平和の祭典オリンピック期間中に、軍事行動が行われた過去があるってホント?
- 2018/02/05
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オリンピックを前に、やる気満々な「かの国」
開催まであと1週間を切った「平昌オリンピック」、この原稿を手がけている段階では世間の盛り上がりも最高潮……というには程遠いのが残念なところですが、これを目標に努力を重ねてきたアスリートたちには何の責任もありません。彼らの活躍を温かく見守りたいとは思うのですが……やっぱり、盛り上がりに欠けていますよね。
そんな原因の一つとして、平昌の北の方にある「かの国」の動向が落とす暗い影があげられるでしょう。
何でも今年にに限って、オリンピック開幕前日である2月8日に「朝鮮人民革命軍創建日」を移動。それを目がけて軍事パレードの準備を着々と進めているというのです。
そもそもこの記念日、伝統的に4月25日だったのを突然、今年になって日付を移動したというのが訳がわからない。でもって、パレードを本当におこなうということは「いつでも南進できる」という圧力であり、意思表示なわけで。
まさか、「平和の祭典」オリンピック中に侵攻などの軍事行動などないとは思いますが……ていうか、パレードに向けて準備をすすめていること自体が、自体が軍事行動じゃないの?
オリンピック直後、あるいは開会式の真っ最中に!!
「ロシア上院がウクライナとクリミア自治共和国で、軍事力を行使することを承認」。
こんな物騒なニュースが駆け巡ったのは、2014年3月1日。ソチオリンピックが2月23日に閉幕した直後、パラリンピックの開幕を3月7日に控えたタイミングでした。
原因はウクライナで反ロシア派の市民が、政権を取っていた親ロシア派を追い出すという革命が起こったから。そこで、ロシアはクリミア半島に住むロシア人の保護のために、3月1日からウクライナに軍事侵攻、クリミア半島を実効支配したのです。そしてクリミア半島の帰属については、ウクライナとロシアの間でいまだに終結していない問題です。
また2008年8月8日、これは北京オリンピックの開会式、まさに当日。
南オセチアをめぐってロシアとジョージアが軍事衝突したということもありました。これは独立を求める南オセチアにジョージアが軍事侵攻、そこにロシアが介入したというもので「南オセチア紛争」と呼ばれています。
ロシアはどちらかというと、被害者っぽいんだけれど?
「おお、両方ともロシア絡みじゃねえか……おそロシア!!」
何て思いがちですが、この2つの事例を見る限りは、どちらかというとロシアはケンカを売られた側。2014年の「ロシアのクリミア侵攻」については、オリンピック中だから反ロシア派をあおっても、ロシアは手を下すことがなかろう? なんて見通しを立てていた連中が、元々の原因ということができます。
また、2008年の「南オセチア紛争」については、プーチンもオリンピックの開会式に出席していて不在だから手を下すことはないだろうという見通しで、ジョージアが南オセチアに侵攻したことが原因。
ですから、ロシアは飛んできた火の粉を払った形なのです。
それって、オリンピック停戦に違反しているのでは?
しかし、このロシアの行動なのですが、国際的なルールには反しています。
それは「オリンピック停戦」。
1993年の第48回国連総会で121カ国が提案し議決されたというもので、たとえ戦時下であってもオリンピック開催期間の前後7日間は停戦しようというもの。
「ロシアは売られたケンカを買っただけ、文句があるならば売って来た側にいってくれ」。
こんな風にプーチンに凄まれたら、言い返せる国などどこにもないでしょうが……まあ、停戦どころか軍事侵攻していますからねえ、どちらのケースも。
オリンピックは国際的なイベントだけに、その影に隠れて色々と思惑が錯綜するもの。
その結果、クリミア侵攻や南オセチア紛争などというオリンピック期間中の軍事行動につながったという訳ですね。
昨年の11月には平昌オリンピックの期間中に戦争行為を控えるよう、国連加盟国に求めるというオリンピック停戦の決議が国連総会で採択されていますが、そんな話は知らないとばかりに、今回の平昌オリンピックの影に隠れ、色々と企んでいる国もあることでしょう。
例えばオリンピックの開会式の前日に、軍事パレードなどをされるだけで韓国のメンツは丸つぶれ。それを避けるために水面下では色々な交渉事が……と、想像するとオリンピックの熱戦よりも、そっちの方が興味深く感じてしまうものです……もちろん、何らかの軍事的行動が勃発してしまうことを、期待しているわけではないことは明言しておきますが。