北朝鮮は本当に南のオリンピックに参加するのか?
- 2018/01/25
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急に出てきたソフトな言動
このところ、北朝鮮の金正恩委員長によるソフトな言動に注目が集まっています。2017年をフルに使って拳を振り回していた感のある金委員長ですが、なんと韓国は平昌で開催される冬季オリンピックへ代表団を派遣する意向を口にしたのです。ただそれだけのことなら、誰も大騒ぎはしないかもしれません。しかし、韓国との対話路線を推進するかのようなソフトな言動は、従来の姿勢の大転換ともとれるものであり、各国の反応が気になるところです。
平昌オリンピックは、すでに来月に開催を控えており、この時期に参加を匂わすということは、かなり本気なのではないかとも受け取られています。しかし、それは「普通の国」の論理ではありませんか。
いま、アメリカ大陸へ飛んで行く大陸間弾道弾の完成が取り沙汰されている時期であり、核開発も急ピッチで進んでいます。もし、これらがあと一歩で実用化されるという段階だとすれば、北朝鮮に必要なのは、安全なあと少しの時間だということになるでしょう。
実際、そういう見方をする専門家も少なくないようで、大騒ぎも長続きはせず、この話は思ったほど盛り上がりを見せていません。より一層の恫喝を繰り出して時間稼ぎをするのではなく、ソフトな雰囲気に切り替えたとの見方です。その理由としては、平昌オリンピックへの参加カードは、他のどのようなカードよりも時間を稼ぐのに適していることは間違いない事実だからです。
つまり、時間稼ぎが目的であれば、必ず北朝鮮は平昌オリンピックに出てくると考えることができます。アメリカに届く核兵器の存在にも言及したことが、単なる雪解け談話ではないとする見方を裏付けているとも見られます。
本当の方針転換の可能性
とはいいながら、北朝鮮の事情はかなり厳しいところまで来ているとも伝えられています。すなわち、国連の制裁に中国も一定程度は足並みを揃えているといわれている中で、いよいよ国内の状態が悪く、これ以上の強気発言一辺倒は難しいとする見方があります。
板門店での北朝鮮兵士の脱北に見られるように、なんとか国民の生活を改善させないと国が持たない状況にあると考える専門家は多いようです。ただ、この脱北については、手の込んだスパイ送り込み手法だとする専門家もいます。
つまり、あの両陣営の歩哨が向かい合う地点まで一人で車を乗りつけることは不可能だという見解です。途中で捕まらなかったのは、あの兵士は北朝鮮が送り込んだスパイだからだというのです。しかし、実際に撃たれて危険な状態になっていた点をどう考えるかという問題が残ります。これについては、撃たないと偽装がバレる。当たり所が悪かったが、助かってよかった。という解釈もできなくはありません。
この件の真相はわかりませんが、どちらにしても北朝鮮の国内事情が相当悪化していることは間違いないようです。そこで、ソフト路線に方針転換したとしても不思議ではありません。金委員長がこのまま崩壊へ突き進むと考えるのは、あまりに短絡的だからです。
本当の関心事は、方針転換により歩み寄りを見せた場合でも、それがどこまでの融和を意味するかということです。完全に仲良く平和に歩みましょうということであれば大歓迎です。誰も戦争などしたくありません。北朝鮮の国民も含めて皆無事が一番です。しかし、ある程度、急場がしのげれば、戦う余力が生じれば、再び強硬路線に戻る可能性が少なくないのが問題となります。
金委員長の発言がどうであれ、大陸間弾道弾と核開発がなくならない限り、いよいよ緊迫の度合いを増す時期に入ったことは、誰の目にも疑いようのない事実でしょう。そして、大陸間弾道弾と核を放棄することもないとする見方が大勢です。そうすると、アメリカがどのような決断をしているのか、はたまた考え中なのか。結局のところ、一番のポイントはそこになってしまいます。
アメリカに対する反撃能力が整うまで3ヶ月ともいわれている現在、まずはオリンピックです。