暗号資産の2018年はバブル崩壊だったか
- 2018/12/28
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おごれるものは久しからず…
軍記「平家物語」の冒頭部分に、大抵の日本人なら知っているであろう深い意味が込められた一文がある。
「盛者必衰の理をあらわす」…どんなに今が盛んでも必ず衰えるものなのですよ…この理(ことわり)を再現するかのように、いつの世にも熱狂の大波が押し寄せてはやがて消えていった。
それは投資の世界も同様。
中世オランダで起きた最古の狂乱「チューリップバブル」に始まり、戦勝景気、オイルショック、ITバブル、地上げ屋狂乱、世界恐慌、バブル景気崩壊、リーマンショック…。
これらの栄枯盛衰をつぶさに見ていくと、本当のバブルが弾けるとはここまで叩きのめされることなのだ、ということがわかる。
では今年起こったビットコインらの暗号資産(もう仮想通貨とは言わないらしい)下落はやはりバブル崩壊だったのだろうか。
バブルは弾けてこそバブル
バブルを体感した世代から言わせてもらうと、80年代後半当時の日本をバブルだと思っていた人はおそらく誰もいない。
「私はあの時代をずっとおかしいと思っていた」という自分だけ賢人づらしたアナリストも見かけるが、実際あの時代を生きた者の中にハッキリとした声で「これからバブルが弾けるぞ!」と教えてくれた者は誰もいない。
バブルというものは「これから必ず弾けるから今がバブル」なのではなく「もう弾けたから後でバブルとわかる」のである。
この大きな違いがおわかりだろうか。
たったひとりの人間が、今持っているモノの価値を正確に知ることは至難の業である。
人間は外環境にたやすく適応できる反面、その柔軟性がときに自分の持つ物差しを歪める結果ともなる。
自分では「ここがピークだ」と思っても、周りの誰もが「まだまだ上がる」という雰囲気ならば、頭の中に「雰囲気補正」が入り、あるのかないのかわからないさらなる高みを再び目指す。
それが人間というものであり、人間界だからこそバブルは生まれるとも言える。
弾けてしまった過去のバブルを振り返る
株式の世界で最も天空に近づいたバブルといえば、それは00年頃のアメリカ市場を舞台とした「ITバブル」かもしれない。
あちらでは「ドットコムバブル」というのが正しいらしいが、それは社名にドットコムとつく新興ベンチャーが雨後の竹の子のように生え続けては高値まで買われていったから。
ハイテク企業の割合が高い「ナスダック指数」で見ると、99年頃から異常に上昇した指数は00年3月に5132ポイントという当時の最高値を付ける。
そこからバブル崩壊後の02年10月に安値1108ポイントを付け、たった2年半で実に78%もの暴落劇を演じた。
では日本でいうところの「バブル景気崩壊」はどうであったか。
日経平均最高値38915円→最安値7607円(終値ベース)
よって下落率は13年で80%を超える。
のちほど直近IPOのソフトバンク株についても触れるので、同業で当時の花形だったNTT株の上場時を見ておくと、
公開価格119万7千円→最高値318万円→最安値45万3千円(1株)
よって下落率は85%超え。
こうしてみると、過去大きなバブルが弾けた際に突っ込む価格の水準というのは総じて「最高値から8割以上の下落」であり、そこまでいって初めて「あの頂はバブルだった」と判断できるといえよう。
暗号資産はけっこうな安値地点に来ているが…
時は現代に戻り、暗号資産の代表格ビットコインチャートを見ると、昨年2017年の今ごろ1BTC=230万円という価格を付けていたが、それからたった1年後の現在、直近で36万円台という安値を付け、現在は40万円そこそこという水準だ。
230万→36万は下落率でいうと84.3%。
しかもたった1年での暴落だから、パターンとしてはITバブル型に近い。
ということは「2017年のビットコイン200万円時代はバブルであった」と今ならハッキリ断言できそうだ。
ただし、過去にはNTT株のような85%超えの暴落もあるので、暗号資産たちの底値が今なのかどうかは誰にもわからない。
これも歴史が後で裏付けることであり、「落ちるナイフはつかむな。地面に刺さってから拾え」が暴落時のセオリーである。
そうそう、ソフバンIPO株の公開価格1500円に対して、初値は1360円。初日の終値が1282円。
今回の理論上なら、将来5000円まで買われて再び初値付近に戻ってくる下落があれば、その5000円高値はバブルに近いと言えそうだが…。
地合悪すぎ、売り一色のソフバン上場初日を終えて、投資家たちは何を思う…。