懐かしの「シャンメリー」には、実は22種類もバリエーションがあった
- 2018/12/05
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シャンメリー、実は超ローカルな飲み物だった
12月の声を聞くと大掃除、年賀状、仕事……と、次々と片付けなければならないことが心に浮かび、気ぜわしくなってしまうものですね。しかし私、アントニオ犬助を含む、薄汚れたオヤジ連中も遠い昔は清らかな子どもだったわけで、そのころの12月といえばクリスマス。「今年はサンタさんに何をお願いしようか」と、心を躍らせていたものでした。
そして、そんな子どものクリスマスに欠かせないものといえば「シャンメリー」。
「ポン!」という音とともに栓が飛ぶ、あのシャンパンに似た楽しげな炭酸飲料だった。懐かしく思い出している方も多いことでしょう。
そんなシャンメリー、最近でも季節になると店頭で見かけるものなのですが、先日何気なく手に取って製造元に眼をやったところ、まあ驚きましたね。地元のローカルな炭酸飲料メーカーの名前が書かれているではないですか。
あの全国的にはマイナーなメーカーが、超メジャーなシャンメリーも手がけている?
犬助はしばし混乱してしまったのでした。
実は協同組合が持っている商標だった
これは、どういうことなんだ?不思議に思って調べてみると、シャンメリーとは「全国シャンメリー協同組合」の登録商標とのこと。つまり協同組合に加盟しているメーカーなら、シャンメリーを製造して名乗ることができるという。
ですから、全国シャンメリー協同組合のHPには日本全国で販売されている22種類のシャンメリーが掲載されているのです。つまり、シャンメリーと耳にしてそれぞれが思い浮かべているボトルは全く違う可能性がある。ボトルが違うばかりかポンと栓が飛ぶギミックだけが共通で、ひょっとすると味も全く違うという可能性もあるのです。
法律で守られる、ローカル炭酸飲料メーカー
そんなシャンメリー、ウィキペディアによると年間に1,500万本も売れているといいますが、ここで不思議に思うのが、なぜ大手の清涼飲料メーカーが、市場に参入して22のローカルメーカーを蹴散らしてしまわないか?ということ。
と思っていたらあるんですよね、シャンメリーのメーカーを守っている法律が。
「中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律」、大企業の事業参入によって、中小企業の屋台骨を揺るがされかねない。そんなケースでは「特定のジャンルに限って」中小企業団体は経済産業大臣に対して、勧告をするように申し出ることができるというもの。
特定のジャンルとはラムネ、ポリエチレン詰清涼飲料、焼酎割り用飲料、びん詰コーヒー飲料、びん詰クリームソーダ……そして「シャンパン風密栓炭酸飲料」、つまりシャンメリー。大企業は、法律によりシャンメリーに参入するのが難しくなっているということ。
細々と営業を続けているかに見えるローカルな炭酸飲料メーカーは、実は法律にがっちり守られてラムネやローカルサイダー、そしてシャンメリーを作り続けているというのです。
「森永のとうふ」がメジャーではない理由とは?
そして、法律に守られているのは炭酸飲料メーカーばかりではありません。
豆腐もそんなジャンルの一つ。例えば、超大手の食品メーカー森永乳業が豆腐を製造していることは、あまり知られてはいないもの。
というのも先の法律「中小企業の事業活動の……」によって、販売を制限(自粛?)しているから。店頭販売もおこなわず、CMも打たない、やっているのはWebを通じた販売のみ。保存料不使用にもかかわらず10カ月間も日持ちして、価格も安いという「森永のとうふ」は、海外で生活を送る日本人にとってはなくてはならぬもの。
日本でも店頭販売がおこなわれたならば、確かに地場の豆腐製造業など全て駆逐されかねないほどのインパクトを持つ商品です。
でも、法律に守られているんですよね。
犬助は別にシャンメリーを製造している炭酸飲料メーカーや地場の豆腐製造業が、大手メーカーにより蹴散らされてしまえばいいといっているわけではありません。ただ法律によって守られている特定のジャンルもあれば、滅びるにまかされているジャンルもあるという。
この2つの差は、いったいどこからくるのだろうかと。
シャンメリー片手に、こんなことを考えてみようと思っています。
今回は一部の方からご好評をいただいていた「ローカルサイダー」の記事の第2段として、「シャンメリー編」をお送りしました。