても、数週間で自然に返る。原料を栽培することができますから、限りある天然資源に頼ることもない。

エコエコうるさい昨今ですから利用が広まってもおかしくないと思うのですが、これがなかなか広まらない。理由はコストが高いから、そして耐久性が低いからだとか。
まあ、分解されることを前提に作られている以上、耐久性もへったくれもないですよね。だからこそ、リサイクルにも向いていないといいますからトホホなのです。

 

使い所がない、生分解性プラスチック

使い所がない、生分解性プラスチック

もっとトホホな話をすると、この生分解性プラスチック、現在主に使われているのがBB弾。自然の中でエアガンを乱射するサバイバルゲームの世界だそうで、何ともダイナミズムに欠ける話。大手の清涼飲料水メーカーのどこかが、容器を一斉に生分解性プラスチックに替えるとかだとインパクトもあり、企業イメージもアップしそうなものですが、コストと耐久性両面から不可能なのでしょう。

もっというなら、大抵の清涼飲料水メーカーはリサイクル可能なPETボトルを採用していますから、これ以上企業のイメージアップに取り組む必要もないという判断。このように生分解性プラスチックはBB弾として地味に消費されつつ、時代の徒花のように忘れられた存在になっていくのでしょうか。

 

リーボックが衝撃的なスニーカーを発表

そんなことを考えつつ、すっかり生分解性プラスチックのことを忘れていたある時、あのリーボック社が土に返るスニーカーを発売するとのニュースを聞きました。
スニーカーのアッパー部分はオーガニックコットン、ソールの部分はトウモロコシから採集されるセルロース分を用いて製造するといいます。
まあ、今のところ情報が非常に少ないのですが、同じくトウモロコシ由来のセルロースから、作られる生分解性プラスチックとは兄弟のようなものを、ソールに使ったスニーカーをリーボックは販売する。

なるほど、そう来たか。と思わず舌を巻いたのです。

 

スニーカーに利用するとは!!

現在、生分解性プラスチックが用いられているのはニッチなジャンル。例えばBB弾とか、首から下げるIDカードケースとか、企業のノベルティとか、その程度の利用にとどまっています。どう考えてもそれなりに時代に受けそうなポテンシャルがあるのに、今ひとつメジャーになりきれていない。そこにスニーカーという提案を持ってきたのがリーボック。

なるほどスニーカーならば耐久性は要求されるものの、多少劣化が早くても所詮ファッションアイテムですから、重大な問題を引き起こすということはありません。コストが高くても、これまたファッションアイテムということで、購入するユーザーも納得済み。

そして何よりも、話題性に富んでいる。
そんなに新しくもない、植物から採集したセルロースを利用しているにもかかわらず、畑から取れる再生可能なスニーカーというだけで、大きなインパクトが与えられます。

 

今年の秋に収穫されるスニーカー?!

リーボックが衝撃的なスニーカーを発表

このリーボックのスニーカー、プレスリリースによると今年の後半には店頭に並ぶとか。この時期に発表しておいて今年の後半に販売するというのも、収穫というイメージを用いた上手いPR手法だと思うんですよね……まあ、トウモロコシの収穫期は夏ですけれど。

価格・デザインともに不明ですが、恐らくこのスニーカーは大ヒットするでしょう。そして、生分解プラスチックに関わった多くの人たちは、その手があったか!! と歯噛みすることでしょう。世の中に大切なものは技術、そしてそれを世に出すアイデアであると。

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アントニオ犬助
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みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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